「うちの本棚」、今回から桑田次郎が描いたヒーローたちを紹介いたします。まずはもうひとつの「まぼろし探偵」、『ベビーテック』から。
『まぼろし探偵』『Xマン』『ガロロQ』と同時期に連載されていた作品。もうひとつの『まぼろし探偵』という見方もできるような内容だが、ベビーテックとなって活躍する健二少年の正体、というかなぜベビーテックになるのか、ベビーテックのメカなどの小道具は誰が作ったのかなどということは最後まで謎のままだった。
エピソードも、最初の「夜の魔王」が案外あっけなく終わったので、続く「バット団」も長くはないのかと思ったら、ほぼこのバット団と団長の池袋博士がベビーテックの敵として出ずっぱりとなっていた。
人気連載作品をほかにも抱えていたためか、明らかに桑田自身のものではない絵で描かれたページが、多いときで連載一回分くらい、何度か出てくる。あまり単行本には恵まれていなかった桑田とはいえ、そういうこともあって単行本化しなかったのではないかとも感じられてしまう。
とはいえテンポも悪くなく娯楽作品として充分楽しめる仕上がりとなっている。
初出:日の丸(1959年9月号~61年7月号) 書誌:マンガショップシリーズ・全3巻 アップルBOXクリエート・全4巻 |
■ライター紹介
【猫目ユウ】
ミニコミ誌「TOWER」に関わりながらライターデビュー。主にアダルト系雑誌を中心にコラムやレビューを執筆。「GON!」「シーメール白書」「レディースコミック 微熱」では連載コーナーも担当。著書に『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』など。