2018年11月12日、韓国空軍(ROKAF)は空中給油・輸送機として採用したエアバスA330MRTT(Multi Role Tanker Transport)の1号機を受領し、釜山の金海空軍基地に到着しました。これから韓国空軍では、本格運用に向けての試験が開始される予定です。

 韓国南部、釜山広域市に位置する金海(キメ)国際空港と敷地を共有する金海空軍基地に、真新しいA330MRTTが着陸しました。スペインの首都マドリード近郊、ヘタフェにあるエアバスの最終組み立て工場で完成した韓国空軍向け第1号機は、隣接するスペイン空軍ヘタフェ基地から大西洋を越え、カナダのバンクーバーを経由して太平洋を横断、地球を3分の2周ほどしてはるばる韓国までやってきたのです。

スペインのヘタフェを離陸する韓国空軍向けA330MRTT(画像:AIRBUS)

スペインのヘタフェを離陸する韓国空軍向けA330MRTT(画像:AIRBUS)

 この輸送(フェリー)フライトは、エアバスのクルーと現地で機種転換訓練を受けた韓国空軍のパイロットが共同で行いました。長距離となる韓国へのフライトは、受け入れ側である韓国空軍のパイロットにとっては、機種転換訓練の総仕上げといった感じだったかもしれません。現在エアバスではA330MRTTをトータルで60機受注しており、この韓国空軍向け1号機が33機目の引き渡しとなりました。

 A330MRTTの1号機を受領した韓国空軍は、これから金海空軍基地で運用試験が行われる予定です。すでにイギリス空軍(ボイジャーの名称で制式採用)や、ローンチカスタマーのオーストラリア空軍(KC-30Aの名称で制式採用)に所属する機体が日本に飛来していますが、東アジアの国で制式採用したのは韓国が初めて。韓国では合計4機を調達予定です。

Image:AIRBUS

(咲村珠樹)