おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【ミリタリー魂】第31戦 「キャラホビ2011」自衛隊・アメリカ軍ブースをレポート

update:

「キャラホビ2011」自衛隊・アメリカ軍ブースをレポートミリタリーな話題をマニア目線でお届けしている、鉄砲蔵の「ミリタリー魂」。
今回は8月27日千葉・幕張メッセで行われた「キャラホビ2011」内の自衛隊ブースをレポートいたします。

「キャラホビ」というのは毎年夏ごろに開催される、アニメやゲームキャラクター等の新製品を紹介するのがメインのイベントです。


  • ミリタリーとはかけ離れたイメージもありますが、ほぼ毎回エアガンメーカーや第二次世界大戦などをモチーフにしたカードゲームが紹介されており、開催される度になるべく情報収集もかね足を運ぶようにしています。

    さて、その「キャラホビ」ですが、企業ブース以外にも実は毎回『自衛隊』や『アメリカ軍』も広報活動の一貫としてブースを出展しているのを皆さんご存知でしょうか?

    今回はサバイバルゲームを通して知り合った、予備自衛官補でもあり友人の乙夜さん(ハンドルネーム)が自衛隊ブースで演習体験のお手伝をするとの情報を得、ブースを訪問してみました。

    ちなみに今回の「キャラホビ2011」では、会場となる幕張メッセの1・2・3ホールを使用しており、今回取材した自衛隊・アメリカ軍のブースは第3ホールの1/6くらい、大体1000平方メートルほどを使用して設営されていました。

    予備自衛官補の乙夜さん

    会場に到着すると早速乙夜さんと遭遇。
    前にも軽くふれましたが、彼女「予備自衛官補」といって定期的に自衛隊の訓練を受け、有事の際は自衛隊から召集がかかるという仕事の方です。

    その他にもミリタリー雑誌SATマガジンではミリタリーをモチーフとしたグラビア写真やサバイバルゲームレポートなどで活躍されており、サバイバルゲーム愛好家の中ではアイドルのような存在です。

    また、個人的にサバイバルゲームを趣味とされており、手にしておられる銃も乙夜さんご自身の私物だそうです。この銃に施されている迷彩、網をかけてその上からTANカラー(砂漠に対応した薄い茶色)を吹き付けたスネークパターンというものだそうです。写真では光の反射などによりグレーに見えますが、TANカラーです。

    腕立て伏せ

    さて、本番の演習体験です。しかし僕が会場に到着した頃にはすでに定員となっており、僕自身は参加できませんでした。残念!
    ですが本来、一般人には過酷な自衛隊の演習、どんなものだろう?と興味があったので見物してみることにしました。
    演習体験が始まると会場の兵員を輸送するトラックの脇に参加者5名と見物人が大体50人ほど集結。

    銃姿勢アップ

    乙夜さんの姿勢をお手本に銃の構え方、射撃姿勢の教授。号令、「アップ!」で上写真のように照準器をのぞいていつでも射撃できる姿勢、「コバットレディ」で銃口を下に下げて視界を確保しつつ、いつでも銃口を敵に向けられる姿勢。

    今にして思えば、サバイバルゲーム(6mmBB弾を使用したおもちゃの銃使用の模擬戦闘ゲーム)に来ていた現職の自衛官、アメリカ兵の方々も一斉にそろってこんな動きをして練習していました。日頃の演習の成果を生かし、連携のとれた作戦でサバイバルゲームに臨んでいたんですね。確かに現職の方々がゲームでも強いわけだ。

    ダニエル・リースさん

    訓練体験の後半で海兵隊さながらのシゴキを再現されていたダニエル・リースさん。このお方、実際にイラクに二回も派遣されたアメリカ海兵隊の方で、日本のアニメのファンでもあるそうです。実際、日本語もお上手でした。
    そこでアメリカにおいてのサバイバルゲームについてお聞きしました。
    日本のように6mmBB弾を使用し、当たったら自分で「ヒット!」といって自己申告で死亡を認め、退場する方式は全くみられないそうです。
    代わりに直径17mmの弾が命中して砕けると中に仕込まれた、洗えば落ちる水溶性のペイントが付着、死亡判定とするペイントボールゲームが一般的だそうです。

