おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

狙われる子供たち 警察庁がネット起因の児童被害例を紹介し喚起

 警察庁が2017年に神奈川県座間市で発生した女子高生3人を含む9人が、ネットを介し知り合った男性に殺害された事件をうけ、ネットを起因とし児童が巻き込まれた過去の事件を例にあげて、子供たちが狙われている実態について注意喚起を行っています。

  • ■平成28年にはSNSの利用に起因して略取誘拐の被害に遭った児童が20人

     まず最初に紹介されているのが、SNSを通じて知り合った女子高生が被疑者に山中に連れて行かれ、殺害された件。後に殺人・死体遺棄で検挙されていますが、こうした出会いについて「平成28年にはSNSの利用に起因して略取誘拐の被害に遭った児童が20人も!」と被害件数をあげて、強く注意を呼びかけています。

    ■グループに入り込み「裸の画像を送って」

     次に最近テレビや新聞でも取り上げられる、LINEを通じて裸の画像を送信させる事件。

     ある例では、19歳の男性モデルになりすました被疑者が、ネット掲示板で知り合った女子中学生とLINEのIDを交換。そして女子中学生のLIENグループに招待させ、グループに入り込み「19歳の男性モデル」と信じ仲良くなった女子中学生らに「裸の写真を送って」「すぐに削除するから安心して!」と持ちかけ、この件で被疑者は約1600人の児童とやりとりをし、被害にあったのは約130人。小学生も含まれるそうです。後に被疑者は46歳と判明。児童買春・児童ポルノ禁止法違反により検挙されています。

     他にも、LINEスタンプの無料提供を呼びかけ、応じた女子児童とやりとりをするうちに「ただな訳ないだろ!裸の写真を送れ!」などと、裸の画像を送るよう脅迫。さらに別のスマートフォンを利用し、同年代の別の女子児童になりすまして被害者女児に接触。不安を煽り、要求に従うよう仕向け、女子児童に画像を送信させていたそうです。被害にあった児童は100人以上。中には被疑者に呼び出され性的被害にあったケースも。さらに送信された画像は、別の人物に渡っています。

     そこでこうした事例について警察庁は、「友達の友達は“知っている人”ではありません」「犯罪者に手の込んだ手口を使われると子供だけで手に負えないことがあります。親、先生、警察にすぐ相談を!」と呼びかけています。

    ■友達の友達は「知っている人」ではない

     小学生~高校生の女の子は「友達意識」「つながり=仲間意識」が強いことから、つい無条件に「友達の友達」を信用するケースは少なくありません。さらには、会った事がない人でもネット上の初期のやりとりがソフトならば、それだけで勝手に「いい人」と決めつけ、何もかも自分について(身分、住所、年齢など)情報を明かしてしまうことも。

     そうした無防備さが悪用された結果、特に裸の画像については被害者が爆発的に増える傾向があるようです。また、児童ら本人が被害にあったことに気づいても、「大人に言うと叱られる」と思いつい内緒にしてさらに被害を拡大させることも。

     SNSは本来悪いツールではありません。正しく使えば社交性を身につける場となり、さらには知識を広げる機会を得る場でもあります。しかし悪意をもった人間が利用した場合には大人ですら被害を防げないこともあります。それがまして、社会経験に乏しい子供たちについては、被害を受けても訴えるどころか爆発的に被害者を出すケースは上記の通りあります。

     被害を避けるには、正しい利用方法を学ぶ機会を持たせることが重要。しかし、ネットの利用についてはまだどうすればいいか学習資料が少ないのが現実。そこで、警察庁が作成した「過去被害」をまとめた資料などからその怖さを実例を通じ学ぶのも一つの手です。

     なお、本資料では他にも援助交際を目的にネットを通じて出会った結果の被害についても紹介されています。

     警察庁ではこれらをリーフレットにまとめ、「特に保護者や先生方に活用していただきたいリーフレットです」と案内しています。データはPDFファイルで掲載場所は「https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen/net-jirei.pdf」、プリントして配布することが可能です。

