イタリア空軍などが運用しているジェット練習機、アエルマッキM-346の試作2号機が、イタリア最大の航空博物館であるヴォランディア(Volandia)飛行機博物館に収蔵されることになり、レオナルドから正式に移管されたと2020年9月16日(現地時間)、レオナルドから発表されました。

 アエルマッキM-346は1990年代初めに、ロシアのヤコブレフとの共同プロジェクトとして開発がスタートしました。しかし、詳細な仕様設計をめぐり双方で意見の隔たりが大きくなり、最終的に共同開発関係は解消。基礎的な設計を同じくしながら、ヤコブレフ側はYak-130、アエルマッキ側はM-346という別の練習機として完成しました。


 M-346は2004年6月15日に初飛行。今回博物館に移管された試作2号機「X616」は、2005年5月15日に初飛行し、試作1号機とともに様々な飛行試験に供されたほか、各地のエアショウでデモ飛行を実施しました。

 試作機ということもあり、このX616は試験用の計器が装備されているほか、量産型とは違う部品も使われています。型式証明への飛行試験プログラム終了後は、ヴェネゴーノにあるレオナルド(アエルマッキ)の施設で保管されていました。

 今回、X616を収蔵することになったヴォランディア飛行機博物館は、イタリア国内の航空宇宙関連企業や自治体が設立したヴォランディア財団により、2010年に開館したイタリア最大の航空博物館。ヨーロッパでも最大規模の航空博物館です。

 博物館では、宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」にも登場した、カプローニ伯爵が1910年に建設した飛行機工場を保存するとともに、カプローニCa.1に始まるイタリアの航空史を約100機の実機資料でたどることができます。

 これまで博物館に展示されていたM-346は、レオナルドがエアショウなどの展示用に製作した実物大模型。博物館にとっては、待望の実機ということになります。

 X616は輸送用に一部分解され、ヴェネゴーノからミラノ・マルペンサ国際空港に隣接するヴォランディア飛行機博物館に到着。機体の再組み立てと修復作業を経て、館内で展示されることになります。

<出典・引用>
レオナルド ニュースリリース
Image:Leonardo/イタリア空軍

(咲村珠樹)