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あなたの組織、アップデートされてる?(深水英一郎氏寄稿)

 こんにちは、深水英一郎です。

 今回は「だから僕たちは、組織を変えていける」著者の斉藤徹さんにご自身の著書についてご紹介いただきます。

 本書は売れ行き好調のため一時期品薄となり紙の本を手に入れにくい状況が続いていました。私は待ちきれず電子書籍で入手してしまいましたが、ようやく在庫が復活したようです。組織を考える上での情報がたくさん詰まっている濃い本であり、自分でこれらからの組織について考えるきっかけを与えてくれる内容だと私は感じました。

 それでは、著者の斉藤さんに本書を紹介してもらいましょう。

  • 【著者 斉藤徹さんプロフィール】
    1985年に新卒で日本IBMに入社。29歳で退職し、ベンチャーの世界に飛び込む。その後、激しいアップダウンを経験する。(著書「再起動 ~ リブート」ご参照) 2016年に学習院大学経済学部の客員教授、2020年、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授に就任。専門分野は組織論と起業論。30年におよぶ起業家経験をいかし、幸せ視点の経営学とイノベーションを世に広めている。
    https://twitter.com/toru_saito

    【今回紹介してもらった本】
    「だから僕たちは、組織を変えていける ーやる気に満ちた「やさしいチーム」のつくりかた」(斉藤徹著、クロスメディア・パブリッシング)2021年11月29日発売

    ■ 書いた人にきいてみる

    ——よろしくお願いいたします。「だから僕たちは、組織を変えていける」とはどのような本でしょうか。

    【斉藤さん】
     この本は、ひとことで言うと「やる気に満ちた、それでいてやさしい組織」をどうつくるか、具体的な方法をお伝えしている本です。

     すべての企業において「組織変革」が急務になっています。その背景にあるのは加速化する環境の変化です。例えば、近年ではコロナ禍の影響が甚大です。多くの企業がリモートワークを含む多様な働き方にシフトせざるを得なくなり、統制型のマネジメントが通用しなくなりました。その結果、以下のようなことが起きています。

    ・経営者は、組織をコントロールできなくなり、将来への不安感が増大した。
    ・現場社員は、組織への帰属意識が薄まり、自分自身の生き方を深く考えるようになった。
    ・中間管理職は、上からの数字圧力とメンバーの意識ギャップに悩み、苦しんでいる。

    ——これまでの組織ではうまくいかなくなっている、ということですね

     組織のトップからボトムまで、今まで以上に「今の組織の矛盾」を強く感じており、組織のあり方を見直さざるを得ない状況になっています。

     この本では「時代の変化」と「新しい組織のあり方」を明確にした上で、最新の組織論を体系化し、具体的に「明日から何をすれば組織は変わっていくのか」を、イラストやチャートを150点も差し込み、わかりやすく説きました。

     この本の中で、特に重視しているのは「関係性の質」の向上です。「関係」が変わることで、チームの「思考」が変わり、「行動」が変わり、いい「結果」が生まれます。本書では、そのために必要な「心理的安全性の創出」「仕事の意味の共有」「内発的な動機づけ」といった具体的な技術を紹介しています。

     また「自分ひとりが動いたって、組織はどうにもならない」と諦めていた人にとって希望の書となるために「現場の一人から、組織を変革していくための実践的なメソッド」としてまとめています。これが、この本の大きな特徴であり、管理職やリーダーはもちろんのこと、現場の一社員にもおすすめできる内容に仕上がったと自負しています。

    ——著書の中で、最も注目して欲しい部分はどこでしょうか?

     僕は、研究者や執筆者としての顔を持っていますが、その根っこは起業家であり、経営者です。なので、知識も大切だけれども「実践できてなんぼ」と言う考えが根底にあります。

     世の中には、断片的で深い知見は数多くありますが、それを知るだけでは、自分の組織が抱えている「独自の環境における多様な問題」に対応することができず、組織をよくするための解決につながりにくいのです。特に「人間関係」こそが組織の課題の中心になっており、「人の心」を軽視した理論は現場では使えません

     この本では、人の心の機微を捉えた最新の経営学を体系化し、明日から実践できる技術としてまとめることに最大の力点をおきました。

    ——人の心によりそう新しい組織に変化するための実践本、ということですね。そのためのバックボーンとして最新の組織論がある。

     こちらの※書評でいただいた「これまで断片的にしか理解していなかった組織論を、すべて体系化して繋げてくれた本」という言葉。これがまさに目指していたものです。

    ※BIZPERA・2022年2月13日掲載記事:レビュー「だから僕たちは、組織を変えていける

    ——書籍だけでも情報の密度が高いですし、公式サイトでの資料配布や無料講演など、他で見たことがないほどのボリュームです

     組織をよりよくするために、あらゆる側面から貢献したいと強く思っています。例えば、本書の公式ページでは、各章のサマリーや掲載イラスト150点、講演に使っているスライド200ページなどをダウンロードし、みなさんが自分の組織をよくするために自由に使えるようにしました。

    ▼だから僕たちは、組織を変えていける 公式サイト
    https://dakaboku.jp/

     それだけでなく、書籍の理解を深めるために、著者による無料講演も実施するほか、読者の企業内での講演まで無償で提供しています。申込み方法も公式ページに記載しているので、ぜひご覧ください。

    ——無料講演の反響はいかがでしょうか?

     とても大きな反響で驚いています。出版後に実施した講演や予定されている講演は40社を超えました。

     個々の講演における反響もすごく、個々の企業では、確かな「変革意識の芽生え」を感じています。公式サイトには、その感想も掲載させていただきました。

    ——公式サイトを拝見しましたが、本を読む前にどんな内容か知ることができるだけではなく、読んだ後も、ウェブでスライドやイラストを見渡しながら頭を整理するのに役立ちます。素晴らしい試みだと思います。

     ありがとうございます。このサイトは著者の手づくりです。この書籍を広めて、日本の企業に少しでも貢献したいという思いから、このようなボランティアの活動をしています。

    ——斉藤さんのたいへんな熱量を感じます。本日はありがとうございました。

    (了)

    【ききて・深水英一郎 プロフィール】
    作った人自身に作品を紹介してもらう「きいてみる」を企画中 https://kiitemiru.com/
    個人作り手によるアウトプットの拡大とそれがもたらす世の中の変化に興味があります。
    ネット黎明期にインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を個人で発案、開発運営し「メルマガの父」と呼ばれる。Web of the Yearで日本一となり3年連続入賞。新しいマーケティング方式を確立したとしてWebクリエーション・アウォード受賞。元未来検索ブラジル社代表で、ニュースサイト「ガジェット通信」を創刊、「ネット流行語大賞」や日本初のMCN「ガジェクリ」立ち上げ。スタートアップのお手伝いをしながらメディアへの寄稿をおこなっています。シュークリームが大好き。

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