アメリカのロケット開発・打ち上げ会社ULAは2019年8月8日(アメリカ東部時間)、アメリカ軍の新型通信衛星AEHF-5を搭載したアトラスVロケットを8月8日午前6時13分に、フロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げ、無事成功したと発表しました。
アメリカ軍の新型通信衛星AEHF(Advanced Extremely High Frequency)シリーズは、現在5機体制で運用している軍用通信衛星Milstarの後継として計画されたもの。ロッキード・マーティンが設計・製造を行っています。
今回打ち上げられたAEHF-5は、その5号機。従来のMilstarシリーズに比べ、より高速で広帯域の通信ができるだけでなく、より秘匿性の高い通信を可能としているため、通信を傍受された場合の安全性が高くなります。
世界中のあらゆるところが活動領域となるアメリカ軍にとって、どんな場所でも通信ができるというのは重要。しかもデータリンクによる高度化された現代の戦闘システムにおいて、通信容量は増大する一方。より高性能な通信衛星が必要となっているのです。
開発を担当したロッキード・マーティンのマイク・カチェイロ担当副社長は、AEHFについて「個別のデータレートで言えば、Milstarの5倍の能力があります。これにより、リアルタイムの動画や戦場のマッピング、目標のデータなど、大容量の戦術データが送受信可能となります」と、その能力の高さについてコメントしています。
この軍用通信衛星AEHFは、アメリカ軍だけでなく、カナダ、イギリス、オランダの同盟諸国も利用できるもの。2020年には6号機が打ち上げられる予定です。
打ち上げを担当したULAにとっては、アトラスVロケット通算80回目の打ち上げとなりました。今回の打ち上げで134回連続の打ち上げ成功となります。次回は8月22日、同じくフロリダ州ケープカナベラル空軍基地から、デルタIVロケットで第3世代GPSのSV02を打ち上げる予定となっています。
<出典・引用>
ULA プレスリリース
ロッキード・マーティン プレスリリース
Image:ULA/Lockheed Martin
(咲村珠樹)