加熱式たばこを販売するフィリップ モリス ジャパンと国際サーキット「富士スピードウェイ」が手を組み、「煙のないサーキット」プロジェクトを開始し、11月26日から加熱式たばこ専用室・エリアがサーキット内に20か所オープン。当日、元F1ドライバーの片山右京さんも登場した発表会が開催されました。
この「煙のないサーキット」プロジェクトの発表会が開催された場所は、なんと現地の富士スピードウェイ。到着すると入口には27日に予選、28日に決勝を迎えるスーパーGT最終戦を待つファンの車が列を作っていました。ついにサーキットに来た!という実感がわいてきます。
モータースポーツの世界では、たばこメーカーがチームスポンサーとなり、多くのマシンにたばこの広告がデザインされるなど、以前からたばことの関係は強かったイメージがあります。今回世界でもトップクラスのモーターサーキットである富士スピードウェイが、紙巻きたばこの喫煙所から加熱式たばこ専用室・エリアに一新したということは、「煙のない社会」を目指す象徴として、大きなメッセージを伝えるかもしれません。
発表会では、まず富士スピードウェイ株式会社取締役の福島典雄さんが登壇。プロジェクト開始に至った経緯を「さらに幅広いお客様にモータースポーツを楽しんでいただくためには、紙巻きたばこの煙による望まない受動喫煙を含めた喫煙環境にもさらなる配慮が必要」と説明しました。
さらに、フィリップ モリス ジャパンのエグゼクティブアドバイザーである井上哲さんが登壇。井上さんは今回のプロジェクトを通して「社会の多くの方々と共に、「煙のない社会」実現に向けて頑張っていきたい!」と力強く挨拶しました。
舞台転換後のスペシャルトークセッションでは、福島さんと井上さんに加えて、フィリップ モリス ジャパンのチャネルアクティベーションマネジャーの鶴岡斉さんも一緒に登壇。そして、スペシャルゲストとして、片山右京さんもステージに登場しました。
様々なレースカテゴリーで走った富士スピードウェイとの思い出は、枚挙にいとまがないという右京さん。その場所が、今後は紙巻きたばこの喫煙が禁止になることについて「非常に大事なこと」と言い、レースに関わるすべての人が「煙のない社会」について考える良い機会になると、前向きに感じているようでした。
続いて鶴岡さんが、富士スピードウェイがどういう風に「煙のないサーキット」に生まれ変わったのかを説明。具体的にはサーキット内の喫煙所をすべて撤廃し、代わりに20か所の加熱式たばこ専用室・エリアを設けたとのことでした。
すると右京さんが、最近はレース場に子どもたちが来ることが多くなったこともあり、紙巻きたばこの煙による望まない受動喫煙に対する問題など、レース関係者も気になっていたと現場の状況を明かしました。そのため、今回のプロジェクトが始まることで「家族連れで来る人たちが安心してレースに集中できる」と話していました。
ここで司会者が「『煙のないサーキット』というのは世界のサーキットでも珍しいように思うのですが……」と富士スピードウェイの福島さんに質問。福島さんは、「富士スピードウェイが世界初ということになる」と回答しました。
右京さんもコロナ禍のため、ここ数年は海外のサーキットに行けていない、としつつ「こういうハッキリと明確にメッセージを出しているのは聞いたことがない、日本のサーキットが世界に先駆けて、今回のような取り組みを開始するというのは本当に誇らしいですね。」と話していました。
さらに鶴岡さんによると、加熱式たばこ専用室・エリアの外装や内装にもこだわったと語りました。まず外装には、2013年から富士スピードウェイで開催されているオリジナルのレースカテゴリー「インタープロトシリーズ」で、実際に走ったマシンの絵が描かれているとのこと。
そして内装には、実際にレースで使用されたバケットシートやホイールが展示されていたり、レーシングドライバーが富士スピードウェイのコースを走行したオンボード映像を放映したりしているそうです。
これには右京さんも「バケットシートに座ることはあまり体験できることでもないので、レーサーの気分を味わえるかもしれない」と話していました。
最後に富士スピードウェイの福島さんは、紙巻きたばこを吸っている人には不便をかけてしまったり、不満を持たれたりするかもしれないけれど、全世代が気持ちよく過ごせる環境を作るために「ご協力とご理解をお願いしたい」と訴えていました。
右京さんは、今回の取り組みは本当に革新的で、それを富士スピードウェイが行うことを誇りに思うとし、「自分も周りの人たちに広めていきたい」と語っていました。
発表会が終わると、実際に富士スピードウェイに新設された加熱式たばこ専用室2か所を見学することに。なんと移動の間には、右京さんをガイドにコースをバスで3周するという夢のようなミニツアーも行われました。
加熱式たばこ専用室は、チェッカー模様のサインが目印。外側には「インタープロトシリーズ」専用マシン「kuruma」がデザインされています。マシンのイラストは前後左右の面が描かれており、ちょうどトランスポーターにマシンが入っている、というイメージですね。
内部には発表会でも言及された、実際のレースで使われたバケットシートやホイール、そして過去に富士スピードウェイで開催されたレースの写真などが展示されています。1966年にオープンし、数々の名勝負が繰り広げられたサーキットの歴史も一緒に楽しめるようになっているんですね。
また、レーシングドライバーによる富士スピードウェイ走行のオンボード映像が見られるモニターも。それぞれの場所に趣向が凝らされていて、同じ場所を使うのではなく、20か所全部の加熱式たばこ専用室・エリアを回ってみたくなりますね。
これまでもレースとたばこは深い関係にありましたが、それが「煙のない世界」を目指して新しいものへと変化していく様子を感じさせる、フィリップ モリス ジャパンと富士スピードウェイの「煙のないサーキット」プロジェクト。喫煙環境の変化で、より多くの人にモータースポーツを楽しんでもらえるようになるといいですね。
取材協力:フィリップ モリス ジャパン合同会社/富士スピードウェイ株式会社
(取材・撮影:佐藤圭亮)