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NFT解説マンガのセリフ、どこが間違ってるかわかる?(深水英一郎氏寄稿)

 新しい事柄を説明するのは難しい。それが最新の技術を含むこれまでなかったものであればなおさら難しい――

 さて見だしの画像は、NFTアートについて説明するマンガの一コマです。NFTアートについて語っているのですが、どこが間違っているかわかるでしょうか。

  • <修正前画像>
    修正前画像

    「じゃあ複製不可能の——」
    「世界に1つのデジタルデータなら?」

     このセリフを修正したものが次です。

    <修正後画像>
    修正後画像

    「画像をいくら複製できたとしても——」
    「それを購入したのは自分だと証明する事ができたら?」

    ※引用元:「左ききのエレン」特別編「THROW UP THE DEUCE」/マンガ画像は作者かっぴーさん承諾の元引用しています。

    ■ 2つの間違い

     修正前のセリフには大きく2点、間違いがあります。

     まず、「複製不可能」とありますが、NFTアートとしてNFTに紐づけたとしても元のアート作品自体はデジタルデータですので、他のデジタルデータと同様、複製は可能です。NFTはデジタルアート作品の複製を不可能にすることはできないのです。

     また、NFTにそのアート作品が本当の作者が作ったオリジナルであるということを証明する機能はありません。

     NFTができるのは、そのアート作品に投資したという証明をすることなどです。そのアート作品が本物かどうかは自分で判断して投資する必要があります。

     この解説マンガ、当初は1つめ(修正前)のセリフで公開されていたのです。しかし、ネットで間違いが指摘され2回の修正を経て、2つめ(修正後)のセリフに落ち着きました。

     最終的にセリフの監修をおこなったのは、たまたま通りかかった、メタバース文化エバンジェリストのバーチャル美少女ねむさんでした。これらの指摘を真摯に受け止めすぐに修正対応を行った作者かっぴーさんの対応は素晴らしいものでした。

    ■ NFT「おもってたんと違う?」

     解説マンガの説明の間違いをみると、よくある勘違いが浮かびあがってきます。

    ●NFTアートは紐づけたアート作品を複製不可能にするものだ、と誤解をしている人がいる

    ●NFTアートはすべて本当の作者が作ったオリジナル作品だと思っている

     また、こういった誤解をしている人も多いのではないでしょうか。

    ●NFTアートに投資すればその作品の著作権も持つことができると思っている(実際はNFTアートに投資しても著作権はもともとのアート創作者にあります)

     ここまで読んで「なんか思ってたんと違う!」と感じた方もいらっしゃると思います。というのも、このあたりの説明は、NFTの解説書でも曖昧になってたりするのです。

     実際に、NFTの本と称する書籍を何冊か読んでみましたが、すべての書籍にこれらのことがそこまで踏み込んでわかりやすく書いてあるわけではありませんでした。ウェブサイトに関しても検索結果上位にあるから正確な情報とは限りません。

     つまり、NFTの本やウェブサイトも、ひとつ読んで「わかった!」ではなく、信頼できるものを探して読んだ方が良い、ということです。初心者の方は特に、いくつかの本やサイトに目を通して、自分の目で信頼できる情報源をみつけるようにしてください。

     なお、今回マンガのセリフの最終的な監修をおこなった、バーチャル美少女ねむさんによる解説が、note内「左ききのエレンNFT漫画事件簿【NFTアートの正しい理解に向けて】」ページで公開されています。注意喚起のためにかっぴーさん了承の元経緯を公開することにしたそうです。

    (了)

    【寄稿者 深水英一郎 プロフィール】
    https://nitsuite.jp/fukamie
    笹舟にちょうどよい笹に見とれていて橋から川に落ちたことがあります。
    ネット黎明期にインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を個人で発案、開発運営し「メルマガの父」と呼ばれる。Web of the Yearで日本一となり3年連続入賞。新しいマーケティング方式を確立したとしてWebクリエーション・アウォード受賞。元未来検索ブラジル社代表で、ニュースサイト「ガジェット通信」を創刊、「ネット流行語大賞」や日本初のMCN「ガジェクリ」立ち上げ。株式会社ツクレル取締役。シュークリームが大好き。

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