多くの方にとって耳馴染みであろう「ABCの歌」。童謡「きらきら星」のメロディに合わせて、アルファベットが覚えられる歌詞となっていますが、今と昔で一部歌詞のリズムが異なることをご存じでしょうか。

 異なる箇所は4小節目の部分。おそらくアラフォー世代以上の方は「LMN」と切る方が多いと思いますが、現在の歌い方は「LMNOP」とギュッと詰め込むことが多いよう。漫画家の「こげのまさき」さんも、3歳になる息子さんの歌を聴き疑問を抱きました。

 保育園で英語のレッスンがたまにあり、少しアルファベットを覚えてきたという息子さん。習ったばかりのABCの歌をこげのさんが聴いていたところ、息子さんは4小節目を「えろるろらろろんらー」と歌いました。

ツイッターに投稿された漫画

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 まだ上手に発音できない息子さんに対して「そこ速くて難しいよね」と同意しつつも、心の中ではびっくり。こげのさん自身は「LMN」を聴いて育った派で、「なんでここにこんなに詰め込んでるんだ!?」と驚いたそうです。

ツイッターに投稿された漫画

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 ちなみにアラフォー世代ど真ん中の筆者も「LMN」派。現役小学生の娘2人に聞くと、こちらは「LMNOP」で習ったそうです。

■ 「LMN」は日本独自の歌い方

 ツイッターの返信欄を見てみると、「LMN」の歌い方は日本独自のものであるとの意見が多数。

 もともとアメリカでネイティブが歌う場合は「LMNOP(el-em-en-o-p)」で歌われていましたが、日本語の発音はaiueoの母音が中心であるため、元の歌い方ではうまく歌うことが出来ず、日本人向けにローカライズされたものが「LMN(eru-emu-enu)」と発音する歌い方であるようです。

 「LMNOP」が歌いづらいと感じるのは、単に短い小節に詰め込み過ぎているだけでなく、普段発音しない音が含まれているから、という考えは合点がいきますね。

■ 外国語指導助手(ALT)の導入や英語教室が増えたことにより「LMNOP」が一般的に

 のちに、学校教育に外国語指導助手(ALT)として勤務する外国籍者を導入したことや、グローバル化が進む社会において、子ども向けの英語教室が増えたことなどから、ABCの歌はもともとの歌い方が一般的となっていった模様。

 たしかに、筆者の幼少時は英語教室はほとんどありませんでしたし、英語を習いだしたのも中学校からでしたから、子どもの間で「LMNOP」が歌われるようになっていった時期はもう少し下の世代からなのかもしれません。

 もちろん、50代や60代の方が「LMNOP」で習った、という声も寄せられているので、必ずしも世代で分かれている、というわけではありません。英語の先生によっても違ったり、学校ごとの方針によるところもあるのでしょう。

■ ABCの歌が昔と変わった……というより、もともとの歌い方になった

 ちなみに、現在YouTubeで聴くことが出来るABCの歌も、そのほとんどが「LMNOP」の歌い方。「LMN」で歌われるパターンは間違いではないものの、確実に少なくなったと言えるでしょう。昔と変わった……というより、元来の正しい歌い方になった、というのが正であるようです。

 アルファベットの歌と言えば、真っ先に「ABCの歌」を連想するほどに、広く知られている歌ですから、お子さんがいるかどうかに関わらず、「LMNOP」の今の歌い方も教養として知っておいた方が良いかもしれません。

<記事化協力>
こげのまさきさん(@koge_diary)

(山口弘剛)