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【ミリタリー魂】第30戦 無可動実銃専門店「シカゴレジメンタルス」をレポート

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無可動実銃専門店「シカゴレジメンタルス」をレポートミリタリーな話題をマニア目線でお届けしている、鉄砲蔵の「ミリタリー魂」。
今回は友人から情報を得て東京・御徒町にある日本で唯一の無可動実銃専門店「シカゴレジメンタルス」についてレポートいたします。

このお店、全国規模でミリタリー店が集結し、宣伝をかねて新製品や特売品を売り出すミリタリーショーでほぼ毎回お見かけしております。


  • 世界史のあちこちで登場する銃がそろっており、この手のコレクションが日本に豊富に存在する、というだけで心躍らされます。

    という訳で、早速取材に行ってきました。

    店内全景

    さて、御徒町駅北口を出てちょうど徒歩10分、入り口を入って階段を上ると店内はこんな光景。
    店内は面積10m×5mくらいの小さなスペースでしたが戦争映画や戦場のニュース映像でよく見かける銃でいっぱいでした。
    それぞれの銃を使用し、命を懸けた人々の歴史が染み込んでいる気がして、独特の雰囲気を醸し出しています。
    木と鉄の武器は使い古し、手入れするごとに光沢が出てきます。絶景です。

    AK47ガンラック

    さて、お店の中の本物の銃のなかからいくつか世界の戦争史の主役をご紹介。
    まずは旧共産主義圏の名銃AK47からご紹介。

    この銃は旧ソビエトが極限まで侵略軍に追いつめられても市民が戦いぬけるようにデザインされています。構造が単純でまったく故障せず、中身に泥が入ったり真っ赤にさび付いても問題なく作動します。

    AK弾倉

    この銃は第二次大戦中、旧ソビエト連邦の戦車兵だったミハイル・カラシニコフ氏がその戦闘経験から開発に乗り出しました。
    敵国ナチスドイツの銃器の自動化に衝撃を受けてソ連に帰国後1946年に開発、翌年47年に量産にこぎつけました。以来、東ドイツ、中国、北朝鮮など、旧共産主義の国々にこの銃を供給したり製造法を指導したりしました。
    後に正式にソ連からの製造許可を取得しないまま勝手に同じものを生産する国々も現れ、さらに世界中の軍隊やゲリラに拡散しました。

    その上1991年のソビエト連邦崩壊をきっかけに膨大な数のこの銃が世界中に密輸されて流出しました。一時は紛争地域でこの銃の値段が当時の日本円で2千円まで下がったと本で読んだことがあります。
    世界中の戦場でこの銃が使われない戦場はない、と言われるほど普及するのも納得です。

    映画「プラトーン」の一場面では、ベトナム戦争のアメリカ軍志願兵の主人公クリス・ティラーが自分の所属する部隊にて夜間の待ち伏せ中、疲労のあまり居眠りしてしまいます。
    気づくと敵の北ベトナム兵と出会ってしまい、そのままジャングルの中で銃撃戦となってしまうシーンで北ベトナム兵がこのAK47を使用していました。
    実際のベトナム戦争でもジャングルの泥の中でも故障しない頑丈さでアメリカ軍のM16ライフルより有利に戦っていた話はマニアの間で有名です。

    実銃のAK47グリップ
    ノーマル電動ガン カスタム電動ガン

    次にこの銃について思った事は「グリップ、薄いな、握りやすそう。」です。
    早速自分の親指と比較してみました。
    ラックに掛かった銃の写真が実銃AK47、緑色のテープの巻いてあるグリップが部品を改造版に交換していない電動エアーガンのもの、厚手の木製の物がエアーガン用改造パーツとして売られていた木製グリップ。なるべくリアルな外観にするためのパーツですが、実銃と比較すると明らかに分厚いです。
    電動ガンには実銃にない、モーターやポンプなどの部品があるから仕方ありません。

    次に第二次世界大戦(1939年9月1日~1945年9月2日)を描いた映画の中で登場する実銃の数々をみてみましょう。

    MG34を持った僕

    僕がお店の許可をいただいて抱えてみた銃はナチスドイツの汎用機関銃MG34です。

    汎用(多目的)機関銃というのは一人で持ち歩いて撃てるサイズと重量に設計された機関銃で、このような思想で設計された銃はこれが世界初。
    帯状につながった弾を連続して送り出すようになっており、弾のベルトが続く限り新たな弾の装填は不要です。敵に向かって撃ちまくり、見方の前進を助ける用途にも使用したほか、飛行機に積み込んで空中戦に使用したり三脚に乗せて陣地防衛にも使用されました。連射速度が速く、その連射音はビーっという布を引き裂くような独特の音を発します。

    この銃は、映画「戦場のピアニスト」に登場しています。
    主人公のユダヤ人ピラニストが逃亡生活中、隠れ家の窓からドイツ兵がレジスタンスをこの銃の威力で制圧する様子をのぞくシーンで使われていました。
    独特の連射音と一瞬で標的のアパートが穴だらけになる威力が印象的でした。

