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組織開発の全体像を捉える本——書いた人にきいてみる(深水英一郎氏寄稿)

 こんにちは、深水英一郎(ふかみん)です。

 今回は「図解 組織開発入門」の著者、坪谷邦生さんに著書を紹介していただきます。組織開発の歴史や主な組織開発手法の概説、参考となる書籍の紹介などが豊富なイラスト・写真とともに説明されており、組織開発について考える人がまず手に取るとよい本ではないかと思います。それでは坪谷さんいお話をきいてみましょう。

  • ▼今回紹介してもらう本
    図解 組織開発入門 組織づくりの基礎をイチから学びたい人のための「理論と実践」100のツボ(坪谷邦生著、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2022/2/18)

    ▼著者 坪谷邦生(つぼたにくにお)さんプロフィール
    https://twitter.com/tsubo92
    1999年、立命館大学理工学部を卒業後、エンジニアとしてIT企業(SIer)に就職。2001年、疲弊した現場をどうにかするため人事部門へ異動、人事担当者、人事マネジャーを経験する。2008年、リクルートマネジメントソリューションズ社で人事コンサルタントとなり50社以上の人事制度を構築、組織開発を支援する。2016年、急成長中のアカツキ社で人事企画室を立ち上げる。2020年、「人事の意志を形にする」ことを目的として壺中天を設立し現在。主な著作「人材マネジメントの壺」シリーズ(2018)、「図解人材マネジメント入門」(2020)など。

    ■ 書いた人にきいてみる

    ——この本を執筆しようと考えたきっかけはなんでしょう

    【坪谷さん】
     もう20年以上前、私はエンジニアから人事担当になりました。人事担当になりたてのころ、私は「組織開発」が何をさす言葉なのか、よくわかっていませんでした。 人材マネジメントや人材開発との違いが理解できず混乱していたんです。

     どうにか学ぼうと組織開発の本を何冊も読んだのですが「専門的で難しすぎる」か「1社の特殊な事例のみ説明している」本ばかりで、全体像を捉えることができませんでした。

     その経験から、組織開発を「体系的にわかりやすく」理解できる本を書こうと考え、執筆したのがこの本です。「組織」について、未来への兆しや可能性を感じてくれたら、 これほど嬉しいことはありません。

    ——この本の前に執筆された本は人材マネジメント入門でしたよね

     「図解 人材マネジメント入門」は人事の「型(仕組み)」を理解するための入門書でした。

     今回の本は、その組織に「血」を通わせるための本です。 密接に関連していますが、それぞれ独立して読める本に仕立てました。

     組織を作る人はもちろんのこと、組織で働く人にも読んでいただきたい本です。

    ——なるほど、組織開発にかかわる、さまざまな人に役立つ本だということですね

     そうです。初学者にとっては、組織開発をパッと見て図解で感覚的に理解できる入門書。

     中級者にとっては、組織開発の歴史から、学習する組織、ティール組織、ビジョナリーカンパニー、ザッポスのデリバリングハピネス、リクルートの心理学的経営、野中郁次郎のSECIモデルまでを、統合的に位置付けるための思想書。

    上級者にとっては、組織開発のことを調べられる辞書であり、初学者に説明するときの手引き書として、「手元においておきたい」本を目指しています。

    ——類書にない、本書の新たな工夫は何かありますか?

     「つまみ食いできる100のツボ構造」がそれです。

     当書はタイトルに「100のツボ」とあるとおり、100個のツボ(ポイント)を解説した本です。

     1つのツボは見開き2ページで完結した内容となっており、ペラペラとめくって気になるツボだけを「つまみ食い」することができます。

     それぞれ、

    1.上部にQ&A
    2.左ページに解説
    3.右ページに図解
    4.右下にはツボを理解し実践するためのヒント

    といった形で記載しました。

     1つのツボだけで学びがある。そして100のツボを通して読むと、組織開発の全体像を把握することができるよう、工夫してあります。

    ——今後書いてみたいテーマはありますか?

     まだ仮ですが、2冊執筆予定があります。

    図解 MBO(目標管理)入門(仮)
    図解 企業での働き方入門(仮)

     これらを企画構想中です。

    ——本日はありがとうございました!

    (了)

    【ききて 深水英一郎 プロフィール】
    https://nitsuite.jp/fukamie
    笹舟にちょうどよい笹に見とれていて橋から川に落ちたことがあります。
    そんな私も今は個人のちからの拡大とそれがもたらす世の中の変化に興味をもち「きいてみる」という企画をやってます。
    ネット黎明期にインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を個人で発案、開発運営し「メルマガの父」と呼ばれる。Web of the Yearで日本一となり3年連続入賞。新しいマーケティング方式を確立したとしてWebクリエーション・アウォード受賞。元未来検索ブラジル社代表で、ニュースサイト「ガジェット通信」を創刊、「ネット流行語大賞」や日本初のMCN「ガジェクリ」立ち上げ。株式会社ツクレル取締役。シュークリームが大好き。

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