東京・新宿シネマカリテでは2019年12月28日からの年末年始企画として、映画評論家の江戸木純さんがプロデュースする、ヒドイ出来だけどなぜか笑える伝説の怪作映画2本を上映する特集「サイテー映画の大逆襲2020!」を開催。その特報およびメインカットが解禁されました。

 2019年も数多くの映画作品が劇場で上映されました。しかし、映画というのは名作や傑作ばかりではなく、時には「あれ?」と思うような作品も存在します。企画が変、カメラワークがおかしい、キャストの芝居が下手……思わず「金返せ!」と言いたくなるけど、何か憎めない、そんな愛すべき“サイテー映画”を改めて紹介しようというのが、この「サイテー映画の大逆襲2020!」です。

 プロデュースするのは、大ヒットしたインド映画「ムトゥ 踊るマハラジャ」や「処刑人」などを日本に紹介した映画評論家の江戸木純さん。ペンネームの由来は、ティム・バートン監督の映画にもなった“史上最低の映画監督”エド・ウッドということもあり、サイテー映画にも造詣の深い人物です。

 上映されるのは、江戸木さんともゆかりの深い2作品。12月28日から上映される第1弾は、A・C・スティーブン監督の「死霊の盆踊り」です。

 原題は「Orgy of the Dead」という1965年の作品ですが、日本ではジョージ・A・ロメロ監督の“ゾンビ3部作”最終章「死霊のえじき(原題:Day of the Dead)」や、サム・ライミ監督の「死霊のはらわた(原題:The Evil Dead)」など、スプラッター映画ブーム全盛期の1986年に公開。邦題「死霊の盆踊り」は、この作品を日本に紹介した江戸木さん命名によるものです。

 原作と脚本はエド・ウッド。墓場に迷い込んだ男女が見たものは、死霊たちがなぜか意味もなく熱狂的に踊りまくるという「何を言っているのかわからねーと思うが……」と、まるで「ジョジョの奇妙な冒険」のポルナレフのように「体験したというよりは、まったく理解を超えていた」と言いたくなるような光景。

 アメリカの有名映画レビューサイト「ロッテン・トマト」で衝撃の“満足度0%”をたたき出したという、筋金入りのサイテー映画です。でもこのナンセンスさ、だんだんクセになってくるんですよね……。

 年明けの2020年1月11日から上映される第2弾作品は、エド・ウッド監督の「プラン9・フロム・アウタースペース」。ティム・バートン監督の「エド・ウッド」で撮影時のエピソードが描かれ、吉本のお笑いユニット「ザ・プラン9」の名前の由来にもなった、1959年の作品です。

 古典ホラーの名作である1931年の映画「魔人ドラキュラ」に主演し、ドラキュラ俳優として知られるベラ・ルゴシの遺作でもあるこの作品。製作費を捻出するため、スポンサーとなったバプテスト教会にキャスト全員が帰依したというエピソードも伝わる宇宙人ものです。

 あまりの出来の悪さに安くテレビ局に買いたたかれ、深夜に何度となく放送されたために、のちにアメリカではカルト的な人気を得ました。これを総天然色版で上映します。

 今ではなかなかお目にかかることのできない、伝説の怪作2本が劇場で見られるというレアな機会。東京・新宿シネマカリテで12月28日からスタートです。

情報提供:エデン、祭屋

(咲村珠樹)