特撮映像館」、今回より「ゴジラ2000~ミレニアムシリーズ」に突入します。まずは『ゴジラ2000』から。
三たび再開した「ゴジラ2000シリーズ」は、54年『ゴジラ』の続編としてそれぞれ独立した作品という位置づけで制作された。ゴジラの造形は大胆に変更され、中でも背びれに特徴がある。
冒頭、根室に上陸したゴジラが発電所を襲うシーンで、主人公の村田が「ゴジラは人間の作り出すエネルギーを憎んでいるのか…」というセリフがあるが、これが本作でのゴジラが街を襲う理由付けということになるだろう。
阿部が演じる内閣危機管理室の対ゴジラ作戦を軸にストーリーを進めてもよかったと思うが、スタッフはここで新怪獣を投入する。それが宇宙生物「オルガ」だ。日本の近海に太古から沈んでいた地球外の、たぶん隕石と思われたものが、実は宇宙船であり、内部の生物は長距離、長時間の宇宙航行を実現するため肉体を捨てていたため、ゴジラがその細胞内に持つ再生能力を秘めた「オルガナイザーG1」という物質を使って、再び肉体を取り戻そうとする。オルガナイザーG1を摂取し肉体を手に入れた宇宙生物だったが、それを制御できずにゴジラに似た怪物に変形していく。
地球を、かつて自分たちが住んでいた星のように改造し征服しようとするオルガに、ゴジラは動物の本能で戦いを挑んでいく…というのが大まかなストーリー。
監督が「VSシリーズ」の大河原であることや、シナリオも「VSシリーズ」にも参加した三村であることから、まったく新しいゴジラというよりは、まだ「VSシリーズ」を引きずっている感じがしてしまう。オルガという新怪獣が本当に必要な要素だったのか、どうしても疑問に感じてしまうのだ。
ゴジラを抹殺するためあらゆる手段をこうじる阿部と、まずはゴジラを研究するべきとする村田の意見の対立も、「VSシリーズ」後半から持ち込まれているように思う。
ゴジラの大きさは「VSシリーズ」で100メートルにもなってしまったが、本作で55メートルと54年初代ゴジラの50メートルに近い大きさに戻された。また冒頭の根室上陸シーンでは、建物も低いものが多く、54年『ゴジラ』を映像的にも彷彿とさせる。
主演した村田は、以後「2000シリーズ」において何らかの形で顔を出す。「VSシリーズ」の『~モスラ』以降、出演率の高い俳優であるのは事実だが、なぜ村田がそういう位置にいるのか全くわからない。
監督/大河原孝夫、特殊技術/鈴木健二
キャスト/村田雄浩、阿部 寛、西田尚美、佐野史郎、ほか。
1999年/日本/107分
(文:猫目ユウ)