カタール向けに作られたF-15の最新モデル、F-15QAが2021年8月25日(現地時間)、ボーイングのセントルイス工場で正式に公開されました。
F-15Eをベースにアメリカ空軍とカタール空軍が共同開発したモデルで、カタールは有償軍事供与(FMS)の形式で2017年に36機を発注。今年中にパイロットの引き渡し前訓練も始まる予定です。
カタール空軍はこれまで、イギリスやフランスといったヨーロッパ製の戦闘機を主に運用してきました。F-15QAはカタール空軍が導入する、初のアメリカ製戦闘機となります。
F-15QAは、F-15Eストライクイーグルをベースに「F-15 Qatar Advanced Jet」として開発がスタート。フライ・バイ・ワイヤやデジタル・コックピット、電子戦装置といった先進的なテクノロジーを搭載した1号機は、2020年4月に初飛行を行いました。
ボーイングでF-15プログラムを統括するプラット・クマール副社長は、F-15QAを評し「デジタル技術と高度な製造手法により、F-15における変革を飛躍させました。F-15QAは世界中のどの戦闘機よりも優れた速度、作戦行動半径、兵器搭載量でカタール空軍の優位性をさらに拡張することでしょう」と語っています。
正式なお披露目となるロールアウトに際し、中東地域を担当区域とするアメリカ第9空軍司令官のグレッグ・ギロット大将は「F-15QAのロールアウトは、その能力面だけでなく、パートナーシップを拡張・強化するという意味でも重要です。アメリカとカタールが共有する関係は、アメリカ中央軍作戦エリアの平和と安定に重要な位置を占めており、連携パートナーが相互運用性と統合された警戒体制を築いてくれることに感謝しています」との談話を発表しました。
正式なロールアウトを受け、カタール空軍パイロットに対する引き渡し前の訓練も2021年中に始まる予定です。このほかにも、カタール空軍はラファールとユーロファイターの導入を並行して進めており、情勢変化の続く中東で急速に空軍力を拡張しています。
<出典・引用>
ボーイング ニュースリリース
Image:Boeing/USAF
(咲村珠樹)