アメリカ空軍で、F-35Aの高い能力を各地のエアショウで披露する「F-35Aデモンストレーションチーム」。その2代目パイロットに女性のクリスティン・ウルフ少佐が就任しました。ウルフ少佐は元F-22の教官パイロットでもあります。
アリゾナ州ルーク空軍基地の第56戦闘航空団で発足したF-35Aデモンストレーションチーム。初代パイロットはアンドリュー・オルソン少佐(コールサイン:Dojo)でした。全米各地のエアショウでF-35Aの高い飛行能力を見せるほか、P-51やF-86、F-22と編隊飛行を行う「ヘリテージフライト」でも活躍しています。
2020年シーズンから、F-35Aデモンストレーションチームはユタ州のヒル空軍基地に移動し、第388戦闘飛行隊に編入されました。これにともなってオルソン大尉は任を解かれ、新たなパイロットとして抜擢されたのが、女性のクリスティン・ウルフ少佐(コールサイン:BEO)です。
2020年2月29日に、戦闘航空軍団(ACC)司令官のマイク・ホルムズ大将から正式な2代目パイロットとしての合格通知を受け取ったウルフ少佐は、父が元F-4G、F-15Cパイロットの退役大佐というサラブレッド。大学の予備役将校訓練課程(ROTC)を経て空軍に入隊しました。
戦闘機パイロット資格を得て、最初に乗ったのがF-22。初めから第5世代戦闘機を経験したというネイティブ世代です。F-22では飛行教官を務め、2017年にF-35Aへと機種転換しました。F-22とF-35A、双方での飛行経験は800時間以上に及びます。
前任者のオルソン少佐は「F-35Aデモチームの2代目パイロット兼リーダーに、彼女が抜擢されたというのは、非常に素晴らしい選択だと思います。元F-22の飛行教官であり、初めからずっと第5世代戦闘機に習熟したパイロットですから。彼女は素晴らしいロールモデルであり、アメリカ空軍の大使としても適任の人物。きっとF-35Aデモチームを新たなレベルに引き上げてくれるだろうと期待しています」と、ウルフ大尉の資質に太鼓判をおします。
ウルフ少佐は「これから各地でF-35Aの展示飛行をする機会に恵まれたのは、控えめに言っても非常にやりがいのあることです。幸運にもヒル空軍基地の素晴らしいスタッフとともに、F-35Aがどのような能力を持っているか、その一端を皆さんにお見せすることができるのですから」と抱負を語っています。
2代目パイロットにウルフ少佐を迎えた、新生F-35Aデモンストレーションチームの初舞台は、3月13日・14日に開催予定のアリゾナ州ユマ海兵隊航空基地でのエアショウ。その後10月31日・11月1日のフロリダ州サンフォード(オーランド)エアショウまで、全米各地で開催される22のエアショウで飛行展示を行うことになっています。
<出典・引用>
アメリカ空軍第388戦闘航空団 ニュースリリース
Image:USAF
(咲村珠樹)