Withコロナ時代、人生100年時代において、これまで以上に健康管理の在り方の見直しやテクノロジーを活用したセルフケアに注目が集まっています。P&Gジャパン合同会社は「ヘルステックで変える未来の健康管理の在り方 ~テクノロジー活用で見直すセルフケアとは~」をテーマにしたオンライン・シンポジウムを11月2日に開催しました。
オンライン・シンポジウムは第一部「with コロナ時代の健康管理の捉え直しとテクノロジー活用の可能性」「第二部 オーラルケアをアップデートさせるテクノロジーのヒント」の2部構成で行われました。
ファシリテーター(進行役)をつとめたのは、READYFOR株式会社の室長であり一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会の市川衛さん。他にもエベリスト株式会社の取締役でダイエット・セルフケア美容家の本島彩帆里さん、慶應義塾大学・医学部教授の宮田裕章さん(第一部のみ)、歯列育成クリニック院長で歯学博士・日本小児歯科学会専門医の島津貴咲さん、P&Gインターナショナルオペレーションズ オーラルケア アジア部長 シニアディレクターの大川正樹さんという5名が登場しました。
■ 第一部「with コロナ時代の健康管理の捉え直しとテクノロジー活用の可能性」
第一部「with コロナ時代の健康管理の捉え直しとテクノロジー活用の可能性」でははじめに、「ヘルステック、セルフケアがいま注目される理由」についてファシリテーターの市川さんが説明。
Withコロナ時代における「超少子化、超高齢化」「疫病構造の変化(がん患者、認知症患者の増加)」といった社会問題は「各個人ひとりひとりが向き合っていく課題」に変遷。一方でそうした健康問題のデータ取得が容易になったことに触れ、参加者各々がコロナ前と比べて意識や行動が変化したことを出し合いました。
ダイエット・セルフケア美容家の本島さんは「自分のことを調べまくる」ことを意識しているといい、自律神経のアプリや睡眠アプリを活用。自分の体調をデータ化して管理しているとのこと。
また、慶應義塾大学・医学部教授の宮田さんは、医療者だからこその視点で“セルフケア”との向き合い方について説明。「強調しておきたいのはセルフケアは病院にアクセスできなくなっても個人で全部やってくださいという事ではなく、セルフケアの意識を高めることは大事である一方でこれからの医療のシステムは、遠隔であったりそれ以外のさまざまなサポートを含めながら一人一人家に居るときも寄り添って行くことが必要」とのべています。
また、シンポジウムが独自に行ったアンケート結果によると、コロナ禍において健康/衛生意識が高まったと回答した人は約4割。さらに全体の約半数の方が「ヘルステックの力で健康をアップデートしたい」「自身の健康に対してはお金を掛けてもいいと思っている」と回答。テクノロジーを活用した個人で出来る健康管理に関して、より高い関心が寄せられていることが分かります。
中でも日本国内のオーラルケア市場は4000億円超で成長を続けていると解説するP&Gの大川さん。特に歯ブラシ(電動含む)の市場は全体の20%に当たる800億円にのぼり、「マウステック(口腔ケアのテクノロジー)」が市場を伸長しています。
コロナ禍をきっかけに「お口の健康を見直したい」と回答した人は全体の約半数。特に20代、30代という若年層の間で高い比率となっており、オーラルケア=健康管理というイメージが構築されつつあるようです。
そして歯学博士の島津さんは、健康管理とオーラルケアが直結することについて説明。口の中の細菌は歯周病や虫歯といった口腔内の症状以外に、心臓の病気、肝臓の病気をはじめとした、身体全体で発症する病気と直結しているそうです。
特に日本人は諸外国と比較し、「痛みや腫れといった症状が出てから歯医者を受診する」人の比率が圧倒的に高く、歯医者に積極的にかかる認識を持つ人が非常に少ないことも問題。本来は歯医者は「定期的に通いつつ、プロによる口腔内ケアを受ける」場所。「プロケア」と「セルフケア」を分けて考え、日常的に歯医者にかかる習慣も非常に大切であると島津さんは話します。
一方、こうした口腔内の細菌に対して出来るセルフケアはやはり「歯垢を落とす毎日の歯磨きの見直しが大切!」とのこと。新しい歯磨き粉やマウスウォッシュ等をあれこれ足すよりも、今の磨き方や歯ブラシ自体を見直すことが重要である、という結論を持って第一部は終了しました。
■ 第二部のテーマは「オーラルケアをアップデートさせるテクノロジーのヒント」
続く第二部は「オーラルケアをアップデートさせるテクノロジーのヒント」がテーマ。
歯ブラシの市場でも特に電動歯ブラシへの注目度は非常に高く、世界的医療評価機関である「コクラン・コラボレーション」からも「回転振動式電動歯ブラシは一貫して手磨きよりも高い歯垢除去能力・歯肉炎減少に効果がある」と評価されています。しかしながら、国内における電動歯ブラシの普及率はまだ2割程度。
そこでP&Gの大川さんは自社の取り組みとして「#はみがきスイッチ」活動を紹介。これは手磨き歯ブラシから電動歯ブラシに切り替えることでより健康的なオーラルケア習慣を推奨していく活動。「歯科クリーニングのようなセルフケア」を自宅で実現することを目的としています。
活動のスタートに伴いまずは自社社員3500人に電動歯ブラシ「オーラルB iO」を福利厚生制度として提供し、正しいオーラルケアの習慣を社員から広げていっていることや、保育園・幼稚園児、妊産婦、介護者といった、特にオーラルケアへの意識変化が必要な方を対象に、啓発活動など様々な取り組みが行われているそうです。
では実際に電動歯ブラシを使用することで、どれ程のアップデートが実現できるのか?P&G社員が実際に「オーラルB iO」を使用したデモンストレーションを実施。
オーラルBの代名詞である丸型回転ブラシの仕組みや機能の説明のほか、歯垢に見立てた絵具を取り除く様子を手磨きと電動歯ブラシで比較したり、人工知能によりアプリと連動して、口腔内の状態をデジタル化。磨き残しをゼロに近づける事が出来る機能を紹介しました。
最後に参加者が「オーラルケアや健康管理に対して今後の具体的アクション」を宣誓。その中でP&Gの大川さんは「歯を磨くことは一番身近な健康習慣です。ぜひ『#はみがきスイッチ』で、毎日の歯磨きを見直してください」と改めて訴えていました。
取材協力:P&Gジャパン合同会社
(取材:山口弘剛)