おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【オンラインゲーム千夜一夜】 第二話 当時のエナドリってリ○Dだよね

 「オンラインゲーム千夜一夜」第二回目は韓国産のオンラインゲームについて解説をしていこうと思います。

 2000年代に入り、オンラインゲームの中で韓国産MMORPGが日本にて配信されるようになり、市場が一気に拡大しました。今でもサービスを継続しているビッグタイトルだけでなく、中堅どころと呼ばれるタイトルにも多くの名作が揃っていますが、皆様は思い出深いタイトルはありますでしょうか?

  •  筆者は仕事で関係したタイトルが多くあるため、正直言えば「俺だけのあの頃の思い出を語れる件について」みたいなラノベタイトル的経験を持っているわけですが、その中でも特に思い出深いタイトルがあります。

     そう、そのタイトルは多くのプレイヤーを惹きつけ、キャッチーなイラストを前面に押し出し、超本格的な冒険譚を楽しめ、多くのプレイヤーを不眠に追い込む眠らせないゲームシステム……さらには対人戦などのコンテンツも豊富。そして今現在もなお、ゲームに復帰する魅力を兼ね備え、迫力のあるパーティプレイを楽しめる……韓国産MMORPGの王道とも言える作品、タイトルの名前は、ズバリ。

    ……眠らない大陸クロノス(運営:VALOFE JAPAN)です。

     あ、ちょっと皆さん石投げないでください。なぜ数多くあるビックタイトルを取り上げずにクロノスなのか?筆者は今でもこのタイトルがきちんと稼働していることにちょっと感動しています。ゲームの稼働開始は2003年、ラグナロクオンラインやリネージュに遅れること1年、まさにMMORPG激動の時代に配信を開始した長寿タイトルなのですから。

     この時代のオンラインゲームといえば2Dグラフィック全盛で、3Dグラフィックスを前面に押し出したゲーム性というのは非常に珍しいものでした。

     前回紹介したウルティマオンラインにも3Dグラフィックスを使ったクライアントが存在していたのですが、プレイヤーからは大変不評でして、まだ過渡期にあった時代……それこそ「グラフィックカード(ボード)ってなんですか?」というお問い合わせに対してのテンプレートが運営サポートには用意されていた時期でもあります。

     「ノートパソコンでプレイできますか?」という回答へのアンサーとして、推奨スペック以上のデスクトップパソコンをお勧めします的な、パソコン初心者には何が違うのかわかんねーよという大変説明の難しい諸課題なども山積みだった時代です。確かこの後くらいから各パブリッシャーがBTOパソコンメーカーと共同でゲームが快適に動くコラボパソコンを準備していったんですよね、超懐かしい。

     その時代においてチャレンジングとも言える3Dグラフィックスを前面に押し出しつつも、プロモーションで使われるイラストは数多くのゲームイラストを手がけている杉浦善夫さんだったりもしまして、当時別の会社にいた筆者は「いいなー、日本人イラストレーター使いたいなー(指くわえながら)」と思ったりもしていました。

     ゲーム性としては、当時の韓国産MMORPGの根幹をなすディアブロクローン的なシステムが採用されていまして、職業と性別が固定(これはその後に続くMMORPGでもよく採用されていたので馴染み深いと思います)、脳死するくらいクリックし続けてレベルを上げて指先を鍛える的なものであったと記憶をしています。

     システムが似通っているのもこの時代の韓国産MMORPGの良くも悪くも特徴的な部分で、プレイヤーが一つのゲームを引退したとしても、別のゲームを触った時に親和性が高かった、というのも市場拡大における一つの要因として考えられるのかもしれません。

     この辺りの類似性の高いシステムについては、実はその後に大流行するソーシャルゲームにも似たような部分が存在していまして、開発におけるソーシャルゲームの汎用性の高さというのはゲーム会社の利益、ゲームの遊びやすさなどに大きく貢献しています。前回取り上げたウルティマオンラインにおけるUX(ユーザー体験)問題、実は韓国産MMORPGの遊びやすさは群を抜いて遊びやすかったのではないか?と筆者は今この時代だからこそ感じています。

     もう一つ、韓国産MMORPGはPK、プレイヤーキラーシステムにおいて強い制限がかけられていました。システムとしては存在をしているものもありますが、大半はPKをするメリットがあまり存在していない、というのが特徴です。対人戦は攻城戦やギルド間の戦いなど、決められたフィールドにおいて行われるもの、という価値観をプレイヤーに強く意識させたことも要因だと考えています。

     さらにこの普及に貢献したのは、当時増えていたネットカフェの存在も大きかったと考えています。オンラインゲーム会社によって取り組み方は違いますが、ネットカフェでオンラインゲームを遊ぶ、という新しい遊び方ができたのもこの時代のオンラインゲームの特徴でもあります。

     ネットカフェ、皆さんはどういう使い方をされていましたでしょうか?韓国ではPCバンというパソコンを扱える部屋が流行していました、いや今でも主流なのかもしれません。この新しいプロモーション先において、「どのような戦略を行うのか?」というのはこの時代のオンラインゲーム会社ではよく論じられていたことでもあります。クロノスに代表される韓国産MMORPGの運営会社はネットカフェをうまく利用していた、と過去を思い返すたびに強く感じさせられます。

     韓国産MMORPGの隆盛については、こういった日本における通信インフラの整備が進むにしたがって、その市場を爆発的な勢いで拡大していったといっても良いかもしれません。2002年から2010年くらいまでのオンラインゲーム業界は破竹の勢いを持っており、その中において、黎明期に誕生した「眠らない大陸クロノス」の存在は、今なお輝いていると言っても良いと思います。

     「オンラインゲームは2年持ったら本物」という、当時在籍していた会社の先輩の言葉を今でも思い出します……それくらい競争が激しかったのです。

     クロノスは今年19年……当時小学6年生だった児童が、31歳になっている計算です……考えてみると恐ろしいな、おい。数多くのプレイヤーを虜にし、今なおサービスを続けているこのタイトル……皆さんはどう思いますか?

