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“視える世界”を歩く 霊能者監修「視える人には見える展 -零-」体験レポ

 人には見えない“何か”を視ることができる人たちの目には、どのような景色が写っているのでしょうか。

 そんな“視える人”の世界を疑似体験できる展示会「視える人には見える展 -零-」が、8月1日から8月31日まで東京・日本橋の福島ビルで開催。先立って行われたメディア向け発表会および体験会に参加してきましたので、その模様をお届けします。

  • ■ より多くの人へのリーチを目指す「視える人には見える展 -零-」展示は“鑑賞”から“没入”へ

     本展示会は、2025年5月に渋谷で初開催された「視える人には見える展」を、内容と規模を拡大して開催されます。渋谷での開催時には約1か月で1.3万人を動員し、チケットも全日程で完売するなど大きな話題となりました。

    「視える人には見える展 -零-」

     展示会は、霊視芸人・シークエンスはやとも氏と、透視・霊視を用いたカウンセリングサロンを主催するMiyoshi(みよし)氏の、霊能者2名が監修。世の中に少なからず存在する、人には見えない“何か”が視える人の世界を、疑似体験することができます。

    シークエンスはやとも氏&Miyoshi氏

     発表会ではまず、「視える人には見える展 -零-」の開催経緯について、シークエンスはやとも氏が、初開催時の予想を上回る動員に言及。

     「願望込みでですけど、意外と僕らみたいな者が受け入れてもらえる余白っていうのが、個展に来てくださる人の中にあるんだな」ということを感じたと話し、より表現できることがあるのではないかとの考えに至り、2回目の開催を決めたとのことです。

    シークエンスはやとも氏

     また予想を上回る集客により、資金が入ったとも説明。それを活かしてより多くの人にリーチさせることも考えて「やりたいこと全部やってみようよ」との思いから、“視える人”として表現できるすべてを盛り込んだ内容に仕上げたと話しています。

     主にパワースポット関連の展示を担当したMiyoshi氏は展示について「清らかなもの、かわいいもの、なんかいろんな物が展示されています」とコメント。

    Miyoshi氏

     単純なホラー・オカルトの文脈ではなく、普段自分が触れている世界とは別のレイヤーの世界が存在するのだということを、少しでも体感して欲しいと説明。

     視える人には見える“何か”を「怖がるんじゃなくて楽しんでいくという形で、新しい感覚を獲得していただけるような展示だと思っています」と結びました。

     初開催時は写真が主軸だった展示を、今回は“体験”という新しい要素も付け足して展開。また、展示されている8割以上の写真や展示物が、前回のものとは変わっているそうです。

     展示されているさまざまなものが“鑑賞型”から“没入型”に変化し、“視える”世界を見るからさらに一歩足を踏み入れるという意味を込めて、「-零-」というサブタイトルがつけられたとのことです。

    ■ 一見すると何の変哲もない風景写真 しかし“視える人”の目にはこう写っている

     「視える人には見える展 -零-」の会場は、前回開催時にはなかった5つのエリアを新しく追加した、全8つのエリアで構成されています。

    全体MAP

     会場を入ってすぐのところにあるのが、1つ目のエリア「写真館」。ここでは日常に溶け込んだ“何か”の存在を「認識」することができます。

    何の変哲もない写真が並ぶ

    廃墟を思わせる空間

     エリア内は、コンクリート打ちっぱなしの廃墟を思わせる空間。壁や柱には、一見すると何の変哲もない風景写真が飾られています。

    一見すると何の変哲もない写真

    視える人に見える景色

     しかし視える人の目には、ただの風景写真ではありません。解説によればそこには「少年」「女性」「巨大な何か」といった存在が確認できるのだそうです。

     また本展示会全体を通して、展示されている写真・映像には、いわゆる心霊写真的なホラーを前面に押し出したものはありません。

     解説として添えられる“何か”の存在は、黄色い線状のイラストで表現。また各存在に対して「巨大少年」「その道の方」といったキャッチーな名称が与えられているため、ホラーコンテンツが苦手な人でも安心して鑑賞することが可能です。

    キャッチーなキャプション

     エリア内には写真に直接解説がついたもののほか、専用のフィルムを用いて、“視える人の世界”を体験できるギミックも用意されています。

    専用のフィルムを通す前

    専用のフィルム

     ただの風景写真として見たあと、答え合わせのようにフィルムを通して同じ写真を見てみる……という風に、より能動的に“視える人の世界”へと足を踏み入れることができるのです。

    専用のフィルムを通して見ると……

    ■ 空気感、におい、音……日本のどこかに実在する“奇妙に荒廃した部屋”に五感で触れる

     続いてのエリアは「再現部屋」。監修者が実際に“視た”部屋が、空気感・におい・音・気配ごと立体的に再現されています。

    再現部屋

     シークエンスはやとも氏によればこの部屋は、日本のどこかに実在し、入居者はいないものの運営自体はされているという建物の一室を再現したもの。

     実際に足を運んでみた際、他の部屋が入居に問題ないほど綺麗なのに対し、この部屋だけが腐食・腐敗が進んでいるという、奇妙な状態にあったとのことです。

    日本の何処かに実在する部屋

     現地では、霊視ができるシークエンスはやとも氏のみならず、同行した他の人も気分が悪くなるという事態に。

     この部屋で実際に何が起きたのかは不明ではあるものの、あまりに多くの方が亡くなった状態で“視える”という状況だったことから「もしかすると何かあったのではないかと思ってしまうぐらいではあった」と話しています。

     再現された部屋の中には「写真館」と同様、監修者が“視た”人たちの姿が、黄色い線で表現されています。

    空気感・におい・音・気配ごと立体的に再現

     展示は淀んだ空気や、カビ臭さといった廃墟特有の雰囲気に五感で触れることができ、今回の大きなコンセプトである“没入”を最も感じることができるエリアとなっていました。

    ■ さまざまな骨董品が集められた「物品庫」持ち主の想いや記憶に肌で触れる

     「再現部屋」の向かいにあるのが、Miyoshi氏が監修した「物品庫」。「再現部屋」の生々しい雰囲気からは一変し、街なかにひっそりと佇む骨董品店のような、レトロな趣の展示を見ることができます。

    物品庫

    骨董品店のような趣き

     この「物品庫」にあるのは、実際にMiyoshi氏が骨董品店に足を運んで買い付け、集めた品々が並ぶギャラリー。しかし、いわゆる“呪いのアイテム”といったものではなく、持ち主の想いや記憶が“宿る”品々となっています。

    大黒・恵比寿

    兜や招き猫

     展示されている物品は兜や招き猫、人体模型など、人によっては不気味さを感じるラインナップ。しかし記者個人としてはあまりそういったネガティブな感情は湧きませんでした。1つ1つが誰かの手を経てここにやってきたのだという、大小さまざまな“物語”を、肌で感じることができたように思います。

    人体模型などが入った棚

    ■ 撮影禁止の3エリアへ さまざまな形で“視える”を体感

     「物品庫」を通った後は「映写室」「観察院 – 都市圏」「観察院 – 裏視界」と続きます。この3エリアは撮影禁止となっており、その内容をビジュアルでお伝えすることができませんが、いずれもさまざまな形で“視える”を体感することができるエリアとなっていました。

     「映写室」は静止画ではなく動画で、“視える”を体験するエリア。入って右手に大きなスクリーンがあり、そこでは何の変哲もない街を移動する一人称視点の動画が流れています。

     しかしエリア内で渡される特製のメガネをかけると、動画の中にさまざまな人たちが“視える”ように。最初の「写真館」エリアでは再現できていなかった、彼らの“動き”が分かるようになります。道の奥から、視界の端から……。通行人、あるいは風景の一部として視界に溶け込む“何か”を確認することができます。

     「観察院 – 都市圏」「観察院 – 裏視界」は、「写真館」と同じく、何の変哲もない風景写真の中にいる“何か”を感じ取ることができるエリアです。

     「観察院 – 都市圏」は廃ビルの一角を再現したような作りに、「観察院 – 裏視界」は事務机のある小部屋を再現した作りになっており、やはり“没入感”とともに、さまざまな写真を眺めていくことができます。

     「写真館」と大きく違うのが、2つのエリアで展示されている写真が、多くの人が現地を訪れた、あるいはメディアを通じて目にしたことのある「具体的な都市の一角」であるという点。

     普段何気なく歩いている街、道、駅も、“視える人”の目には違ったものとして写っているのだ、ということを感じさせます。

     「観察院 – 裏視界」ではジャーナリストとして活躍する丸山ゴンザレス氏と、ルポライター等として活躍する村田らむ氏が取材に協力。

     都市圏の中でも未練や強い記憶が残る“場所”に限定し、そこにとどまり続ける“何か”の存在を写しています。その名の通り、都市圏の“裏側”を垣間見ることができるエリアとなっていました。

    ■ 空間そのものがパワースポットになったエリア……そしてネタバレ厳禁の最後のエリアへ

     続いて現れるエリアは「観察院 – パワースポット」。こちらは「物品庫」と同様に、Miyoshi氏が監修したエリアとなっています。

    「観察院 - パワースポット」

     直前の「観察院 – 都市圏」「観察院 – 裏視界」から雰囲気がガラリと変化。足元に白い玉砂利が敷かれ、全体を緑が覆う神秘的な作りが特徴的です。

    エリア自体がパワースポットに

     自然豊かな風景写真の中にいる、神聖な“何か”の存在にフォーカスした展示となっています。

    自然豊かな風景写真に写る“何か”

     Miyoshi氏はエリアについて「神に近い現物というのが展示されています」と話しており、テーマのみならずエリアそのものがパワースポットになっているとのことです。

    神に近い現物

     「観察院 – パワースポット」のあとにあるのが、「最後」と題された8つ目のエリア。

    最後のエリア

     ここは一切のネタバレが禁じられており、その全容を知ることができるのは、現地に足を運んだ人のみ。

     もし展示会を通じて何か“違和感”を覚えていたとしたら、このエリアでその“正体”を知ることができるかもしれません。

     「視える人には見える展 -零-」は、8月1日から8月31日まで東京都中央区日本橋室町1-5-3にある福島ビルにて開催。時間は10時から19時まで(最終入場は19時30分)となっています。チケットは平日が税込み2200円、土日祝が2500円。小学生以上はチケットの購入が必要です。

    取材協力:「視える人には見える展 -零-

    (ヨシクラミク)

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