    やはり証拠の残る方式のほうがアメリカ本土ではなじみやすいでしょうね。

    僕自身、20年ほど前にペンギン村というチームで初めてアメリカ兵と日本人メンバー、混合で敵にも味方にもアメリカ兵のメンバーのいる状態でゲームをやったことがあります。
    その際、アメリカ人の敵と見方で弾が当たった、当たってないで口論、日本人のメンバーがその周辺であぜんとしていた、という経験があります。

    と、言っても今、日本のゲームに来ているアメリカ人は自己申告制の日本式サバイバルゲームにすっかりなじんでいますが。

    あーみーたん

    会場には月刊アームズマガジンにて英会話講座の連載に登場するミリタリーもののマンガ「魔法の海兵隊ぴくせる☆まりたん」のゆるキャラ、あーみーたん、ねーびーたんが看板でそれぞれの展示車両を紹介しておりました。そのほか、それらのキャラクターの商品も数々販売されており、かなりエンターテインメント性が含まれていました。

    キャラクター商品

    こういうイベントの度にこのような募集相談窓口が見受けられます。

    募集相談窓口

    やはりいらっしゃいました。コスプレされている方!サバイバルゲームでよく見かける方々です。

    コスプレイヤー

    さて、お次は展示車両の中で興味を引かれたものをご紹介。写真は82式指揮通信車。1980年に上映された角川映画の「戦国自衛隊」の撮影以来、数々の映画の撮影に協力してきていることもあり、自衛隊車両に興味を持っていましたが、残念ながら内部撮影禁止。

    82式指揮通信車

    対してアメリカ軍のハンビー(HMMWV:High-mobility Multipurpose Wheeled Vehiecle)は車内の見物、撮影は全て自由でした。

    ハンビー

    さて、気を取り直してハンビーを中心に詳しくレポートいたします。この車両は第二時世界大戦やベトナム戦争が舞台の映画で頻繁に登場するジープ型の車に代わって導入された新型で、今回初めて内部を撮影させていただきました。

    ハンビー車内

    入ってみるとなるほど。昔のジープ型の車よりかなり広々した車内でした。

    このハンビー、映画ではソマリア内戦でのアメリカ軍派兵を描いた「ブラックホークダウン」の市街戦やイラク戦争での路肩爆弾を処理する部隊の活躍を描いた「ハート・ロッカー」の爆発物処理班の移動シーンなどで登場します。

    この車内でまず目に付いたものは、アメリカ軍M16ライフルの改良型のM4カービンを、銃口の部分を挟んでつるしておく為のクリップ。

    ライフルのクリップ

    なるほど、こうしておけば銃に折る方向の力は加わりにくく、しかも撃ち合いが始まる時にはすぐにバチッと取り外しやすい。こういったアイディア、実戦経験豊富なアメリカ軍ならではですね。

    写真は民間の車では常識のカーエアコン。さすがに砂漠戦など猛暑のさ中での戦闘でこれがないとつらいですね。

    カーエアコン

    なんと、ハンビーの銃座に上がらせていただき、エアガンを構えることさえさせてくれました。どこまでもオープンなアメリカ軍です。

    銃座での僕

    銃座の旋回も電動モーター駆動かと思っていましたが、意外なことに大まかな方向転換はハンドルをグルグル回して行い、細かな方向転換は盾の内側にある支柱の穴の上に銃を設置し、それを旋回させて行うようです。今回は銃を差し込む為の器具がなく、構えるフリだけだったのが残念ですが。

    盾の裏側の旋回支柱

    会場では防爆装備のMICH2000ヘルメットとIOTVボディアーマーの試着コーナーもあり、M16ライフルの構え方と瞬時の方向転換の仕方も指導していただきました。軽く腰を落として中腰になるのがコツとか。なるほど、足に余裕があったほうが動きやすいというわけです。

    僕は普段、サバイバルゲームで今回試着させていただいたMICH2000ヘルメットの前にアメリカ軍が使っていたPSGTというタイプのヘルメットを使用していますが、今回の新型は格段に軽くなっていると気づきました。やはり戦闘に勝つためには次々に装備を新しくしないとダメですね。これに装着する暗視スコープ(暗いところで明かりを灯さずにものが見えるようにする)装置も今では全員の兵士に行きわたっていると聞きます。10年ほど前は高価過ぎて全員には行きわたらず、一部隊に一つのみと聞いたことがありましたが、それも昔の話。先進国の装備は日々進歩、普及していますね。

    今回の東日本大震災においても「トモダチ作戦」でアメリカ軍は日本に対して多くの貢献をしてくださいました。仙台空港の復旧が早かったのもブルドーザーを搭載したアメリカ軍機が水浸しの滑走路に命がけの強行着陸までしてくれたおかげとか。アメリカと日本、文化や娯楽においてもお互いに気に入っている間柄に思えます。
    これからも重要な同盟関係となるでしょう。

    (文・写真:鉄砲蔵)

    あわせて読みたい関連記事
  • 防衛省、観閲式など原則中止 厳しさ増す安全保障環境を理由に
    ニュース・話題, 宇宙・航空

    防衛省、観閲式など原則中止 厳しさ増す安全保障環境を理由に

  • 自衛隊経験者ならピンとくる!?営内にあるベッドをDIY「ぐっすり寝れそうダナー」
    インターネット, おもしろ

    自衛隊経験者ならピンとくる!?営内のベッドを自室にDIY「ぐっすり寝れそうダナー…

  • 自衛隊東京地本の「ペットボトル運搬術」を実践 面白動画についても聞いてみた
    ライフ, 雑学

    自衛隊東京地本の「ペットボトル運搬術」を実践 面白動画についても聞いてみた

  • 画像提供:自衛隊東京地方協力本部公式X(@tokyo_pco)
    宇宙・航空

    東京地本が「自衛官のメイクアップ動画」公開!!ってそれ……カモフラージュメイクじ…

  • 画像提供:海龍 Southさん(@UJnzoW9PQXruIFF)
    インターネット, おもしろ

    息子から届いたプレゼントは南極の氷10キロ 「冷凍庫に入らない」と嬉しい悲鳴

  • 画像提供:自衛隊鹿児島地方協力本部
    インターネット, びっくり・驚き

    自衛隊のイベント告知に「志布志ゲシュタルト崩壊」と総ツッコミ 志布志市志布志町志…

  • バッグクロージャーを鹿児島県に見立てた地図(自衛隊 鹿児島地方協力本部提供)
    宇宙・航空

    パンの袋留める「アレ」が地図に早変わり 自衛隊鹿児島地本の艦艇一般公開告知

  • まるで第1空挺団が占領下の街を奪還しじきたように見える光景(Houndさん提供)
    インターネット, びっくり・驚き

    占領下の街を救いに来たみたい!第1空挺団の降下を離れたところから目撃

  • 自衛隊熊本地方協力本部の災害ライフハック(自衛隊熊本地方協力本部提供)
    宇宙・航空

    缶切りがない時はコンクリートでこすれ 自衛隊熊本地本の災害ライフハック

  • やけに自衛隊関係者が多い(うぐいす歌子さん提供)
    宇宙・航空

    自衛隊関係多すぎ? 農作業の手伝いで知った不思議な土地柄

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 宝塚宙組公演、25日に続き28日まで中止 主要出演者の体調不良で
    エンタメ, 舞台

