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「ヘルプマークを初めてみた」という紳士がとった行動に惚れそうな人続出

 外から見たらなにもなさそうだけど、実際は様々な病気や障害などで、もしもの時に助けが要る人が持つ「ヘルプマーク」。そのヘルプマークを電車内で見た、というひとりの紳士がとった行動がとってもジェントルマンと話題になりました。

  •  慢性持続型全大腸型潰瘍性大腸炎にて23歳で大腸全摘出、その後も数多くの手術を受け、現在ストーマ5回目のオストメイトである、漫画家の島袋全優さん。その闘病生活は、普通に語ればとてもギャグにならない壮絶なものなのですが、現在ウェブコミックサイト「GANMA!」にて、その難病から大腸喪失に至るまでの壮絶な日々を、身を削りまくったギャグ満載のコミックにしてしまった「腸よ鼻よ」にて連載中。

     本来ならその壮絶さに深刻なターンが続くと思いきや、島袋さんのギャグ漫画家としての資質なのか、とんでもなく深刻なシーンやスプラッタな阿鼻叫喚の状態をコミカルに描いてしまったことで人気を呼び、9月13日に単行本「腸よ鼻よ1巻」が発売。潰瘍性大腸炎を楽しく(?)知ることのできる漫画として人気を博しています。

     そんな島袋さんも、ストーマの処理がある関係もあって、ヘルプマークを常に携帯して外出している身。そしてそのヘルプマークを初めて見た、という紳士に電車内で行き会ったのでした。その時の様子をこうツイートしています。

     「私は人工肛門なんでヘルプマークをリュックに着けてたら電車でダンディな髭の紳士に『それヘルプマークというやつですよね初めて見ました、記念に席を譲らせてください』と言われて席を譲られ慣れていないのでテンパりまくって『そんなお仕事でお疲れでしょうから』って返してしまったよ」と。

     髭の紳士……なんてスマートな席の譲り方……。その場に居合わせたら筆者なら思わず胸がときめいてしまう気が……。しかし、見た目に何か抱えているようにまで見えず、まだ席を譲られるほどの年という程にも見えない島袋さん、突然のその紳士の声掛けにテンパりまくってしまった模様。うん、筆者も同じシチュエーションならきっと変な声出てたかも。

     実際、何度も腸を手術して、何度もストーマを造設している島袋さんにとっては、立ったままで電車の揺れに耐えること自体、かなり体力を消費すること。健康な人に比べても体力的にもかなり落ちていることは言うにも及ばずです。

     そしてこのツイートを見た人たちからは、「私も真似しよう。私もカッコいい紳士だって思われたいと言う下心くらいは許してください」といった、下心込みの素直なリプライや、「譲られたら座って欲しいです。それがさらに譲るモチベになります。ありがとう言われたらモチベ100パーです」といった、譲りたい側の気持ち、そして集まる「素敵な紳士」という感想……。

     アラフォー筆者がもし私よりもか弱くヘルプマークを付けていてしんどそうにしている人が電車やバスで自分が座っている前に来たら、どう声をかけるだろうか……?しばし考えてみました。

     結論。「あなた顔色良くなさそうね。私の方が充分丈夫だからここに遠慮なく座って」とちょっと強引に座ってもらっちゃうかも?もちろん、ヘルプマーク自体、どんな状態で付けているかは分かりませんが、だからこそ、何かにかこつけて譲っちゃうと思います。ただのお節介おばさんと言えばそれまでですが、多少のお節介くらい、いいじゃない?

     ヘルプマーク自体は、都市圏では少しずつ認知されてきていますが、まだまだ付けている人も、知っているという人も少ない状態。電車やバスの中に、ヘルプマークについての広告や案内などが掲示されていることもありますが、意外と見ていない人も多い気がします。

     そして、ヘルプマークを付けている人は、心臓や内臓、股関節などの疾患や、精神疾患でパニックを起こしやすい人といます。ヘルプマークを付けていても、その本人に問題ない時もありますが、何かあった時に携帯しているヘルプマークを見ることで、付けている人自身が行動不能になった時の助けになります。

     もしヘルプマークを付けている人を見かけたら、それとなく観察して、しんどそうな様子だったり、何か体に異変が起きているようなときにすぐに声をかけられるように心構えをしておくと、お互い助け合いやすくなるのではないでしょうか?

    <記事化協力>
    島袋全優さん(@shimazenyu)

    (梓川みいな)

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    一般内科、呼吸器科、整形外科、老年科、発達障害などを得意とする。医療・介護福祉等に高反応。雑多なネタも紹介していきます。
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