ヨーロッパで早くから新型コロナウイルスの感染が拡大し、医療体制が崩壊するなど苦しんだイタリア。その痛手から復活しつつある国民を勇気づけるため、イタリア空軍の曲技飛行チーム「フレッチェ・トリコローリ」が全国を巡るツアーを5月25日(現地時間)から始めました。
新型コロナウイルス禍から立ち直るイタリアを応援する、イタリア空軍曲技飛行チーム「フレッチェ・トリコローリ」のツアーは「アブラッキオ・トリコローリ(三色の抱擁)」と名付けられました。イタリア各州の中心的都市をめぐり、国旗にも採用されたイタリアの統一と連帯を象徴する緑、白、赤のカラースモークで空を彩り、コロナウイルス禍から立ち上がる市民を抱きしめ、元気付けるという意味が込められています。
第313曲技飛行隊「フレッチェ・トリコローリ」は、イタリア空軍を代表してヨーロッパ各地のエアショウやF1イタリアグランプリ、世界的な自転車レース「ジロ・デ・イタリア」など各種イベントで展示飛行を実施しています。2020年はチーム創設60年目の記念すべきシーズンですが、新型コロナウイルスの感染拡大により、予定されていた多くの飛行機会がキャンセルされてしまいました。
初日となった5月25日は、チームの本拠地であるリボルト空軍基地を離陸して、新型コロナウイルスの感染者が最も多かった北部ロンバルディア州を訪問。午前中にトレント、コドーニョ、ミラノ、午後にトリノとヴァッレ・ダオスタ州都のアオスタ上空を飛行しました。
今後の日程は、5月26日にジェノヴァ、フィレンツェ、ペルージャ、ラクイラを飛行。27日にはサルデーニャ島のカリアリとシチリア島のパレルモ、28日にカラブリア州都カタンザーロ、プッリャ州都バーリ、バジリカータ州都ポテンツァ、カンパニア州都ナポリ、モリーゼ州都カンポバッソを訪問します。
5月29日にはマルケ州のロレートと州都アンコーナ、エミリア=ロマーニャ州都のボローニャ、ヴェネト州都のヴェネツィア、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州都のトリエステ上空を飛行。ツアーの最終日はイタリア共和国記念日である6月2日、首都ローマ上空を飛行して締めくくります。
新型コロナウイルスと戦う人々を応援する飛行は、アメリカやカナダ(ツアー中の事故で広報幹部が死亡したため中断中)でも実施されていますが、これは空を見上げることで気持ちも上向きになってほしい、という願いを込めたもの。フレッチェ・トリコローリもツアーを通じて、イタリア市民に空を見上げ、前向きな気持ちになってくれたらという願いを胸に飛び続けます。ツアーの様子は各種SNSのハッシュタグ「#AbbraccioTricolore」で見ることができます。
<出典・引用>
イタリア国防省 ニュースリリース
イタリア空軍 ニュースリリース
Image:イタリア空軍
(咲村珠樹)