ミリタリーな話題をお届けしている「鉄砲蔵のミリタリー魂」。
今回は僕が毎年欠かさず終戦記念日に昇殿参拝(普通にお賽銭箱の前で拝むのではなく社殿内に上がって戦没者の冥福を祈ること)している靖国神社のレポートです。
僕が最初に靖国神社に訪れたのも終戦記念日で、実際の戦争を体験された方から話を聞いてみたい、現実の戦争の遺品を見てみたいという思いから西暦2000年頃、初めて訪問をしました。
以前、さくらまつりの時の靖国をご紹介しましたが、今回ご紹介する終戦記念日時の靖国はその時とはかなり違う様子です。
現地に着いてまず目に入ったのはとにかくすさまじいまでの大混雑!持参した温度計によると朝9時56分の時点で33℃の猛暑でした。
神社の入り口や参道には政治的スローガンが一杯。入り口付近では3500円で「日本人よ胸を張れ!!大和民族の子孫として」というTシャツも販売されていました。
さらに奥の参道に進んで行くと靖国神社を守り、国立追悼施設に反対する方々が新規会員募集しておられるテントも。
国立追悼施設というのは、国家の閣僚が宗教施設に公式参拝というのは政教分離の原則(政治は宗教とは無関係に行われるべきと言う原則)考えてマズい、というわけで別個に宗教色を除いた追悼施設を作ろうという構想。
このテントの方々は戦没者は元々この「靖国神社で会おう」を合い言葉に戦地に赴き、命を落とした、言ってみれば戦没者にとって日本の象徴のような場所を変更すべきでない、そもそも無宗教で追悼などあり得ない、と考えておられる方々です。
同じく入り口付近に店を構えた「新しい教科書をつくる会」。
これまでの歴史教科書は一方的に日本ばかり悪役にし過ぎる、新しく教科書の内容を考え直すべき、という考え方の民間団体で、実際今年の4月から中学校でこのつくる会の歴史教科書が使用されているそうです。
お店の方に伺ったところ、出所が『つくる会教科書』であることさえ明記してあればページ内容も掲載して構わないとのこと。
なるほど。内容は僕の中学時代の歴史教科書より公平で分かりやすい表現になっています。
神社内の戦争博物館である遊就館(ゆうしゅうかん)。ここもかなりの大混雑でした。毎年終戦記念日はこんな状態です。そこの売店には旧日本軍もののプラモデルも販売されていました。段々レジャー化されています。
境内にはこの方のようなコスプレイヤーの方も。この方は戦没者の遺族だそうです。他にも写真は撮り逃がしましたが、もう一人日本兵姿の方も見かけました。毎年終戦記念日には日本兵のコスプレイヤーさんは多数おられます。益々レジャー化しています。
その後、本殿に上がって昇殿参拝。
ここもかなりの大混雑でしたが、待合室も本殿も撮影禁止。ということで、写真はお供物のお酒と砂糖菓子です。
僕の自宅近所で神棚をお持ちの古物商のお年寄りに差し上げました。
「例え遊び半分でも多くの人が靖国を訪れることで歴史への関心が高まり、以て戦争の惨禍を後世に伝えるきっかけとなる。」
近年のような靖国神社の大混雑にはこの言葉のような効果も大きいと思います。実際、僕自身がそうでしたから。
神社の宮司さんも靖国神社、公園のような感じで気軽に来てくださいとおっしゃっておりました。みなさん、もっと気軽に靖国に行きましょう。
ではまた次回!
(文・写真:鉄砲蔵)