NASAの火星探査機「MARS 2020」を載せたアトラスVロケットの打ち上げが、日本時間の7月30日20時50分に迫りました。探査機には「パーセベランス」ローバーのほか、初めて地球以外の大気圏を飛行する航空機として「インジェニュイティ」ヘリコプターを搭載。打ち上げの様子は20時からYouTubeで生中継されます。
火星表面の土壌を採取し、生命活動の痕跡を探るほか、将来予定されている火星の有人探査に向けて基礎的なデータを収集するのが、MARS 2020の主なミッション。火星の公転周期1回分(地球時間で約2年)の間、ローバー「パーセベランス」とヘリコプター「インジェニュイティ」は様々な場所を移動してサンプルを集めます。
探査機が目指すのは、かつて液体の水が流れ、湖であったと考えられているジェゼロ・クレーター。液体の水が存在したことで、もしも火星に生命が存在していたならば、その痕跡が残っている可能性が高い場所です。
探査機を載せたアトラスV(541)ロケットは、2020年7月28日に組み立て棟からロールアウト。発射台に据え付けられたロケットは専用の機関車に牽引され、時速6km程度というゆっくりとした速度で30分ほどかけて第41射点へと移動します。
速度がゆっくりなのは重量もさることながら、高さがあるため。速度を上げると、加速や減速の際にロケットがバランスを崩す危険もあるので、ゆっくりと加速して、射点で止まる際もゆっくりと減速しながらという形になります。
無事射点にロケットが到着したことを受け、7月29日にはNASAのブライデンスタイン長官らの記者会見が行われました。にわか雨の降る中、ブライデンスタイン長官は「今回探査機に搭載されたヘリコプター『インジェニュイティ』は、私たちが将来世界を探索する際の考え方を変えるものになるでしょう。そして2026年、今度は火星からサンプルを地球へ持ち帰る、世界初のミッションに実施する予定です」と、今回のミッションが持つ意義と、将来に及ぼす影響についてコメントしています。
フロリダ州ケープカナベラル空軍基地での打ち上げカウントダウンは、すでに始まっています。現地の天候は打ち上げに問題ない範囲で、80%の確率で打ち上げが実施される予定。この模様はYouTubeのNASA公式チャンネルで、日本時間の30日20時から生中継されることになっています。
<出典・引用>
NASA ニュースリリース
Image:NASA/ULA
(咲村珠樹)