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『ジブリの大博覧会』行ってきた!マニア目線で見所解説

新潟県立近代美術館で開催されている『ジブリの大博覧会』を、非売品ジブリグッズコレクターの隔たった視点から(笑)レポートさせていただきます。

(注)グッズの説明も入る都合上、少々ネタバレも含まれることをご了承ください。また、内部の写真は大人の事情につきありません。記事中の写真は、筆者手持ちの個人コレクションを掲載しています。その点あわせご了承ください。

  • 【関連:コピー機購入のため販売された「風の谷のナウシカ複製原画三種セット」】

    (新潟県立近代美術館で開催されている『ジブリの大博覧会』)

    (新潟県立近代美術館で開催されている『ジブリの大博覧会』)

    ■パンフレットの薄さにまず愕然

    去年の名古屋で開催されていた時からずっと行きたかったんですよ!友人にパンフレットを買ってきてもらったまでは良かったんですが、その薄さに驚愕。

    (過去の展示会図録とパンフの比較)

    (過去の展示会図録とパンフの比較)

    僕のパンフ予想図では、分厚~い図録になって展示物の一つ一つの詳細なデータ入りで紹介されたものが載っている、いわばスタジオジブリ関連資料集の豪華版なんてものを勝手に想像していたんですけど……冷たい現実は、定価600円そこそこの映画のパンフレットと厚さが一緒という……ね……。

    展示内容は写真やパンフなどに頼らず「曇りなき眼で見定めて来い!」ということなのかっ!と、あいも変わらず長めな前置きは良いとして、大博覧会レポートスタートです(笑)

    ■実際は膨大な数の展示物

    今回の大博覧会までは『思い出のマーニー×種田陽平展』も同時開催されており、一度で二度美味しい展示会にもなっております。もちろんマーニーの世界に足を踏み入れた錯覚さえしてしまうほどの、非常に再現性および完成度の高い展示会なのですが今回は大博覧会レポなので泣く泣く割愛させていただきます。

    と、筆者は最寄り駅の始発に乗り、いざ!新幹線で新潟へ!朝からガッツリ牛タン弁当とからみそホタルイカの缶詰を頬張りながら、ゆったり開催地の長岡駅まで行き、バスに乗って現地に到着。

    ある程度の予想はしていたものの、今日はそう!GW初日!開場前から長蛇の列に軽く目眩を覚えつつも、事前に当日券を購入しておいたので待ち時間はほとんどなく、スムーズに館内へ。

    (開場前から長蛇の列)

    (開場前から長蛇の列)

    この手の人気のある展示会は、事前にチケットを買っておけばならぶことはないので事前購入がオススメです。予てよりツイッターなどで行った方々のツイートを拝見していたのですが、その感想もいろいろ。

    「すごく見ごたえがあった。」というものもあれば「30分で見終わった」というものまで。

    展示内容としては、ジブリの30年間の歴史を宣伝資料や宣伝グッズの観点から約3000点もの膨大な資料を駆使して展示するというもの。
    しかしまぁ、正直よくこれだけのものをかき集めたな~と(笑)とにかく展示物の膨大な数といったら相当なものです。

    入り口にはバーカウンターが置かれ、時には昔の話をしたくなるような(笑)雰囲気で宮崎駿・鈴木敏夫・高畑勲・ジョンラセター・庵野秀明・星野康二などなどの豪華な顔ぶれの写真が額装されています。

    バーテンダーのかわりに、2メートルほどあるトトロがお出迎えしてくれ、壁にはその他にもジブリ美術館で販売されていた『千と千尋の神隠し』『耳をすませば』のハンドトレスセルが飾られていました。

    そこを抜けると一般的になじみのある劇場用ポスターの世界。超貴重なポスター原画・ポスター用セル・鈴木敏夫さんと糸井重里さんによるキャッチコピーが決まるまでのファックスのやりとりなどがこれまた壁一面に展示されております。
    ここでのポイントはポスター原画とポスターセルの実物が見られるということ。劇場用ポスターが所狭しとある中で見落としがちではあるのですが、これはナカナカ見られるものではないので要チェックです!

    次は公開当時の新聞記事が壁一面に展示されています。こちらは新し目の作品だと実物の切り抜き新聞記事が展示されているのですが、古い作品になると展示ボードへの拡大コピーだったりするものですから文字が潰れて見えないこともあるのが難点。しかしよく目を凝らして読んでみると、その時期のイベントや舞台挨拶のことなどに触れられていて資料的な価値があります。
    新聞記事のコーナーにはモニターも設置してあり、魔女の宅急便以降の協賛会社などによる、今となっては貴重なCMも見られるので要チェックですヨ!