    宝塚宙組公演、25日に続き28日まで中止 主要出演者の体調不良で

  • 「3色の鳥・ゆうちょバス 年金受取口座」篇
    エンタメ, 芸能人

    岡田将生さんが再び“謎の男性”に ゆうちょ銀行「ゆうちょバス」CM第2弾が放送へ…

  • 「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」26年2月15日放送開始 PROJECT R.E.D.第1弾
    アニメ/マンガ, 放送・配信

    「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」26年2月15日放送開始 PROJECT …

  • 宝塚宙組「PRINCE OF LEGEND」公演、25日の東京公演が急きょ中止
    エンタメ, 舞台

    宝塚宙組「PRINCE OF LEGEND」、25日の東京公演が急きょ中止

  • 住まいを選ぶ際の考慮
    社会, 経済

    「春と秋、こんなに短かったっけ?」約9割が実感する“二季化”と住まい選びに与える…

  • テキストエディター「EmEditor」でセキュリティインシデント 公式サイトのダウンロード導線に不正改変か
    インターネット, サービス・テクノロジー

    テキストエディター「EmEditor」でセキュリティインシデント 公式サイトのダ…

  • トピックス

    1. 絵柄がデフォでピンボケな……いつかやってくる未来に備える「老眼トランプ」が登場

      絵柄がデフォでピンボケな……いつかやってくる未来に備える「老眼トランプ」が登場

      どんな人間にもいつかはやってくる老眼。なんだか手元が見えづらいな……という状態を体験できるトランプが…
    2. 「呪術廻戦」酷似ゲームを巡る騒動 公式声明後にApp Storeから姿消す

      「呪術廻戦」酷似ゲームを巡る騒動 公式声明後にApp Storeから姿消す

      人気アニメ「呪術廻戦」に酷似したスマホゲーム「特級呪術師」が配信され、SNSで物議を醸しました。公式…
    3. 「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」26年2月15日放送開始 PROJECT R.E.D.第1弾

      「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」26年2月15日放送開始 PROJECT R.E.D.第1弾

      東映は12月25日、11月に発表していた新番組「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」について、202…

    編集部おすすめ

    1. 宝塚宙組公演、25日に続き28日まで中止 主要出演者の体調不良で

      宝塚宙組公演、25日に続き28日まで中止 主要出演者の体調不良で

      宝塚歌劇団は12月26日、宙組が東京宝塚劇場で上演している公演について、主要な出演者の体調不良により公演の実施が困難な状況が続いているとして…
    2. シートタイプのWebMoney

      WebMoney、事業をビットキャッシュへ承継 一部サービスは終了へ

      オンラインゲームの課金手段として知られる「WebMoney」が事業の節目を迎えます。auペイメントは2026年3月31日付でWebMoney…
    3. 「完全在宅」「未経験OK」のはずが…求人をきっかけに高額契約 消費者庁が注意喚起

      「完全在宅」「未経験OK」のはずが…求人をきっかけに高額契約 消費者庁が注意喚起

      育児などを理由に在宅で働きたいと求人サイトを利用した人が、結果的に高額な契約を結ばされるケースが相次いでいます。「完全在宅」「未経験OK」と…
    4. Netflix映画『10DANCE』

      Netflix「10DANCE」、海外SNSで広がる“困惑と魅了” 「情緒が崩壊した」人も

      Netflixで12月18日に配信が始まった映画「10DANCE」が、海外SNSで大きな反響を呼んでいます。BL作品であることに戸惑いながら…
    5. 「漆黒の指輪」は実在したものの……サン宝石、カプセルトイ「中二病が疼くリング」の“誇大表現”を謝罪

      「漆黒の指輪」は実在したものの……サン宝石、カプセルトイ「中二病が疼くリング」の“誇大表現”を謝罪

      アクセサリーや雑貨の販売で知られる「サン宝石」は12月16日、同社が展開するカプセルトイ「中二病が疼くリング」について、公式サイトおよびSN…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト