エアバスは2020年5月26日(スペイン時間)、同社の戦術輸送機A400Mが自動低空飛行装置の型式証明を取得したと発表しました。戦術輸送で重要となる、地形に追従しての低空飛行はパイロットにとって大きな負担となるため、自動化することで事故のリスクを軽減することにつながります。
エアバスの発表によると、型式証明取得のための飛行試験は、スペインとフランスの国境にまたがるピレネー山脈と、フランス中央部で実施されました。最低飛行高度を500フィート(約150m)に設定し、低空飛行から通常の戦術輸送の高度に復帰するなど、様々な状況での飛行を重ねたといいます。
自動低空飛行装置の型式証明は2段階に分かれており、今回A400Mが取得したのは第1段階にあたるVFR(有視界飛行方式)による低空飛行に関するもの。パイロットが地表面を視認できる状態で、地形に追従しての低空飛行を自動操縦で行なう、というものです。
第2段階となるのは、より過酷な視界のきかない状態での低空飛行。霧や雨などの悪条件で、地面に衝突しないよう各種センサーや計器の情報のみで設定高度を維持し、地形に追従して飛行するというものです。
戦場では悪天候でも輸送任務を遂行しなければならない場面があるため、戦術輸送機にとっては重要なものとなりますが、これが自動操縦で可能になれば、パイロットの負担は大きく軽減されます。エアバスでは2021年の第2四半期にも、このIFR(計器飛行方式)での自動低空飛行の型式証明を取得できると見込んでいます。
※エアバスによると見出し写真は飛行試験のものではなく、2017年にイギリスの「マッハループ」で撮影されたA400Mの画像とのことです。
<出典・引用>
エアバス プレスリリース
Image:Scott Norbury(エアバス提供)
(咲村珠樹)