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新宿焼身自殺未遂「何が怖いって写真に撮って拡散できる精神が怖い」

 新宿駅南口付近で6月29日、多くの人が見守る中、一人の男性が焼身自殺を図る事件が起きた。駆けつけた警察や消防により、すぐ火は消し止められたものの、日本テレビなどの報道によると、男性は手や顔などに火傷を負う重傷だという。

  • ■直後からTwitterで「やばいのがいる」と話題に

     事件が起こったのは、人で賑わう新宿駅南口付近の歩道橋。甲州街道をまたぐ通路で、歩道橋もすぐ下の道路も、常に多くの人が行き交っている。

     そんな人通りの多い場所で、いつのまにか歩道橋の鉄骨に上った男性が、拡声器を使い突然演説を開始した。異様な光景に多くの人が足をとめ、何人かは携帯電話のカメラでその様子を撮影、同時にTwitterに投稿され現場の状況はリアルタイムで拡散されていった。

     編集部で確認したところ、最初の投稿が13時半頃に集中しているため、男性が演説を開始し始めたのは、恐らくこの頃だと思われる。

    ■当初は「酔っ払いが起こした騒動」と思われていた

     男性はスーツ姿で、座っていた場所には新聞紙を敷き、演説用の拡声器の他には、側にピンク色の液体を入れた焼酎のボトルを置いていた。

     焼酎のボトルがあったことから、当初は酔っ払い、もしくは自殺志願者が起こした騒動だと思われていたが、写真だけが拡散され始めてしばらく、後を追うように男性は「集団的自衛権反対」を訴えていることも伝わり始めた。

    ■炎上する男性の写真Twitterで拡散

     演説開始から1時間近く。付近には、通報を受け駆けつけた警察官や消防らが待機していた。この頃には周辺に漂う臭いから、男性が持っている焼酎ボトルの中身が、ガソリンだと分かっていたようだ。

     事態が動いたのは14時20分頃。突然男性が立ち上がり、自身に火を付け燃え始めたのだ。待機していた消防や警察官らが、即消火活動に当たるものの、男性はガソリンをかぶっており、すぐ消火することができなかった。急いで梯子を掛け近づき、男性を橋の上のマットに落とし、最後は消火器などで消し止められたようだ。

     もちろんこの光景は多くの人が目撃、そして携帯電話のカメラで撮影され、Twitterへ。男性が炎上する様子は写真以外に動画も投稿され、こちらは投稿わずか数時間で10万再生超えるほど人々の注目を集めていた。

    ■テレビや新聞での第1報

     Twitterで拡散された情報は、Webニュースやまとめサイトに取り上げられ夕方頃には大きな話題に。
    新聞やテレビでは29日夜に初めて報道された。

    ■ネット投稿の相次ぐ削除

     事件発生当初から、現場にいた人らによってこの様子はリアルタイムにTwitterに投稿されたが、時間がたつにつれポツリポツリと投稿を削除する人が出始めた。

     この事件についてネットでは男性に対し「行為は肯定できないし、多くの人に迷惑をかけている」「考えは賛同できるが、行為は賛同できない」などの意見がある一方、投稿者にも「ショッキングすぎて不快」「軽々しくあげていいものか」「写真に撮って拡散できる精神が怖い」という意見が出始めたからだ。

     Twitterの場合には、自分が「見たくない」と思っていても、勝手にタイムラインに流れてくることがあり、見たくなくても「見せられる」ケースがある。今回は正にそれで、たまたま流れてきた“燃えさかる男性”の無修正写真を見てしまい、ショックを受けた人が少なからずいたようである。

    ■「拡散されすぎて怖い」

     今回拡散情報をたどっていく中で最も印象的だったのが、ある投稿者が漏らしたこんな一言「拡散されすぎて怖い」。仲間内だけに見せるつもりで投稿した写真が、予想を遥かに超えて拡散、さらには“まとめ”サイトで紹介され、結果残ったのが直球で届く批判の声だけだったという。

     予期せずして出会う事件や事故。突然目の前にして、後先を考えず写真に撮影しネットに投稿する人が最近増えている。
    しかし、ネットに投稿する以上、世界中誰にでも見られるという自覚は忘れてはいけない。そして投稿すると同時にその責任を自身が背負ってしまうことも。

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