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イタリア空軍F-35 アイスランド防空任務で初スクランブル

 イタリア空軍は2020年7月3日(現地時間)、今月からNATOのアイスランド防空任務に就いている第32航空団のF-35Aが、初のスクランブルを実施したと発表しました。6月18日にNATOの完全作戦能力を獲得したイタリア空軍のF-35にとって、記念すべき初の実戦参加となります。

  •  NATOでは、ロシアに近い加盟国であるアイスランドやバルト3国(エストニア、リトアニア、ラトビア)の防空について、加盟国の空軍が持ち回りで担当しています。2020年7月現在、バルト3国にはイギリス、スペイン、フランスが、そしてアイスランドには、2月から担当していたノルウェーのF-35Aに代わり、イタリアのF-35Aが着任しました。

     NATOのアイスランド防空任務を担当する戦闘機部隊は、首都レイキャヴィークの西に位置するケプラヴィーク国際空港を拠点としています。7月3日、未確認機がアイスランド方面に向かっているのをNATOの防空レーダー網が感知。ドイツのウエーデムにあるNATO統合航空作戦司令部からスクランブル命令が発せられ、待機していたイタリア空軍のF-35Aが離陸しました。

     ノルウェー沖から飛来した対象機に接触したF-35Aは、定められた手順に従って警告を実施。空域を離脱するまで監視活動を続けました。

     この不明機(ロシア軍機)は、その後アイスランドからイギリス北部へと進み、今度はイギリス空軍第6飛行隊のユーロファイター・タイフーンがスクランブル。イタリア空軍機に引き続き、監視活動を実施しましたが、イギリスが担当する飛行情報区(FIR)の手前で引き返したといいます。

     なお、この際イギリス空軍では空中給油機として、VIP輸送仕様のボイジャーZZ336号機「ベスピナ」が空域に進出。目立つVIP専用機塗装に変更してからは、初めての実戦参加(スクランブルは戦闘機が実弾を搭載して出撃するため「実戦」扱いとなる)を果たしています。

     アイスランド沖やバルト海は、ロシアが大西洋へ進出する際の通り道である上、NATOとロシアの境ということもあり、双方の陣営がレーダーや防空システムの情報を得ようと定期的に偵察を実施している地域。スクランブルは日常茶飯事ですが、対応を間違うと偶発的な戦闘に発展する恐れがあるため、パイロットは緊張感を持って任務にあたっています。

    <出典・引用>
    イタリア空軍 ニュースリリース
    イギリス空軍 ニュースリリース
    Image:イタリア空軍/Crown Copyright 2020

    (咲村珠樹)

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