おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

いつかまた「参戦」する日を夢見て プラモデラーがガンダム・センチネル「Sガンダム」をドット絵アニメーションで再現

 「ガンダム・センチネル」という作品をご存じでしょうか。

 今から30年以上前に、模型雑誌「モデルグラフィックス」にて連載され、アニメ化が実現していないにもかかわらず、根強い人気を誇り続ける人気作です。

 そんな「センチネル」における主人公機「S(スペリオル)ガンダム」を、ドット絵で再現したファンアート動画が話題となっています。

  • 「スパロボ風?変形合体Sガンダム
    作製したメカや背景を組み合わせて、これで一旦完成とします。
    いつかガンダムセンチネルがスパロボに参戦する日を妄想してドットを打ちました~」

     上記のつぶやきとともに、小林DISKさん(以下、小林さん)が2021年12月末にTwitterで公開したのは、冒頭の「ガンダム・センチネル」の主人公機「Sガンダム」のドット絵。それを、約5秒のアニメーション動画にしたファンアート作品です。

     動画内では、上半身・下半身・コアファイターの3パーツに分かれたSガンダム独特のコア・ブロック・システムから、宇宙空間でモビルスーツ形態に合体するというシーンをアニメーションドットで再現。そのフォルムは、実際のものよりも、頭部を大きくし、全体は低頭身で表現した「SDガンダム」となっています。

    合体までの過程。

    Sガンダム特有の3機のパーツが「集合」。

    合体までの過程③

    ドッキングの瞬間も克明に再現されています。

     「ガンダム・センチネル」の時代設定は、「機動戦士Zガンダム」と「機動戦士ガンダムZZ」の間とされています。Zガンダムを彷彿とさせる面構えに、ZZガンダムのようなゴツイ体躯があわさったようなフォルムが特徴的。さらに、細かい線入れがなされているのが本機「Sガンダム」です。

    Zガンダムのような面構えに、ZZガンダムのようなごつい体躯が特徴的なSガンダム。

     Sガンダムというのは、変形機構が極めて複雑という点でも有名な機体。3機のパーツがドッキングする、というもので今回の動画内でも再現されています。なおこれは、ZZガンダムも同様です。

    Sガンダム独特のコアブロックシステムでの合体。

     「ザ・ロマン」ともいえる機体ではありますが、逆を言えばそれだけ再現も難しかったのでは?色々気になることを、小林さんに聞いてみました。

     「実際私もそう思っていたんですが、いざ自分で一通り作画してみると、決して難しいものでもなく、むしろシンプルにまとめられていることが理解できたんです。過去にガンプラも組み上げた経験もあったんですが、今回変形シーンを一コマずつ描くことで、デザインの凄さを再認識することができました」

     余談ですが、ガンダム・センチネルは、これまでに何度か「映像化」されています。

     代表的なものが、バンダイナムコエンターテインメントが販売展開している「スパロボ」こと「スーパーロボット大戦シリーズ」。1995年にスーパーファミコンで、翌96年にプレイステーションで発売された「第4次スーパーロボット大戦(PS版は第4次スーパーロボット大戦S)」内に、機体のみが「参戦」。

     「SDガンダム GGENERATIONシリーズ」では度々登場しています。特に2000年発売の「GGENERATION-F」においては、4つのステージとともにシナリオを再現。主人公である「リョウ・ルーツ」の声を、故・藤原啓治氏が熱演したことでも有名ですね。

     また、2013年から2014年にかけて放映されたアニメ「ガンダムビルドファイターズ」では、第17話「心の形」冒頭において、ヤサカ・マオが繰り出すガンプラとして登場。わずか30秒ほどの時間ではありますが、バウンド・ドックとの戦闘シーンも盛り込まれるほど、機体に関しては実はアニメ化が実現していたりします。

     ちなみに筆者は、「第4次スパロボ」「GジェネF」ともに幼少期にプレイ経験があります。今回取材をするにあたり、子供の頃の懐かしい思い出と同時に、「いつかガンダム・センチネルがスパロボに参戦する日を妄想して」という小林さんの文言からも、「やはり、この2つを参考にしたのかな?」と思い、質問をしています。

     「実は『αシリーズ』の頃をイメージしたドット絵アニメーションなんです。コマ数やスペック的にも意識した作りにしています」

     この「αシリーズ」というのは、2000年から2005年にかけて、バンダイナムコエンターテインメントの前身のひとつである「バンプレスト」より販売展開された「スーパーロボット大戦αシリーズ」のこと。

     改めて小林さんの動画を見てみると、確かにこれはその頃を連想させる動画。筆者は「αシリーズ」のプレイ経験もありますが、やり混んでいた当時を思い出す映像です。「あれ?センチネル参戦してたっけかな?」と錯覚してしまうほど。

     「元々『ドット絵でロボットを描けば、スパロボらしく見えるかな?』と思い、深く考えずにドットを打ちました。やや自分の懐古趣味になってしまいましたが、それでも『30周年』には間に合わせたかったので、キリが良いところで一旦完成としたんです」

     この動画がTwitterに投稿された2021年は、スーパーロボット大戦が発売されて30周年の節目となるメモリアルイヤー。それを受け、小林さんは「何か面白いことが出来ないかなと思って」と、自身の思い入れのある機体である「Sガンダム」のアニメーション動画を制作されています。

     ひょっとしたら、小林さんのいう「いつか」は今後も訪れないかもしれません。しかしながら、「閃光のハサウェイ」のように、劇場版アニメ化も実現するような「いつか」が訪れる可能性もあります。

     なお、小林さんは、今回の動画の「続き」の制作も計画しています。それは、Sガンダムのメイン武装である「スマートガン」を用いた戦闘シーン。「敵を撃破するところまで作りたいですね」。

    “相手役”はいったい誰になるのか。ひとまず筆者は、その「いつか」を心待ちにしたいと思います。

    <記事化協力>
    小林DISKさん(@wakuwakuwestern)

    (向山純平)

    あわせて読みたい関連記事
  • 赤ちゃんがガンダム資料集に夢中? 父の「英才教育」ぶりに反響
    インターネット, おもしろ

    赤ちゃんがガンダム資料集に夢中? 父の「英才教育」ぶりに反響

  • 「推し愛」で生まれた海の化身 ナス製カイオーガ精霊馬が24万いいね
    ゲーム, ニュース・話題

    「推し愛」で生まれた海の化身 ナス製カイオーガ精霊馬が24万いいね

  • 見せてもらおうか、国産パーカーの性能とやらを
    アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    COSPAから“ザクになれる”パーカー登場 普段使いできる3シーズン対応

  • 「ジオン水泳部」がスイーツ&パンに変身?食欲そそる塗装作品に注目
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「ジオン水泳部」がスイーツ&パンに変身?食欲そそる塗装作品に注目

  • まさに「まな板の上のコイキング」……粘土で再現されたファンアートが切ない
    ゲーム, ニュース・話題

    まさに「まな板の上のコイキング」……粘土で再現されたファンアートが切ない

  • 「ゆゆ式」縁ちゃんが“コンセントの顔”に! 世界の規格を表現したファンアートが話題
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「ゆゆ式」縁ちゃんが“コンセントの顔”に! 世界の規格を表現したファンアートが話…

  • 「ジークアクスハロ」のファンアートが凄まじい完成度 劇中のパック状態も再現
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「ジークアクスハロ」のファンアートが凄まじい完成度 劇中のパック状態も再現

  • 小石で描かれる斬新ファンアート 映画「碁盤斬り」草彅剛の肖像を描く
    インターネット, びっくり・驚き

    小石で描かれる斬新ファンアート 映画「碁盤斬り」草彅剛の肖像を描く

  • 折り紙限界突破!ジークアクスの「赤いガンダム」を徹底再現するツワモノ現る
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    折り紙限界突破!ジークアクスの「赤いガンダム」を徹底再現するツワモノ現る