     学生たちの正月休みも残りわずかとなりましたが、まだ親子で少しは時間が持てる機会。親子で会話する時間があればリーフレットをともにみながら「こんな事件もあるからね」「怖いよね」と話し合う時間を持ってみてはいかがでしょうか。ネットで事件に巻き込まれる子は、よく思われがちな「素行不良」な子だけではありません。ごく普通の子たちが知らぬ間に巻き込まれるケースが多々起きています。「特殊詐欺」もそうですが、事例を知ることで避けられることがあります。
    「うちの子に限ってそんな被害にあうわけないじゃない」と過信せず、この機会だからこそ是非。


    <出典>
    警察庁(@NPA_KOHO)
    警察庁 Webサイト

    (宮崎美和子)

    あわせて読みたい関連記事
  • フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造
    インターネット, 社会・物議

    フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウント…

  • エレコム、モバイルバッテリーの「PSEマーク」確認を呼びかけ 特にネット購入時は注意
    インターネット, 社会・物議

    エレコム、モバイルバッテリーの「PSEマーク」確認を呼びかけ 特にネット購入時は…

  • 「カクヨム」短期間の大量投稿に注意喚起 背景にAI生成作品の急増か
    インターネット, 社会・物議

    「カクヨム」短期間の大量投稿に注意喚起 背景にAI生成作品の急増か

  • 嵐・四宮社長が偽アカウント多発に注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定もなし」
    エンタメ, 芸能人

    嵐・四宮社長が偽アカウント多発で注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定も現…

  • 北海道の人気アナ・斉藤こずゑさん、Xアカウントが乗っ取り被害 番組公式が注意呼びかけ
    インターネット, 社会・物議

    北海道の人気アナ・斉藤こずゑさん、Xアカウントが乗っ取り被害 番組公式が注意呼び…

  • 「あっ!来年ですね~」 ホテル予約の日付を1年間違えた投稿に共感と笑い
    インターネット, びっくり・驚き

    「あっ!来年ですね~」 ホテル予約の日付を1年間違えた投稿に共感と笑い

  • Xで「ブロック確認サイト」装うフィッシング投稿拡散 Twilog公式が注意喚起
    インターネット, 社会・物議

    Xで「ブロック確認サイト」装うフィッシング投稿拡散 Twilog公式が注意喚起

  • Skebがクリエイターへのチャージバック詐欺に警鐘 海外ユーザーからの前払い申し出に注意を
    インターネット, 社会・物議

    Skebがクリエイターへのチャージバック詐欺に警鐘 海外ユーザーからの前払い申し…

  • 「私はロボットではありません」に偽装しウイルス感染 警視庁が注意呼びかけ
    インターネット, 社会・物議

    「私はロボットではありません」に偽装しウイルス感染 警視庁が注意呼びかけ

  • キャラ画像の誹謗中傷利用に懸念、「ワタシってサバサバしてるから」公式が注意喚起
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    キャラ画像の誹謗中傷利用に懸念、「ワタシってサバサバしてるから」公式が注意喚起

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 民放連、アニメ作品の“そっくり映像”出回り懸念 生成AIに声明
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    民放連、アニメ作品の“そっくり映像”出回り懸念 生成AIに声明

  • 欧州連合の旗(写真ACより)
    インターネット, 社会・物議

    EU、ネット上での児童性被害対策を強化 日本企業にも影響広がる可能性

  • ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応
    ゲーム, ニュース・話題

    ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

  • ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品
    商品・物販, 経済

    ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品

  • 100tハンマー
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで…

  • 韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目
    商品・物販, 経済

    韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目

  • トピックス

    1. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に…
    2. 派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      「とても茨城県」というつぶやきとともに、Xに投稿された一枚の写真。そこには、一般的な工事現場のイメー…
    3. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…

    編集部おすすめ

    1. ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロ…
    2. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    3. 100tハンマー

      伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで開催

      「シティーハンター」連載開始40周年を記念した原画展「シティーハンター大原画展~FOREVER, CITY HUNTER!!~」が、11月2…
    4. 宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      11月22日午前、X(旧Twitter)のトレンドに「宙組公演特別メニュー」が一時浮上し、ファンの間で大きな話題となりました。きっかけとなっ…
    5. ミラノで開催「IQOS Curious X Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      ミラノで開催IQOS X SELETTI「Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      フィリップ モリスが、イタリアでイベント「Sensorium Worlds」を開催。今回は、この壮大なイベントの模様とともに「IQOS To…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト