おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

「漆黒の新幹線」Nゲージに現る!自作のブラックシンカリオンが驚きの再現度

 子供たちに絶大な人気を誇る「新幹線変形ロボ シンカリオン」。テレビアニメ版に登場したブラックシンカリオンこと「漆黒の新幹線」をファンが自作したNゲージ鉄道模型が、驚きの再現度で注目を集めています。

  •  新幹線車両が巨大ロボットに変形するというコンセプトで、2015年から展開が始まった「新幹線変形ロボ シンカリオン」。新幹線車両が変形する巨大ロボットとしては、300系が変形する「勇者特急マイトガイン」(1993年)などの先例がありましたが、JRグループ(ジェイアール東日本企画ほか)が参画してのプロジェクトとしては初めてのものです。

     2018年からテレビアニメ版「新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION」が始まり、作品世界はさらに広がりと深みを増しました。2019年6月で惜しまれつつ放送が終了しましたが、TBS系28局での放送がある毎週土曜日には、東京駅の新幹線ホームに本物の車両を見ようと、多くの子供連れがやってくるという人気を誇りました。

     そのテレビアニメ版で、主人公の速杉ハヤトらが運転(操縦)するシンカリオンと対をなす存在として登場するのが、謎の「漆黒の新幹線」が変形するブラックシンカリオン。当初は敵方として対決しますが、第47話以降はハヤト達を手助けする存在となります。

     どこからともなく現れる謎めいた存在であると同時に、シャープなラインが際立つ黒いボディは子供たちの間でも高い人気を誇ります。今回、その漆黒の新幹線が現れたのは、とある鉄道模型店のレンタルレイアウト。Nゲージの線路上です。

     これを作ったのは、鉄道模型を趣味とするクレナイさん(@getureigo)。クレナイさんは目撃した子供とその母親、店員さんとの会話を「母親『Nゲージのブラックシンカリオンってあるんですか?』店員『いえ、発売していません』母親『w?じゃぁあそこで走っているのは?」店員「お客様の自作品ではないかと…』母親『売ってないんだって』子供『びえぇぇぇぇっ!(泣』 自分(お母さん、店員さん、マヂごめん!!)」と Twitterで紹介してくれています。

     続くツイートには、過去にも同じように子供連れの母親に聞かれ、自分で作ったと答えると母親が子供に「じゃぁお父さんに作ってもらおうね」という流れになった話も紹介してくれています。お父さん、作れたのかなぁ……。

     クレナイさんによると、これは2作目(2編成目)となる漆黒の新幹線。最初の作品は、アニメで「E2系が行方不明になっている」という描写があり、それをもとにE2系車両をベースに1か月ほどでフル編成を作ってしまったとのこと。ちなみにシンカリオンも、E2系をベースにした試作機(シンカリオン E2)が存在します(爆発事故で後尾車のみ残存)。

     しかし完成してみると、先頭部分がアニメの姿に比べて寸足らずなところがあり、なにか似ていないと感じていたとか。その後アニメの放送終了間際に登場した姿をよく見てみると、E2系より先頭部分が細長く伸びたE5系がベースではないかと気が付き、E5系をベースに2週間ほどで先頭車のみを作ってみたそうです。

     確かにアニメに登場する漆黒の新幹線は、運転台部分がキャノピー状になっており、E5系に似たフォルムといえます。後ろに連なる窓の数もE2系より少なく、E5系に近そう。先頭部分が長く伸び、シャープな印象がよく再現できています。

     特徴的な先頭部分の造形は、パテを盛って形を整えたもの。パテの分重心が前方に移り、フルスピードで走らせた際にカーブで遠心力により脱線してしまったので、後ろの台車位置に重りを載せ、バランスを調整しているんだとか。パテと重りで、通常なら軽いはずの先頭車が、モーターを乗せた車両のようにズッシリしているそうです。

     こうして出来上がったE5系ベースの先頭車を既存のE2系ベースの編成に連結し、10月に鉄道模型を公開する機会で走らせたところ好評だったので、現在残りの車両もE5系をベースに作っている最中だといいます。クレナイさんのTwitterでは、その進捗状況が時折紹介されています。

     クレナイさんによると、先頭車以外の車両はアニメなどで描写されることが少なく、考証資料が少ないのが悩みの種だとか。アニメでのブラックシンカリオンへの変形シーンや、プラレール(現在は絶版)の画像をにらめっこしながら作っているんだそうです。