  • いちご味の衝撃は通常の3倍?シャア専用ブラックモンブラン、食べてみた
    グルメ, 食レポ

    いちご味の衝撃は通常の3倍?シャア専用ブラックモンブラン、食べてみた

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 当時、イベント関係企業のSNSに投稿された告知画像
    社会, 経済

    “マジックミラー号”展示などで波紋 中野駅前大盆踊り大会が謝罪声明

  • 「走る先には何がある!?京成スカイライナーキャンペーン」オリジナルQUOカード
    イベント・キャンペーン, 経済

    京成電鉄、中島健人QUOカードが当たるキャンペーン 9月10日から

  • 鬼滅の刃マンチョコ<無限城編>
    アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    ロッテ、「鬼滅の刃マンチョコ<無限城編>」を10月21日発売 シリーズ第5弾

  • タカラトミー「グランドモールトミカビル」を自主回収 子どもの指挟み事故発生で
    商品・物販, 経済

    タカラトミー「グランドモールトミカビル」を自主回収 子どもの指挟み事故発生で

  • コレコレチャンネルより
    エンタメ, 芸能人

    コレコレさん「LINEで謝罪」も…稲田直樹さんは声明で“間接否定”

  • 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え
    エンタメ, 芸能人

    松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超…

  • トピックス

    1. 隣家からの怒号を音痴で撃退!母と娘が歌声響かせた、1週間の脱力戦記

      隣家からの怒号を音痴で撃退!母と娘が歌声響かせた、1週間の脱力戦記

      隣家から毎晩のように聞こえてくる喧嘩の怒鳴り声。文句の1つでも言ってやりたくなりますが、平穏なご近所…
    2. コレコレチャンネルより

      コレコレさん「LINEで謝罪」も…稲田直樹さんは声明で“間接否定”

      暴露系YouTuberのコレコレさんは、9月6日の配信でお笑いコンビ・アインシュタイン稲田直樹さんを…
    3. 脂肪と好奇心は人一倍!体重110キロ記者、ゆで太郎「倍盛り鍋かつ丼セット」に挑戦

      脂肪と好奇心は人一倍!体重110キロ記者、ゆで太郎「倍盛り鍋かつ丼セット」に挑戦

      ゆで太郎で期間限定提供されている「倍盛りかつ丼セット」。そばにセットでついてくるかつ丼は、丼ではなく…

    編集部おすすめ

    1. 当時、イベント関係企業のSNSに投稿された告知画像

      “マジックミラー号”展示などで波紋 中野駅前大盆踊り大会が謝罪声明

      中野駅前大盆踊り大会の実行委員会は9月9日までに公式サイトを更新し、前夜祭での演出をめぐり区民や行政から批判を受けた件について声明を発表した…
    2. ポケモン公式Xで「逆転」現象 「メガカラマネロ」登場の匂わせ?

      ポケモン公式Xで「逆転」現象 「メガカラマネロ」登場の匂わせ?

      ポケモンシリーズの最新情報を伝える公式Xアカウント「ポケモン情報局」に何やら不穏な動きが。プロフィールや投稿がすべて逆さまに「逆転」する現象…
    3. 鬼滅の刃マンチョコ<無限城編>

      ロッテ、「鬼滅の刃マンチョコ<無限城編>」を10月21日発売 シリーズ第5弾

      アニメ「鬼滅の刃」とロッテの人気菓子「ビックリマン」が再びタッグを組む。株式会社ロッテは、絶賛公開中の「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 …
    4. タカラトミー「グランドモールトミカビル」を自主回収 子どもの指挟み事故発生で

      タカラトミー「グランドモールトミカビル」を自主回収 子どもの指挟み事故発生で

      株式会社タカラトミーは9月8日、7月19日に発売した玩具「グランドモールトミカビル(トミカ55周年記念特別仕様)」について、子どもの指を挟む…
    5. 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      エイベックスの松浦勝人会長は9月4日、自身のX(旧Twitter)で新たに「松浦顧問制度 シーズン1」を立ち上げたことを報告した。内容は「月…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト