エアバスは2020年12月2日(現地時間)、西アフリカのマリ共和国から追加のC295輸送機を受注したと発表しました。マリ共和国空軍では2016年末からC295輸送機を運用しており、老朽化している輸送機の世代交代を図ります。
西アフリカのマリ共和国では武力衝突が絶えず、現在は旧宗主国のフランスと、ドイツが平和維持部隊(PKO)を派遣しています。2020年8月には軍事クーデターが起こり、暫定政府が樹立されました。日本の外務省はクーデターを非難する声明を出しており、現在のところ暫定政府を承認していません。
一方、マリ共和国空軍の装備は老朽化が進んでおり、大型の輸送機はDC-3をターボプロップ化したBT-67や、1980年代に導入されたアントノフAn-26という状況。これらの後継として、C295を1機導入したのは2016年のことです。
今回の追加発注も1機で、マリ共和国空軍の大型輸送機はC295に統一されることになります。発注を受け、エアバス・ディフェンス&スペースでマーケティングとセールス部門を統括するベルナール・ベルナー氏は「マリ政府からの再度の発注は、C295の卓越した性能と能力を物語るものです」とコメントし、2016年に導入されたC295の実績に基づくものという見方を示しています。
西アフリカ諸国では、ほかにブルキナファソやガーナ、コートジボワールといった旧フランス植民地諸国でもC295を運用しています。今回発注分のC295は2021年にも引き渡され、現在もイスラム系過激派組織アンサール・アッ=ディーンの勢力下にある、国土の北部を奪還する作戦に投入されるものと思われます。
<出典・引用>
エアバス プレスリリース
外務省・外務報道官談話「マリ共和国情勢について」
Image:Airbus
(咲村珠樹)