アメリカ空軍のF-35テストパイロットに初の女性が加わりました。カリフォルニア州エドワーズ空軍基地の第461試験飛行隊(461st FLTS)に所属する、レイチェル・ウィニエッキ少佐です。2018年12月14日(アメリカ西部時間)、ウィニエッキ少佐はアメリカ空軍の女性パイロットとして、初めて飛行試験を行いました。

 ウィニエッキ少佐は、大学に設置された空軍の予備役将校訓練課程(ROTC)出身。空軍に入隊後パイロットとしての訓練を受け、地上攻撃機A-10Cのパイロットとして中東や東ヨーロッパ、そして太平洋地域に派遣されています。その後、エドワーズ空軍基地にあるテストパイロット養成課程に入り、修了後はF-16のテストパイロットとして第461試験飛行隊へ配属されました。

 第461試験飛行隊の隊長、タッカー・ハミルトン中佐によれば、ウィニエッキ少佐をF-35のテストパイロットに抜てきしたのは、A-10Cでの飛行経験が要因の一つになったといいます。ハミルトン中佐は「ウィニエッキ少佐をF-35のテストパイロットに抜てきしたのは、卓越した操縦技量はもちろんのこと、A-10Cパイロットとしての経験に根ざした意見が、F-35の開発に重要だと考えたのです」と語り、地上攻撃能力も高い統合打撃戦闘機(Joint Strike Fighter=JSF)として開発されたF-35の特性から、戦闘機だけでなく地上攻撃機A-10の経験が重要であることを示唆しました。

 ウィニエッキ少佐も第461試験飛行隊に配属されて、A-10Cで経験した近接航空支援(CAS)や地上攻撃誘導員との連携、戦場での捜索救難活動などが、F-35の地上攻撃能力と密接なつながりを持っていると実感したといいます。「A-10Cでの部隊経験と、F-16での飛行経験、両方を積んでいるということは、非常に良かったと思います。私もこれからの任務を達成することで、ここにいるほかのテストパイロットと同じように、様々なものを持って帰れますよ」

 アメリカ空軍初の女性としてF-35のテストパイロットになったウィニエッキ少佐ですが、こうも語っています。「(F-35の)開発に関わるテストパイロットとして、初の女性になったとは思います。でもそれは、航空機の開発試験においては、ごく一部でしかないんです」

 これからウィニエッキ少佐は、第461試験飛行隊に所属するほかのテストパイロットとともに、F-35のすべてのタイプに乗って飛行試験を行っていきます。「初めての女性として、F-35テストパイロットへの道を切り開けたのは、とても素敵なことだと思います。これを機に、女性の手でF-35の飛行試験を行うことが日常的になればいいですね」とウィニエッキ少佐は語り、自分に続く女性パイロットを心待ちにしていました。

Image:USAF

(咲村珠樹)