     この漆黒の新幹線、ちゃんとNゲージのレイアウト内で走らせることを目的としているので、車体寸法はNゲージの車両限界を超えないよう作られています。走っているところを見て、子供だけでなく「ブラックシンカリオンだ」と言ってくれるだけでも、作った側としては嬉しい限りだとのこと。

     もし見かけた際に、その場で質問や模型の写真を撮るのは歓迎だとクレナイさん。しかし欲しがる子供に泣かれてしまうのは、ちょっと心苦しいと心境を話してくれました。

     漆黒の新幹線、ブラックシンカリオンは、“光の線路”でどこへでも出現します。このNゲージ模型も、ある日突然、とこかのNゲージレイアウトに現れるかもしれませんよ。運転士との適合率が高まると、ひょっとしたら「紅編成」も……?

    <記事化協力>
    クレナイさん(@getureigo)

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 「魔法みたい」額縁の中で走り続ける電車 精巧なジオラマに10万いいね
    インターネット, おもしろ

    「魔法みたい」額縁の中で走り続ける電車 精巧なジオラマに10万いいね

  • 盛岡運転区をイメージしたカット(SERENAさん提供)
    インターネット, おもしろ

    20年ぶり再開のNゲージが大発展 4年間の移り変わりに注目

  • 注射器を使ったスライド撮影(B作さん提供)
    インターネット, おもしろ

    これはナイスアイデア 100均「注射器型スポイト」でジオラマのスライド撮影

  • 本物のセメントで作られたNゲージ鉄道模型のトンネル(飽き性モデラーさん提供)
    インターネット, びっくり・驚き

    本物のセメントでトンネルを作成!こだわり光る信越本線のジオラマ

  • 下津井電鉄の走る風景(SlopeModel磯野さん提供)
    インターネット, 感動・ほのぼの

    懐かしき鉄道風景を生活感あふれる表現で SlopeModelさんのジオラマ

  • 「魔女の宅急便」の街並みを鉄道模型で再現。
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「魔女の宅急便」の街並みを鉄道模型で再現 71歳ジオラマ作家の飽くなき探求心

  • Junichiさんの大都会ジオラマ(Junichiさん提供)
    インターネット, びっくり・驚き

    喧騒まで聞こえてくるよう 電車が行き交う大都会ジオラマ

  • 画像提供:今そっちさん(@gororin_dararin)
    インターネット, びっくり・驚き

    家族も絶賛「妹のケーキ作りが天才すぎ」 プロ顔負けのクオリティ

  • 雪と一緒に車までぶっ飛ばすDE15のジオラマ(B作さん提供)
    インターネット, おもしろ

    雪と一緒に車もぶっ飛ばす!?豪快なラッセル車のジオラマ写真

  • 生活感あふれる私鉄沿線住宅地のジオラマ(Ruinsさん提供)
    インターネット, びっくり・驚き

    コレクションケースにおさまるミニチュア世界 生活感あふれる住宅地ジオラマ

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 民放連、アニメ作品の“そっくり映像”出回り懸念 生成AIに声明
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    民放連、アニメ作品の“そっくり映像”出回り懸念 生成AIに声明

  • 欧州連合の旗(写真ACより)
    インターネット, 社会・物議

    EU、ネット上での児童性被害対策を強化 日本企業にも影響広がる可能性

  • ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応
    ゲーム, ニュース・話題

    ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

  • ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品
    商品・物販, 経済

    ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品

  • 100tハンマー
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで…

  • 韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目
    商品・物販, 経済

    韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目

  • トピックス

    1. 違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

      違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

      旧き良き銭湯が異次元の入浴空間に変身するイベント「脳汁銭湯」が、11月26日から12月7日まで東京・…
    2. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…
    3. フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      SNS上には今日も、「○○が当たる!」といったプレゼント告知があふれています。いまや日常の景色と言っ…

    編集部おすすめ

    1. 誤表記

      もちづきさん、カロリーを低く表記し謝罪 読者に“チェック”呼びかけ

      漫画「ドカ食いダイスキ! もちづきさん」公式Xが11月27日夜に更新し、作品の一部でカロリーを実際よりも低く表記していたと謝罪しました。当該…
    2. ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロ…
    3. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に基づく誤通報だったことが判明。通報者自身…
    4. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    5. 100tハンマー

      伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで開催

      「シティーハンター」連載開始40周年を記念した原画展「シティーハンター大原画展~FOREVER, CITY HUNTER!!~」が、11月2…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト