「特撮映像館」第36回は三度復活したメカゴジラの登場! ゴジラシリーズの新しい女性ヒロインの誕生でもあります。
『ゴジラ×メガギラス』の手塚監督による第2作目。
本作は『~メガギラス』のリメイクと言ってもいいかもしれない。少なくとも『~メガギラス』を下敷きにした発展形とは言えるだろう。


闘う女性主人公は、メカゴジラを操縦することによって『~メガギラス』のときよりもその存在感が増している。

またメカゴジラに関しても、本作によって「完成」したという感がある。
『~メガギラス』では、メガギラスの卵を見つける少年が登場しており、主人公との交流は作品内で多少浮いた印象を与えていた。本作でも主人公にからむ少女が登場するが、メカゴジラ開発に携わる科学者の娘という設定で作品内に溶け込ませることにも成功している。

子供を登場させるというのは、劇場に足を運ぶ子供たちに近い年齢の登場人物を配したいという東宝側の意図かもしれないが、違和感なくストーリーに組み込むのは難しい作業だろう。

手塚監督は前作において、首都が大阪に移されたというパラレルな設定を見せてくれたが、本作においては54年のゴジラ出現をきっかけに巨大生物が何度も日本を襲い、それに対応する軍備が整えられたという設定になっている。

メーサー砲を主力兵器とした「特生自衛隊」というその組織も、対ゴジラにおいては力不足であり、政府は東京湾に沈む54年ゴジラの骨をもとに生体ロボットを計画。DNAを採取し、生体コンピューターを用いた対ゴジラ兵器「3式機龍(メカゴジラ)」を完成させる。

設定やストーリー面でよくできた本作だが、それをさらに引き立てているのはやはり釈の演技だろう。極言すれば釈を観るための映画といってもいいくらいだ。そのぶんゴジラも釈の引き立て役になってしまい、脇役の感を否めないのも事実だが。

シナリオは『~ミレニアム』『~メガギラス』に続いて三村 渉。バトルシーンがメインとなるところはこれまでの作品の印象を引きずるが、「VSシリーズ」からは脱却した感がある。ある意味、この作品で「VSシリーズ」の決着をつけたのかもしれない。また『GMK』とは別の意味で「ゴジラ映画らしいゴジラ映画」として「観たかったゴジラ映画」と言っていいかもしれない。

監督/手塚昌明、特殊技術/菊地雄一
出演/釈 由美子、宅麻 伸、高杉 亘、水野久美、ほか。
2002年/日本/88分

(文:猫目ユウ)