    この銃は昔、空気圧で作動するエアーガンとして日本で製造されたことがあります。当時の銃砲刀剣類所持等取締法では弾の威力を規制する数値がなく、際だったハイパワーで他を圧倒してたのが今も記憶に残ります。
    実際にそれの無可動銃を抱えてみると、エアーガンより重いかと思えば、ほぼ同じくらいでした。
    昔からエアーガンもこの銃のような15万円前後する高級機種は大部分、金属部品を使用していました。今は全金属製のエアーガンも珍しくなくなりました。

    しかし本物の銃弾をこめるスペースはできないように配慮されており、犯罪には使えません。
    最近のエアーガンは外観や壊れにくさ、と言う意味での耐久性は実銃に近づいています。

    モーゼルKar98k

    お次は同じナチスドイツのモーゼルKar98kです。
    第二時世界大戦中のドイツで広く使われた、一発撃つごとに一回ボルトを引くボルトアクションライフルとなります。
    ボルトアクションとしては最も完成されたデザインとされ、この方式のことを別名、モーゼルアクションとも呼ばれるます。
    耐久性、命中精度で今でも定評のある銃のため、大戦当時は前線の歩兵の持つ銃に使われたほか、特に精密な射撃を要求される狙撃銃としても使用されました。

    こちらは、EAゲーム社製プレィステーション2のゲーム「メダルオブオナー、ヨーロッパ強襲」に登場しています。
    ゲームのなかでは敵役のナチスドイツ兵が使用したほか、レジスタンスが用意したこの銃をプレィヤーが操作する主人公のアメリカ兵が受け取り、狙撃に使用しています。
    望遠鏡のような倍率つき照準器をのぞいて十字線でねらう映像も再現されており、あたかも自分が敵兵を狙撃しているかのような雰囲気がよくでている作品です。

    マキシム機関銃

    次に取材したのはイギリスのマキシム・ヴィッカーズ機関銃(中央の緑色の銃)です。
    世界初の自動式機関銃で、それ以前はクランクを手で回す力で作動する手動式のガトリング銃が使われていました。
    この方式ではクランクを回している兵士が慌てているとうまく作動しないことも多く、当時の指揮官にはあまり信頼されていませんでした。
    そこでマキシムのように引き金を引くだけで連続で作動する銃が発明されました。

    この銃は19世紀末のイギリス植民地戦争の時代から第二次世界大戦まで使われ続けたロングセラーの名銃です。

    この機関銃は持ち運んで設置するためには3人の兵士を必要とするくらい大きくて重い銃ですが、水冷式で銃身が熱で破裂したり曲がったりすることがないため、銃弾と水さえ十分にあれば丸一日でも連続して射撃できる銃でした。

    映画では「二百三高地」でロシア軍の地下トンネルの曲がり角で突撃した日本兵をロシア軍守備隊が射殺するシーンに登場しています。守備用の兵器としての威力を見せ付けていました。

    さて、ここまでくると取材も終盤。最後に、お店の方に以前から気になっていた質問をしてみました。

    僕が以前、ネット上の写真投稿サイトで見かけた話題についてです。
    紛争地域に国連平和維持軍が介入し、使われていた武器が武装解除で山積みでにされた写真が掲載されていました。
    「壊して捨てるくらいなら無可動実銃に加工して日本に輸入すれば現地の方々の食料代くらい出ないでしょうか?」
    という書き込みを見かけたのでこれをこのまま店員の方に質問してみました。

    答えは
    「単純に金を出せば買って持ってこれるという物ではない。工場まで運び、加工する費用と引き合うかどうかも疑問。」
    「第一出所のはっきりしない銃を大量に持つのは危険。」

    確かに、言われてみればそもそも紛争地域で持ってはいけないからこその武装解除。
    また銃自体も元は正規軍や警察を襲撃して奪ったものかもしれず、保有していたら疑わて確かに危険。
    またただ破壊するのと違って外観をキレイに保ったままで鉄棒を銃身の中に溶接したり発射機構を溶接、実弾を発射できないようにするには技術が要りそうですね。
    浅はかでした。

    今回、取材させていただいた「シカゴ・レジメンタルス」。
    数々の貴重な歴史の生き証人の銃に出会えて、しかも触らせていただき、本当にワクワクするばかりの一時でした。

    公式ホームページによるとこのお店の方針としては、『銃のたどった歴史も商品価値の一つであり、傷の補修跡や古びた部品も発見したときのまま無可動銃にする』そうです。
    新品をあえて無可動銃にすることはあまりないようですね。

    僕自身も傷や古さも歴史の一部として、これも格好良さの一部のような気がして好感が持てます。

    普段こうした貴重な銃は博物館に所蔵され、「撮影禁止、お手を触れないでください。」が通例です。

    今回、撮影した銃はお金を出せば購入は出来ますが僕にはちょっと高価過ぎました。
    にもかかわらず快く応対していただき、お店の方にはこの場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

    ▼シカゴ・レジメンタルズ

    (文・写真:鉄砲蔵)

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