「特撮映像館」、「VSシリーズ」の三枝以来のヒロインが登場する『ゴジラ×メガギラス』。新世紀にふさわしい作品に仕上がっていた。
「VSシリーズ」で助監督をしていた手塚昌明が監督に昇格。「2000シリーズ」では3作を監督している。「VSシリーズ」の三枝美希の発展型ともいえる、初の女性主人公によるゴジラ作品でもあるが、作品中では星 由里子が演じる女性首相も登場する。
54年『ゴジラ』の続編ということで作品冒頭では、54年作品を見事に再現した映像が披露され、それとともに日本の首都が東京から大阪に移されたという本作の設定が説明される。とはいえ、谷原演じる凄腕のアマチュアエンジニアがいるのは東京のアキバ、メガギラスの登場で水没するのは渋谷一帯と、首都となった大阪の影は薄い。
タイトルにもある「G消滅作戦」はマイクロブラックホール砲によってゴジラを消滅させるというものだが、今回もまたそういった人類の対ゴジラ作戦とは別に新怪獣が登場する。前作ほどストーリーの流れを壊すような、新怪獣の登場自体を疑問に感じるような構成にはなっていないが、ゴジラ対怪獣という要素を強引に入れている感は否めない。シナリオは柏原、三村の共作で、ふたりとも「VSシリーズ」後半でシナリオを担当していた。どうしても「VSシリーズ」後半のバトルありきな設定思想が透けて見える。
本作の救いはなんといってもゴジラを相手に奮闘する田中美里の演技だろう。そのほかにもこれまでのゴジラ作品の殻を破る要素はチラホラ見えてきているのだが、すべては手塚の次回作『ゴジラ×メカゴジラ』で結実する。
監督/手塚昌明、特殊技術/鈴木健二
出演/田中美里、谷原章介、伊武雅刀、星 由里子、ほか。
2000年/日本/105分
(文:猫目ユウ)