2021年11月24日(現地時間)、国際宇宙ステーションのロシア側区画で使用される新しい結合モジュール「プリチャル」が、カザフスタンのバイコヌール宇宙センターより打ち上げられました。

 プリチャルは2021年7月に打ち上げられたロシアの新しい科学実験モジュール「ナウカ」に接続し、最大5カ所のドッキングポートを増設します。

 結合モジュール「プリチャル(ロシア語で「誕生」の意)」は、2021年7月に20年におよぶ長期の任務を終え、分離された接続モジュール「ピアース(ロシア語で「埠頭」の意)」に代わるもの。

 現在ピアースが接続されていたドッキングポートには、2021年7月下旬に打ち上げられたロシアの科学実験モジュール「ナウカ(ロシア語で「科学」の意)」が接続されており、プリチャルはナウカの下部に接続し、ソユーズ宇宙船やプログレス補給船のドッキングポートを提供します。

ロシアの新しい結合モジュール「プリチャル」(画像:ロスコスモス)
ロシアの科学実験モジュール「ナウカ」(画像:ロスコスモス)

 プリチャルは、ソユーズ宇宙船の軌道船(最大径2.6m)よりも少々大きな直径3.3mの球形で、重量は4650kg。全部で6つのドッキングポートを備えており、燃料補給用のパイプラインや電源供給ユニット、ソユーズ宇宙船やプログレス補給船がドッキングする際に使用する監視カメラなどのシステムが装備されています。

プリチャルの打ち上げタイムライン(画像:ロスコスモス)
プリチャルとプログレスM-UM(画像:ロスコスモス)

 輸送する宇宙船は、プログレス補給船のバリエーションモデルであるプログレスM-UM。通常ならば燃料タンクや与圧トランクに2600kg程度の貨物が搭載可能ですが、プリチャルが大きく重いため推進ユニットと飛行管制システムのほか、食料など消耗品700kgのシンプルな構成(宇宙船の総重量8180kg)となっています。

プログレスM-UMとソユーズの比較(画像:ロスコスモス)

 打ち上げロケットのソユーズ2.1bに搭載されたプリチャルは、2021年11月21日にロールアウト。バイコヌール宇宙基地の31番発射台にセットされました。

プリチャルのロールアウト(画像:ロスコスモス)
発射台にセットされたソユーズ2.1bロケット(画像:ロスコスモス)

 そしてモスクワ時間の11月24日16時6分35秒、ソユーズ2.1bロケットはバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。打ち上げから約9分23秒後、プリチャルを搭載したプログレスM-UMは無事ロケットから分離し、予定軌道に投入されて打ち上げは成功しました。

プリチャルの打ち上げ(画像:ロスコスモス)
今後の予定タイムライン(画像:ロスコスモス)

 今後、プログレスM-UMは2日間かけて各部の確認を行い、国際宇宙ステーションの「ナウカ」モジュールにはモスクワ時間の11月26日18時26分にドッキング予定。プリチャルを送り届けたプログレスM-UMは、モスクワ時間2021年12月22日の1時20分30秒にドッキングを解除し、地球を3回周回したのち公海上を狙って大気圏に再突入することになっています。

<出典・引用>
ロスコスモス ニュースリリース
画像:ロスコスモス

(咲村珠樹)