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109シネマズ運営が最終報告、投稿者にも責任問う動き 「販売予定のポップコーン」動画は「廃棄品」と断定

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 映画館「109シネマズ港北」の休憩スペースで、アルバイト従業員がポップコーンに顔をうずめるなどの不適切行為をした動画がSNSで拡散された件について、運営元の東急レクリエーションは7月3日、公式サイト上で最終報告を公表しました。

 報告では、動画内で使用されていたポップコーンが「販売用商品ではないと断定」した上で、本件を「悪質な業務妨害に該当すると判断」したといいます。さらに、東急レクリエーションは編集部の取材に対し、動画を最初に投稿した人物に対しても法的措置を検討していることを明らかにしました。

  • ■ 「客に提供予定」と説明されたポップコーン

     問題の動画は、匿名掲示板が運営する暴露系アカウントによって、2025年6月26日にX(旧Twitter)へ「タレこみ」として投稿されました。

     映像には、アルバイト従業員とみられる若い男性がポップコーンの袋に顔をうずめたり、素手で掴んで食べたりする様子が映っており、「休憩中に飲酒」「販売予定のポップコーン」という説明付きで拡散。

     投稿は7500回以上リポストされ、1930万回以上表示されるなど大きな波紋を呼びました。

     続く6月27日には、前日の投稿を引用する形で「続報」も投稿され、「告発者曰く」と前置きをした上で、「動画は営業中でこれからお客様に提供されるもの」と、「販売前の品」である点が改めて示されました。

    ■ 東急レクリエーションは「廃棄品」と断言

     東急レクリエーション側は、動画が拡散された当日の6月26日に「お詫びとご報告」を公式サイトに掲載。

     翌6月27日には中間報告を発表し、問題の動画は2025年3月26日に、勤務時間外の休憩スペースで、飲食売店の営業終了後に撮影されたものであると説明。ポップコーンについては、「販売用ではなく、廃棄品であった可能性が極めて高い」として、“可能性”にとどめていました。

     そして7月3日の最終報告では、ポップコーンは「不当に持ち出された廃棄品であり、販売用商品ではないと断定」したと報告。また、本件は「悪質な業務妨害に該当すると判断」したとして、警察に相談済みであること、今後必要に応じて法的措置を講じる姿勢を示しました。

     さらに、廃棄物管理の見直しを実施するとともに、施設内での飲酒行為は勤務時間外であったとはいえ「看過できるものではない」として、再発防止に向けた再教育の徹底を約束。関与した従業員については社内規定に基づき厳正に処分するとしています。

    ■ 投稿内容と調査結果に齟齬も

     本件では、動画に映るアルバイト従業員が勤務時間外に休憩室で飲酒し、ふざけてポップコーンに顔をうずめるなどの行為をしたこと自体が問題です。また、それを撮影し、そのままにした撮影者にも一定の責任があると言えるでしょう。

     一方で、動画投稿者の説明と東急レクリエーションによる調査結果との間には、一部に食い違いが見られ、その点については疑問が残ります。

     動画投稿者が「販売予定のポップコーン」と主張していた点に対し、東急レクリエーションは「廃棄品」と断言しており、両者の主張には明らかな齟齬があります。また、当時は「休憩中」とされていた点についても、企業側は「勤務時間外」「飲食売店の営業終了後」での撮影と否定しています。

     もし投稿内容に虚偽や誤認を招く情報が含まれており、それによって企業の業務に支障が生じていた場合には、「偽計業務妨害」に該当する可能性もあります。

     編集部が投稿者への対応について東急レクリエーションに取材したところ、「今回の事案に関して、投稿を行った当該アカウントについても法的措置を検討いたしております」との回答があり、投稿者への責任追及も視野に入っていることが判明しました。

     ただし「投稿を行った当該アカウント(投稿者)」とは、東急レクリエーションの後の説明によると、SNSに投稿した暴露系アカウントではなく「(匿名掲示板に)実際に投稿を行った人物を指しております」とのことです。

    ■ SNS上で横行する暴露投稿とそのリスク

     近年SNSでは、いわゆる「バイトテロ」や暴露動画の投稿が相次ぎ、暴露系インフルエンサーが取り上げることで爆発的に拡散される傾向にあります。一部の投稿者はダークヒーローのようにもてはやされることもありますが、その一方で、情報の精度や真偽が確認されないまま拡散され、企業や関係者への風評被害が生じるリスクも無視できません。

     今回の件も、もし最初に「廃棄品である」と明示されていれば、非難の矛先や拡散の規模は変わっていた可能性があります。販売前商品であるか否かは、消費者の受け取り方に大きく影響する要素であり、過剰な炎上を招いた一因であることは否定できません。

     情報の真偽や文脈を見極める力が求められる時代において、私たち一人ひとりにも冷静な受け止め方が問われています。

    109シネマズ「109シネマズ港北 従業員による不適切な行為についての報告(最終)」

    ※追記・訂正:法的措置対象の「投稿者」の定義について初出時、SNSへの投稿者としておりましたが、東急レクリエーションから追加の説明があり、暴露系アカウントではなく「(匿名掲示板に)実際に投稿を行った人物」であると公開後に追記・訂正しました。

    <参考・引用>
    109シネマズ公式サイト「109シネマズ港北 従業員による不適切な行為についての報告(最終)
    109シネマズ公式サイト「【途中経過のご報告】109シネマズ港北 従業員による不適切な行為について

    (宮崎美和子)

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