おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

月面着陸を目指すNASAのオリオン宇宙船3号機 機械船をエアバスが受注

 エアバスは2020年5月26日(ドイツ時間)、NASAの新型有人宇宙船オリオン3号機の機械船を総額約2億5000万ユーロ(約300億円)で受注したと発表しました。オリオン3号機は2024年、史上初となる女性宇宙飛行士を乗せての月面着陸を目指します。

  •  NASAの有人月・火星探査計画「アルテミス」。その中心となる宇宙船がオリオンです。オリオンはロッキード・マーティンが作る有人モジュール(帰還カプセルを兼ねる)と、エアバスが作る機械船で構成されています。

     機械船(サービスモジュール)は、宇宙船の推進力や姿勢制御と船内の電力供給、そして水や酸素など宇宙飛行士の生命維持を担当する重要な部分。宇宙開発における国際協力の枠組みの中で、このモジュールを欧州宇宙機関(ESA)が担当することになり、エアバスが開発・製造を担うことになりました。

     機械船は「ヨーロピアン・サービス・モジュール(ESM)」と呼ばれる円筒型のモジュール。これにX字型に展開する4つの太陽電池パネル(全幅19m)と、後端に推進用エンジン1基、そして32の姿勢制御用スラスタが装備されています。太陽電池の発電力は、一般的な家庭2軒分の電力を供給することが可能。


     エアバスの宇宙開発部門を統括するアンドレアス・ハマー氏は「私たちのノウハウと専門知識は、国際的なパートナーシップを通じて将来の月ミッションを推し進めることができます。発注者であるNASAとESA、そして宇宙船の開発・製造を担当するロッキード・マーティンと協力することで、アルテミス計画初期における3つのミッションの信頼できる基盤が整いました。今回の契約は、ヨーロッパとアメリカの持つ最高の宇宙技術の融合を意味するものです」とのコメントを発表しています。

     アルテミス計画では、まず2021年に無人の宇宙船を月まで往復させる技術試験ミッション「アルテミス I」を実施。問題がなければ、宇宙飛行士を乗せて月まで往復する「アルテミス II」ミッションに移行します。有人月着陸を目指す「アルテミス III」ミッションでは、初めて女性宇宙飛行士による月着陸が予定されています。


     初飛行となる「アルテミス I」用の機械船はすでに完成してアメリカに送られ、NASAのグレン研究所にあるプラム・ブルック・ステーションで有人モジュールとともに環境試験に供されました。「アルテミス II」用2号機の機械船は、現在ドイツのブレーメンで組み立てが進んでおり、2021年前半にもアメリカへ送り出せるとのことです。

    <出典・引用>
    エアバス プレスリリース
    Image:Airbus/ESA/NASA

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 画像提供:木林きききさん(@hageourzee)
    社会, 経済

    宇宙に飛ばして撮影 ブラックモンブランのパッケージには様々な想いが!

  • 「地球の歩き方」と漫画「宇宙兄弟」がコラボ!物語の舞台をめぐりながら地球や宇宙をトラベル
    商品・物販, 経済

    「地球の歩き方」と漫画「宇宙兄弟」がコラボ!物語の舞台をめぐりながら地球や宇宙を…

  • 2700円であなたも月の土地オーナーに?分譲中の月の土地を1エーカー買ってみた
    宇宙・航空

    2700円であなたも月の土地オーナーに?分譲中の月の土地を1エーカー買ってみた

  • 窓の外に地球が見える!宇宙旅行気分が味わえる丸窓液晶ディスプレイに注目
    インターネット, びっくり・驚き

    窓の外に地球が見える!宇宙旅行気分が味わえる丸窓液晶ディスプレイに注目

  • 変形型月面ロボット「SORA-Q」
    商品・物販, 経済

    変形型月面ロボット「SORA-Q」を玩具で再現 「宇宙兄弟」モデルも

  • 新しい月面用宇宙服「AxEMU」(画像:アクシオム・スペース)
    宇宙・航空

    NASAの新しい月面用宇宙服お披露目 民間企業が開発

  • JAXA山川理事長らが出席した記者会見の様子(JAXA公式YouTubeチャンネルよりスクリーンショット)
    宇宙・航空

    H3ロケット試験機1号機の「指令破壊」何があった?

  • 記者会見で笑顔を見せる米田あゆさん(YouTubeライブ配信映像より)
    宇宙・航空

    記者からのプライベートな質問を断った宇宙飛行士候補の米田あゆさん その優れた資質…

  • 画像は2022年12月7日に公開されたトレイラームービーのスクリーンショットです
    ゲーム, ニュース・話題

    宇宙ステーション建設シム「IXION」が配信開始 日本語インターフェースとテキス…

  • 宇宙の歩き方 太陽系トラベルブック01
    商品・物販, 経済

    これで宇宙旅行も安心!「宇宙の歩き方 太陽系トラベルブック」が発売

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 欧州連合の旗(写真ACより)
    インターネット, 社会・物議

    EU、ネット上での児童性被害対策を強化 日本企業にも影響広がる可能性

  • ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応
    ゲーム, ニュース・話題

    ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

  • ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品
    商品・物販, 経済

    ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品

  • 100tハンマー
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで…

  • 韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目
    商品・物販, 経済

    韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目

  • 鈴木福×あの W 主演、「惡の華」が2026年4月にドラマ化 ディズニープラスで独占配信
    アニメ/マンガ, 放送・配信

    鈴木福×あの W 主演、「惡の華」が2026年4月にドラマ化 ディズニープラスで…

  • トピックス

    1. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に…
    2. 派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      「とても茨城県」というつぶやきとともに、Xに投稿された一枚の写真。そこには、一般的な工事現場のイメー…
    3. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…

    編集部おすすめ

    1. ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロ…
    2. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    3. 100tハンマー

      伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで開催

      「シティーハンター」連載開始40周年を記念した原画展「シティーハンター大原画展~FOREVER, CITY HUNTER!!~」が、11月2…
    4. 宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      11月22日午前、X(旧Twitter)のトレンドに「宙組公演特別メニュー」が一時浮上し、ファンの間で大きな話題となりました。きっかけとなっ…
    5. ミラノで開催「IQOS Curious X Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      ミラノで開催IQOS X SELETTI「Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      フィリップ モリスが、イタリアでイベント「Sensorium Worlds」を開催。今回は、この壮大なイベントの模様とともに「IQOS To…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト