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ちりめん混入の「チリモン」は今やラッキー!じゃなくてクレーム対象?

 築地魚河岸は築地市場場外に2016年10月にオープンした施設。本来11月に豊洲に移転するはずだった、築地市場の移転後でも場外の活気や、業務仕入れの利便性をたもつために計画された施設です。

 商いを行うのは、築地市場の仲卸業者らが平行して運営する小売店。これまで年末などの特別な時期を除き、場内で業者相手にのみ商いを行ってきた「プロ中のプロ」。
本来は、築地移転のあと業務仕入れのプロ相手に9時まで販売し、9時からは一般客販売となる予定でしたが、築地市場がまだ残っているためプロはほとんど場内で買い物をしており、売り上げは9時からの一般客販売が主となっているそうです。

  • 【関連:こちらは本当に怖い異物混入→女の子の「手作りチョコあるある」】

     そこに店を構える「株式会社阿部水産」の公式Twitterのつぶやきがここ数日注目されています。
     店頭販売していたちりめんじゃこに小さなイカが混入していたことで、購入者が激怒しクレームを入れてきたそうです。「一般人に売る難しさを知る…」と綴られています。このツイートは、2万以上もリツイートされ人々の大きな関心を集めています。

    クレームのあったちりめん

    クレームのあったちりめん

    ■ちりめんに「チリモン」が入ってるのは今やクレーム対象?

     件のツイートをしたのは「株式会社阿部水産」。詳しいお話を同社代表の阿部泰尚さんに伺いました。

     株式会社阿部水産は2016年創業。創業だけ見るとまだ新参だと思われますが、阿部さんの話では「築地魚河岸は、築地市場移転に伴い、東京都ではなく中央区が整備した施設で新設会社を作らなければならず、株式会社阿部水産を創業しました。」とのこと。
     今でも中心となるのは築地市場場内にある創業20年ほどの仲卸業者・有限会社阿部水産。創業は元々築地につとめていたお父様。お父様の勤め時代を含めると、阿部さんと築地との関わりは40年ほどにもなるそうです。また、阿部さんは、築地で働いた経験をもちつつ、別業界での会社経営歴も13年ほど。教育問題の専門家という側面も持ち合わせています。築地の常識、他業界の常識をバランス良く理解する人物。

     今回クレームとなった「ちりめん」に何か別の海産物が混じっているというのは実は「よくある話」として知られています。今回はイカでしたが、小エビ、小ガニなどが入っていることもあります。しかし、クレームを入れてきた人物は、興奮してまくしたてるように、言いたいことだけ言っている状態で、阿部さんは仮に正論を説明したとしても「言い合いになることは必定」と感じたそうです。
     また、他の客もいる状態だったため事を荒立てるより、去ってもらう方が良いとの判断で、その場は返品・返金に応じたそうですがそれでも「のちに説明しろ!!」と言い残し去って行ったのだとか。今は、再びの来店を待っている状態だそうです。

     そうしたやりとりがあり落ち着いた頃、ちりめんにチリモン(ちりめんに入る他の魚介類)が入っているというのは「私どもが間違っているのか?」という思いがよぎり、ほんの軽い気持ちでツイートしてみたそうです。すると、2万以上もRTされ、チリモンを認めてくれるコメントが多くよせられたと言います。

    ■実はチリモン目的の「チリモンハンター」もいる程人気の存在

     先に軽く説明しましたが、ちりめんに混入する他の海産物は「チリモン」と呼ばれています。「ちりめんモンスター」を略し、愛着を込めて“チリモン”。
     購入する人のなかには、チリモンを探すためにちりめんを買う!という「チリモンハンター」も存在しています。もちろん、食べても問題ありません。子供達にみせ「チリモンゲットだぜ!」って食べさせても楽しそうですね。

     鮮度を保つために冷蔵状態で入荷されるちりめんは、冷凍状態だと色味の違いが明らかなチリモンでないと見分けることが難しいそうです。また、シャーベット状態で小分けにした場合はさらに見分けることが難しいという現場ならではの声も今回聞くことができました。
     しかしながら、以前ニュースにもなったトラフグのように危険なもの、色味が違うもの、見た目が気持ち悪いものは選別しづらくとも丁寧に取り除いているそうです。

     今回話題となったちりめんは高知県・赤岡産の特選ちりめん。他のちりめんよりは身が小さいのでより選別が難しかったそうですが、混入していたのは小さなイカで、これももちろん食べられるもの。人によっては「ラッキー」だと思う場合も少なくないのではないでしょうか?
     実は、チリモンが入っていた場合には、買い手にとって幸運の兆しのある「当たり」とこれまで喜ばれてきた背景があります。

    ■便利な時代ならではの【食育】不全

     なお、今回のクレームのあった商品はあらかじめ試食を出しており、さらにカタクチイワシ以外のものが混入している可能性もパッケージにきちんと掲示してあったそうです。

    パッケージの掲示

    パッケージの掲示

     今回のようなことが起こってしまった背景には「家庭内での食育」が便利な時代になるにつれ行き届きづらくなったからでは、とも阿部さんは指摘しています。

     食育とは、「食」を通してそれに関する知識を習得し、豊かで健全な食生活を選び取り実践できる人間を育てることです。 人は毎日何かを食べて身体や心の健康を維持しています。ことに成長過程の子供の場合は、幼少期の食生活が大人になってからの長い人生を左右することにも。しかし、知識がないと健全な食を選び取ることができず健全な生活に繋がらないという考えが一般的となり、国を上げて食育に取り組んでいます。

     農林水産省によると、子供達に対する食育は「心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性をはぐくんで行く基礎となるものである」としていますが、今回のチリモン騒動も「ちりめんには別の小さな海産物が混入していて当たり前である」という、食の経験=食育をされてこなかったことに原因が考えられます。

     「刺身が海を泳いでいると本気で思っている子供がいた、というのはさすがに都市伝説だとは思うけれど……」と阿部さん。しかしながら今回のチリモン騒動から、案外そうとも言えないのかもしれないと考えさせられました。

    ・参考:農林水産省・食育基本法
    ・画像提供:株式会社阿部水産(@abehiro13

    (大路実歩子)

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