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無断転載被害を申し立てたら「転載側から」まさかの苦情 怒り心頭の投稿者に話をきいた

 SNS中心に広がり続ける、写真や動画の無断転載被害。先日、Xユーザーの松尾佳香さんが訴えたのは、「Out of Context Birds」なるアカウントに、愛鳥の写真を無断転載されてしまったという内容です。

 松尾さんは相手に削除するようもとめたものの対応されなかったため、Xの窓口に連絡。するとその後、削除は行われましたが、相手から苦情のDMが入ったというのです。一連の出来事について松尾さんに話をうかがってみました。

  • ■ DMCA異議申し立てにより一度は削除されるも……繰り返される転載

     事が発覚したのは4月15日のこと。知人から「これ佳香の家の鳥さんだよね?」と連絡があったため、調べてみたところ、自身が過去に投稿した愛鳥ピノコちゃんの写真が、引用元の表記もなく無断転載されているのを発見。

     すぐさまリプライにて、「勝手に使わないでほしい」「応じないなら使用料を請求する」といった旨の連絡を行うも、相手からの反応がなかったため、15日夜にXが設けている「DMCA異議申し立て窓口」から削除申請を行ったところ、当該投稿は削除されました。

    DMCA異議申し立て

     すると翌日、このアカウントからDMを受信。「なぜ使用料を請求したのですか、クレジットを与えるよう要求することも出来ました」「あなたが写真の所有者であるとは知りませんでした」と、悪びれる様子はなし。その後、ブロックされてしまうなど、何とも後味の悪いやり取りとなったようです。

    DMのやり取り

     それでも、転載投稿は削除されたため、ホッと胸をなで下ろしていたのも束の間……なんと、同じ画像を再投稿していたことが発覚。

     改めてDMCA異議申し立てを行うと、再び投稿は削除されたようですが、このようなもぐらたたきのような対応をいつまでも繰り返すのは、正直不毛でしかありません。

     一連の出来事に対し、松尾さんは「他の投稿主さん達ももっとDMCA異議申し立てを知っていただいて、こういったアカウントを無くしていければいいなと思います。みんな、徹底的にやってくれ!」と怒り心頭でコメントしています。

    松尾佳香さんの投稿

    ■ 「Out of Context Birds」は鳥類の無断転載アカウント

     この「Out of Context Birds」なるアカウント、どうやらSNSに投稿された鳥類の写真や動画を、原則無断で転載しているアカウントであるもよう。フォロワーの数は5万件を超えています。

     引用元が明記されていない投稿がほとんどで、中には「Credits:」と表記した上で、投稿主をメンションで紹介しているものもありますが、実際に許可を取っているのかは定かではありません。Xの運営にも、厳しく対処してほしいところです。

    「Out of Context Birds」の投稿

     「Out of Context Birds」は、青バッジを取得している、いわゆる収益化可能なアカウント。転載によるインプレッション稼ぎで、収益を目的に行っていることは明らかであることから、リプライやDMによる削除申請に応じるつもりはないのでしょう。やはりDMCA異議申し立て申請が最適であるようです。

    ■ 「Out of context ○○」は他にも 悪質な転載アカウントが多数

     実はこの「Out of context ○○」というアカウントは、多数存在しています。鳥類のみならず、ワンちゃんやアライグマといった動物や、アニメ、スポーツ、ゲーム、Vtuberなどさまざまなジャンルにおいて、転載を行っているもようです。「Out of context」で検索をかけると、同様の転載アカウントがうじゃうじゃ出てきます。

     しかし、おそらく運営主は別で、アカウントの運用方法もさまざま。写真や動画の投稿を行っているだけのアカウントもあれば、投稿にリンクを貼り、アフィリエイトのような使い方をしているアカウントもあるなど、統一性がありません。中には全ての投稿にきちんと引用元を明記しているアカウントも見受けられます。

     Xルールに則って健全な運用を行っているアカウントもあるのかもしれませんが、その実態を見極めるのはほぼ不可能。多くがやはり転載であることを隠ぺいするような運用を行っているので、やはり「Out of context ○○」には近付かないのが今のところは一番と言えるでしょう。

     直訳すると「前後関係や前後の状況を、文脈を無視して解釈される」、つまり「どうしてこうなった」的な意味を持つ「Out of context ○○」。たしかに投稿される写真は思わずクスっとしてしまうものも多いのは事実ですが、そのほとんどがあくまで転載によるもの。

     転載自体が全て悪、というわけでは決してありませんが、もしかすると権利者の許可を取っていない不当な投稿かもしれない、という認識を持って閲覧する必要があると言えるでしょう。

    <記事化協力>
    松尾佳香さん(@Keika_m0203

    <参考・引用>
    Xヘルプセンター「知的財産権に関する問題

    (山口弘剛)

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    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

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