2023年1月に再販されたガンプラ「MG百式Ver2.0 メカニカルクリア」に驚きの塗装を施した作品がツイッターで話題です。

 「ドクロージ」さんが投稿した動画に映る百式は、一見するとクリアパーツで組まれただけに見えますが……と、次の瞬間、なんと百式がネオンのように発光したではありませんか!足元にいるクワトロ大尉までしっかり光っています。……スゴイ。

■ 発光の秘密はブラックライトに反応する塗料

 なぜ突然百式が発光したのか?その秘密はブラックライトと塗料。ライトの光に反応する塗料を用いて全体の塗装を行っているため、一定条件化でのみこのように発光して見えるという仕組みです。

通常光だとクリア仕様

ブラックライトを当てると鮮やかに発光します

 この手法を用いてガンプラの一部パーツを発光させる作品は見たことがありましたが、まさか全身に使用するとは。しかも機体が百式というのも、このアイデアを用いるにふさわしい機体のように感じます。

 実は以前にも同様の手法を用いてガンプラを製作したことがあるというドクロージさん。1機で2種の表現が出来る点が気に入っており、クリア仕様の百式で再度作ってみることにしたのだそう。

■ 制作にはさまざまなこだわりが

 エアブラシや筆を用いて、ガンプラを塗装するという方法だけ聞くと単純に感じますが、実はたくさんのこだわりや工夫が詰まっています。

 まず一つは機体の「色味」。ブラックライト塗料は、塗りっぱなしだと手の油で変色(退色)する事があるため、塗装後にコーティングを施しますが、吹き付けると青みが強まる問題が発生します。これを前提にして、事前に色味を何度も繰り返し調整しているのだそう。

 次に、パーツの裏側にもコーティング材を吹き付けている点。作業中、クリアが裏側にも付着してしまうため、そのままにしておくと表はツルツル、裏はザラザラというすりガラス状態になってしまいます。これを防ぐために、両面にコーティングを施し、より透明度が増すように仕上げられています。

 また、クワトロ大尉のフィギュアを塗る際にも苦労が。ブラックライト塗料でパイロットを塗るのは、ドクロージさんにとっても初めての試みだったそうで、通常のライトだと塗料が見えないためどこを塗っているかわからず、暗くすると手元が見えずと、一時お手上げ状態に陥ったそう。

 しかしこれを「リングライトの輪にブラックライトを突っ込み、部屋の照明を消して、リングライトをやや暗めに設定する」という発想で見事解決。その瞬間はまさに「見えるぞ、私にも色が見える」といった心境だったことでしょう。

クワトロ大尉もしっかり発光します

 さらにはいざ組もうという時に、頭部のモヒカンカメラのパーツを前後の2個を紛失するというトラブルもありましたが、プラ板を用いてパーツを自作することでリカバーし、作品は遂に完成。サイバー感たっぷりのネオン仕様は、きっとクワトロ大尉も気に入ってくれるはず。

クワトロ大尉もきっと気に入るはず

 もちろんドクロージさんも「やりたい事はやれたので満足度は最高です」と語るなど、納得の出来栄えとなった模様。さまざまな苦労を経て完成に至った作品だからこそ、その思い入れもひとしおであることでしょう。

<記事化協力>
ドクロージさん(@dokuro_ojisan

(山口弘剛)