おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【うちの本棚】第三十四回 豹マン/桑田次郎

「うちの本棚」、今回は幻の特撮ヒーロー『豹マン』のコミラカイズ、桑田次郎版を取り上げます。

ピープロ企画による特撮テレビ番組として準備が進められていた『豹マン』は、「少年マガジン」そして「ぼくら」でコミック版が先行して連載される共に巻頭グラビアでもパイロットフィルムのスチールが紹介されるなどして、当時の子供たちは放送のスタートを心待ちにしたと思うが、残念ながら本編は制作されることなく消えてしまった。

  • コミック版は「少年マガジン」連載の南波健二のものがひばり書房から新書判全2巻で刊行されただけで、桑田版はまとめられないままになっていたが、サンコミックスでようやく第1話と第2話がまとめられ、マンガショップシリーズで未収録だった第3話が印刷物からの復刻という形で収録され、完全版として単行本化された。
     
    知り合いの滝村博士が、ひとり娘のちずるを人質にとられ、超人間の研究成果を狙われていることを知った秋月探偵は、博士に変装してちずるを救出に行くが、瀕死の重傷を負ってしまう。秋月を助けるため博士は未完成だった超人間として蘇らせるのだが…。

    新しい生命として豹の能力をその体に宿した秋月は、全身が豹のような姿になってしまう。しかし意思の集中により人間の姿にも、豹マンの姿にもなれることを、豹の数十倍の能力を発揮できることを知り、正義のために使おうと決心するのだった。
     
    改めて本作を読んでみると、その後石川 賢によって描かれた『魔獣戦線』のアイデアに近いものを感じた。特に第2話に登場する複数の動物をひとつに組み合わせるというのは「魔獣」そのものと言っていいだろう。

    また本作は主に付録として発表されていたためコマ割りも大きく、桑田のスピーディーな描線が生き生きとでているように思われる。ヒーロー作品を多く描いた桑田だが、この『豹マン』はその中でも屈指の作と言っていいのではないだろうか。ストーリー運びやコマ割りのテンポは言うまでもなく、「豹マン」というキャラクターが実に生き生きとしている。

    パンローリング版は完全収録ではあるが、初版では数か所ページの入れ違いがある。まことに残念である。

    初出/講談社・ぼくら(1968年1月号~7月号)
    書誌/朝日ソノラマ・サンコミックス「桑田次郎傑作選」
       パンローリング・マンガショップシリーズ

    ■ライター紹介
    【猫目ユウ】
    ミニコミ誌「TOWER」に関わりながらライターデビュー。主にアダルト系雑誌を中心にコラムやレビューを執筆。「GON!」「シーメール白書」「レディースコミック 微熱」では連載コーナーも担当。著書に『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』など。

    あわせて読みたい関連記事
  • 華の会メール・バナー
    PR

    オトナ世代の恋愛マッチング

  • 華の会メール・バナー
    PR

    趣味でつながる30代からの恋愛マッチング \華の会メール/

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】200回 バットマン/桑田次郎

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】196回 怪奇大作戦/桑田次郎

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】194回 ウルトラセブン/桑田次郎

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第七十一回 ゴジラVSメカゴジラ 決戦史

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第三十九回 弾丸トップ/桑田次郎

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第三十八回 電光少年スパーク・ダン/桑田次郎

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第三十七回 ベビーテック/桑田次郎

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第三十五回 豹マン/南波健二・宮崎 惇

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 令和のインターネットを侵略完了!イカ娘コスの11年越しビフォー・アフターが話題

      令和のインターネットを侵略完了!イカ娘コスの11年越しビフォー・アフターが話題

      「人類侵略のため、11年の時を経て再びイカ娘になったでゲソ!」11年ぶりに同じキャラクターのコスプレ…
    2. 松屋「担々麺ハンバーグ」を実食 記憶が混乱するレベルに美味しい……!

      松屋「担々麺ハンバーグ」を実食 記憶が混乱するレベルに美味しい……!

      松屋は8月19日から一部店舗限定で「担々麺ハンバーグ」を販売中です。鉄板にのったハンバーグに担々麺が…
    3. 7億円の当せん番号決定の瞬間を目撃!「サマージャンボ」抽せん会参加レポ

      7億円の当せん番号が決まる瞬間を現地取材!サマージャンボ抽せん会レポート

      1等・前後賞合わせて7億円が当たる「サマージャンボ宝くじ」と、1等・前後賞合わせて5000万円が当た…

    編集部おすすめ

    1. たいちくんX投稿より

      ゆりにゃさん元パートナー、Xで未練吐露→ネットの反応は冷ややか

      インフルエンサー・ゆりにゃさんの、公私にわたる元パートナーである「たいちくん」こと齊藤太一氏が、8月17日に自身のX(旧Twitter)を更…
    2. 匿名質問文化を支えた「Peing-質問箱-」終了 2017年の誕生から8年

      匿名質問文化を支えた「Peing-質問箱-」終了 2017年の誕生から8年

      匿名で質問やメッセージを送れるサービス「Peing-質問箱-」が、2025年8月29日をもって終了することが発表された。運営は8月15日付で…
    3. マクドナルドのポケカ騒動 期間中の店舗を訪れた記者が感じた“異様な雰囲気”

      マクドナルドのポケカ騒動 期間中の店舗で感じた“異様な雰囲気”

      マクドナルドは8月11日、ハッピーセット「ポケモン」のポケモンカードキャンペーンを巡る混乱について公式サイトで謝罪しました。期間限定カードを…
    4. 「珍しい苗字」より盛り上がる? 地域特有の苗字をまとめた地図が話題

      「珍しい苗字」より盛り上がる? 地域特有の苗字をまとめた地図が話題

      大学進学や就職で交友関係が広がると、今までの人生で見たことがない苗字を持つ人と知り合いになることがよくあります。見慣れない苗字に遭遇したとき…
    5. 「オラと博士の夏休み」初のスマホ版がでたゾ!でも日本は対象外……

      「オラと博士の夏休み」初のスマホ版がでたゾ!でも日本は対象外……

      累計販売90万本を超える人気作「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』~おわらない七日間の旅~」が、初めてスマートフォンで遊べるようになり…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト