アメリカ空軍は2021年4月7日(現地時間)、フロリダ州エグリン空軍基地でF-15の最新モデル、F-15EXのお披露目式典を開催し、その席上で「イーグルII」と命名したことを発表しました。これまでのF-15「イーグル」と見かけは同じながら、性能面では最新の能力を有する戦闘機であることを示す狙いがあるものと思われます。
F-15EXは、制空戦闘機として豊富な実績を持つF-15の機体構造をベースとし、そこに最新のレーダーやミッションコンピュータ、数々の電子システムを適用した多用途戦闘機。操縦システムについても、従来の油圧式からコンピュータを介在させたフライ・バイ・ワイヤ式に、コックピット計器も複数の多機能ディスプレイを採用したグラス・コックピットへと変更されています。
アメリカ空軍はボーイングに対し、2020年7月に第1ロットとして8機を発注。2021年2月1日に1号機が初飛行し、3月11日にエグリン空軍基地の第96試験航空団にやってきました。
4月7日、エグリン空軍基地の格納庫で開催されたお披露目式典で、アメリカ空軍調達担当次官補オフィスの軍事担当補佐を務めるデューク・リチャードソン中将は「空中戦で無敗を誇るF-15イーグルは、これまで45年以上にわたってアメリカをはじめ、敵や同盟国の人々の心に航空優勢の象徴として刻まれてきました。しかし、それは永遠のものではありません。私たちは、現場から上がってきた要望に耳を傾けました。私は実績あるフラットフォームをもとに、現在及び将来にわたって航空優勢を確固たるものとする、大胆かつ断固とした方策を実行できたことを嬉しく思います」とスピーチ。F-15の信頼性をもとに近代化された、F-15EX「イーグルII」に期待を寄せました。
ここエグリン空軍基地の第40試験飛行隊で、F-15EXは実戦配備に際しての各種試験を重ねます。最初の機種転換部隊は、キングスリー・フィールド基地のオレゴン州兵空軍第173戦闘航空団となりました。
州兵空軍部隊の司令官、マイケル・ロー中将は「1985年以来、F-15は州兵空軍を新たな住処とし、空軍州兵たちはこの素晴らしい航空機で国土防衛や、1991年の湾岸戦争以降は主要な海外での紛争にも活躍してきました。それこそが即応精強の州空軍で、F-15が戦いを通じて積み重ねた遺産です」と、エグリン空軍基地でのお披露目式典で語っています。
アメリカ空軍では、最大144機のF-15EXをボーイングから調達し、老朽化したF-15C/Dを置き換える予定。オレゴン州キングスリー・フィールド州兵空軍基地、第173戦闘航空団での機種転換訓練は2024年に始まり、最初の実戦部隊は、オレゴン州のポートランド州兵空軍基地で誕生することになっています。
<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
Image:USAF
(咲村珠樹)