     この時期にたくさんのオンラインゲームが配信されましたが、韓国勢だけでなく日本のオンラインゲームも数多く配信されていましたね。ということで次回は国産のオンラインゲームを、ご紹介したいと思います。

    <参考・引用>
    眠らない大陸クロノス
    ※見出し画像は「眠らない大陸クロノス」の起動画面を撮影したものです。2022年12月5日筆者撮影。

    【上村健太郎:筆者プロフィール】
    神奈川出身、東京在住。オンラインゲーム業界において長らくプロモーションやプロデュースなどを担当し、数多くのタイトルを立ち上げ、そして終了させてきた苦い経験の持ち主。
    私生活では妻と二匹のビーグル犬よりも地位の低い生活を満喫中。

    あわせて読みたい関連記事
  • 26年前のMMORPG「Dark Ages」、YouTuberの挑戦で限界集落から奇跡の再生
    ゲーム, ニュース・話題

    26年前のMMORPG「Dark Ages」、YouTuberの挑戦で限界集落か…

  • 「RO」シリーズ最新作「Ragnarok Online 3」、フルゲームプレイトレイラーが初公開
    ゲーム, ニュース・話題

    ROシリーズ最新作「Ragnarok Online 3」、フルゲームプレイトレイ…

  • 「ラグナロクX」正式サービス開始日が11月20日に決定 ファンキット公開
    ゲーム, ニュース・話題

    「ラグナロクX」正式サービス開始日が11月20日に決定 ファンキット公開

  • 声優e-Sports部が挑戦!「Pocket Town Tycoon」で買い物&街づくりに夢中 生配信の裏側を取材
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    声優e-Sports部が挑戦!「Pocket Town Tycoon」で買い物&…

  • 「ポケットタウンタイクーン」がアップデート
    ゲーム, ニュース・話題

    「Fortnite」内オンラインゲーム「ポケットタウンタイクーン」がアップデート…

  • オフ会等で失敗した「後悔ハンドルネーム」を募集したら……エピソードが面白過ぎた 「第二の名前」として恥ずかしくない名付けを
    インターネット, おもしろ

    みんなの「後悔ハンドルネーム」を募集したら面白すぎた 抱腹絶倒の残念エピソードと…

  • ガタッ!2DMMORPGの先駆的存在「メイプルストーリー」が韓国で20周年だと!?!?時の流れははやい……(画像提供:株式会社ネクソン)
    ゲーム, ニュース・話題

    ガタッ!2DMMORPGの先駆的存在「メイプルストーリー」が韓国で20周年だと!…

  • セカンドライフ
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    【オンラインゲーム千夜一夜】 第十回 メタバース? それならこれを語るしかないで…

  • Zwift
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    【オンラインゲーム千夜一夜】 第九回 スポーツオンラインゲーム? 近未来は体を動…

  • バトルフィールド2142パッケージ表
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    【オンラインゲーム千夜一夜】 第八回 ファーストパーソンシューティングとフレーム…

  • ▼こちらのライターの最新記事▼

  • セカンドライフ
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    【オンラインゲーム千夜一夜】 第十回 メタバース? それならこれを語るしかないで…

  • Zwift
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    【オンラインゲーム千夜一夜】 第九回 スポーツオンラインゲーム? 近未来は体を動…

  • バトルフィールド2142パッケージ表
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    【オンラインゲーム千夜一夜】 第八回 ファーストパーソンシューティングとフレーム…

  • ゲームボーイ Nintendo Switch Onlineホーム画面
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    ゲームボーイ Nintendo Switch Onlineを懐かしさと共に……あ…

  • Sacred2日本語版パッケージ
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    【オンラインゲーム千夜一夜】 第七回 オンラインゲームがPCだけじゃない時代の傑…

  • LotRO起動画面
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    【オンラインゲーム千夜一夜】 第六回 やはり大作というとこれしか……

  • トピックス

    1. 違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

      違和感満載のサイケな銭湯でほっこり入浴 蒲田で開催「脳汁銭湯」体験レポート

      旧き良き銭湯が異次元の入浴空間に変身するイベント「脳汁銭湯」が、11月26日から12月7日まで東京・…
    2. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…
    3. フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      SNS上には今日も、「○○が当たる!」といったプレゼント告知があふれています。いまや日常の景色と言っ…

    編集部おすすめ

    1. 事業者向け「ASKUL」Web注文、12月第1週に再開 “明日来る”配送は当面遅れる見込み

      事業者向け「ASKUL」Web注文、12月第1週に再開 “明日来る”配送は当面遅れる見込み

      アスクル株式会社は11月28日、10月19日に発生したランサムウェア攻撃によるシステム障害の復旧状況について第11報を公表しました。 事業所…
    2. 誤表記

      もちづきさん、カロリーを低く表記し謝罪 読者に“チェック”呼びかけ

      漫画「ドカ食いダイスキ! もちづきさん」公式Xが11月27日夜に更新し、作品の一部でカロリーを実際よりも低く表記していたと謝罪しました。当該…
    3. ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロ…
    4. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に基づく誤通報だったことが判明。通報者自身…
    5. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト