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【特撮映像館】Act.38 ゴジラファイナルウォーズ

update:

「特撮映像館」第38回は、現在のところシリーズ最終作となっている『ゴジラファイナルウォーズ』を取り上げます。過去の作品のオマージュとともにまったく新しいゴジラ映画として仕上げられています。

『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』で「『2000シリーズ』は一応終了」と記述したのは、本作が「2000シリーズ」という位置づけというより、第一作からの「ゴジラシリーズ」全体の「ファイナル」を意図しているという印象からである。


  • 「ゴジラ映画50年記念作品」というのが、本作の位置づけでもある。ゴジラの造型も「2000シリーズ」のものより「VSシリーズ」のものに近い印象がある。
    「昭和シリーズ」に登場した怪獣たちやX星人、轟天号、妖星ゴラスなど、ゴジラファン、東宝特撮映画ファンを意識した要素がふんだんに登場する。

    ストーリーはまったくのオリジナルではあるが、人類は宇宙人に「収穫」される家畜だとか、球形の宇宙人の母船に突っ込む轟天号だとか、どこかで観たことがあるような設定や映像が散見される。

    本作の見どころはなんといっても北村一輝の怪演。演出のテンポのよさもあるが、この人の演技なくして2時間を超える本作を飽きさせずに見せることができたであろうか、と思ってしまう(ちとオーバーか)。

    個人的な意見として、本作は「ゴジラ映画」としては番外のような感覚がある。エンタテインメントとして気軽に、何も考えずに楽しめる作品としてはオススメなのだが、「ゴジラ映画」にテーマを求めた場合「これは違う」という気がするのである。

    もちろん「昭和シリーズ」から本作までの間に「ゴジラ映画」としてテーマを追求した作品がどれだけあったかと問われれば数本にとどまるとは思うが、本作に限って言えば「50周年記念」といういわばお祭り的な作品に受け取れるのだ。

    もちろん過去の怪獣などがたくさん登場するという部分もあるが、演出自体がスピード感重視の「楽しければいいじゃん」的なもののような気がしてしまうのだ。

    といっても本作を否定しているわけではない。「ゴジラ映画」の中では本作がもっとも繰り返し観てしまっているかもしれないくらいだ。それだけ気軽に観ることができる作品とも言える。

    監督/北村龍平、特殊技術/浅田英一

    キャスト/松岡昌宏、菊川 怜、ドン・フライ、北村一輝、水野真紀、ケイン・コスギ、水野久美、國村 隼、泉谷しげる、佐原健二、宝田 明、ほか。

    2004年/日本/125分

    (文:猫目ユウ)

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    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
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