    ■若かりし頃の“ロン毛姿”の鈴木敏夫さんは必見

    次は鈴木敏夫さんの仕事場を再現したセットが展示してあり、ロン毛・革ジャン・サングラス姿の若かりし頃の鈴木敏夫さんの写真や、机・資料棚の上にはたくさんのものが飾ってあります。そこは展示物の説明が入っていないので、非売品グッズコレクターの目線から気になったものだけちょっとご説明を。

    ★額装されたハウルの絵は何?
    飾られている動く城の絵は、「城のモデルとなったスケッチ」という題名がつけられており、ハウルの動く城が大ヒットしたのを記念して、お世話になった関係者に向けてスタジオジブリより贈られた品になります。

    (城のモデルとなったスケッチ)

    (城のモデルとなったスケッチ)

    ★机の上にサイコロがたくさんあるけどどうして?
    鈴木敏夫さんはサイコロ賭博であるチンチロリンが好きなこともあり、サイコロが大好き。『風の谷のナウシカ』の映画化にもチンチロリンは一役買っており、当時の徳間書店の宣伝部長と一晩チンチロリンをやって、気持ちよく勝たせてわざと負ける。鈴木さんはゲームの間、ずっとナウシカの話をして宣伝部長にその熱意を伝え、それが功を奏してナウシカの映画化の決め手になったという逸話もあるほどです。机の上に無数のサイコロがあるのも、それを知っているとうなずけますね(笑)
    何気に机の上には花札もあるのですが、よく見るとこの絵柄が鈴木敏夫さんの似顔絵仕様の花札になっています(画・いしいひさいち)

    ★中日グッズがあるのはなんで?
    鈴木敏夫さんといえば名古屋出身の大のドラゴンズファンというのはちょっと知られた話。ドランゴンズのマスコットキャラクターである「ガブリ」も、そんな縁があって宮崎駿監督によりデザインされたことでも話題になりました。

    (ドラゴンズのガブリ)

    (ドラゴンズのガブリ)

    そしてそこを過ぎると、「ジブリの宣材倉庫」が待っています。その前にはベネリックより発売されたトトロのゾートロープ「どんどこおどり18体」「吠えトトロ16体」が横並びに展示されています。こちらは残念ながら展示のみで、実際にゾートロープとしては動いておりませんでした。ただ、せっかく横並びにしてあるのですから、ちょっとした工夫で動いて見えるようにしてほしかったですね。

    ■ジブリの宣材倉庫には非売品グッズがてんこ盛り

    ジブリの宣材倉庫では、非売品グッズを筆頭に過去に売られていた珍しいグッズなども展示してあります。

    上を見ればメーヴェやサボイアが空を飛び、ポニョが群れをなして泳いでいたりします(笑)とにかく空きスペースがないぐらいに所狭しとグッズが敷き詰められ、説明は最低限に抑えられています。これだけのグッズ量で展示と共に説明を入れるにはもっとスペースが必要になりますし、個々に説明を入れてしまうと筆者のような人間が食い入る様に見てしまい(笑)、鑑賞する人の流れも止まりやすくなってしまうこともあっての措置かと思われます。
    ただ、個人的にはそこを図録で補完してほしかった~というのが正直なところではあります。

    展示内容としては、ロビーカードやモノクロキャビネ、劇場用の置物、パンフレットや関係者向けのプレス類。キャンペーンでのプレゼント品から関係者にしか配られていない非常に貴重なものまで各作品所狭しと展示されてあります。

    ★ナウシカの長銃
    定価が諭吉さん36人ほど必要な限定100丁のモデルガン。2003年のナウシカDVD発売を記念して、エアーソフトガン・モデルガンメーカーの老舗であるマルゼンより発売されました。

    ★『おもひでぽろぽろ』~『耳をすませば』までの劇場用ぬいぐるみ置物
    近年のジブリ作品では立体的な造型のジオラマ風フィギュアが映画館の受付を飾っているのですが、90年代前半~中盤まではぬいぐるみがプラスチック台座に載って受付などに置かれていました。この頃のものは現在非常に入手が難しく、このジブリの大博覧会でも『紅の豚』だけは展示がなかったのが悔やまれます。

    (紅の豚ぬいぐるみ置物)

    (紅の豚ぬいぐるみ置物)

    ★非売品腕時計
    スタジオジブリではプレス向けのお土産としてブロックメモなどの筆記用具類や主題歌CDシングルなどを配っているのですが、腕時計もそのうちの一つ。古くは『平成狸合戦ぽんぽこ』~最新作『思い出のマーニー』までの非売品腕時計がズラッとならびます。筆者も集めてはいるのですが、ぽんぽこだけは存在を知らず、この大博覧会で知る事になりました。

    (非売品腕時計)

    (非売品腕時計)

    等々と書き出すとキリがないのでこの辺で(笑)とにかくこの『ジブリの宣材倉庫』にはお宝がいっぱい詰まっているということです(笑)

    そこを抜けるとジブリの関係者向けグッズと写真の展示です。写真の展示では、スタッフ達の祝賀会でのスナップやロケハンなどでのスナップ。または集合写真などなど、いろいろな写真がありました。関係者グッズでは祝賀会用に使われた枡や、『もののけ姫』のヒット記念品である赤い杯?お椀?のようなもの、ジブリグッズの販売元でもあるムービックがスタジオジブリの30周年を記念してスタッフに配られたラーメンサイズのどんぶりや、吉祥寺から小金井に移って新社屋を作った時の記念「陶器製の豚の蚊取り線香入れ」。

    (祝賀会用枡)

    (祝賀会用枡)


    (陶器製豚の蚊取り線香入れ)

    (陶器製豚の蚊取り線香入れ)

    アカデミー賞や金熊賞受賞時の本物のトロフィーや関係者に配られたアカデミー賞レプリカトロフィーなどなどが展示され、グッズ類展示を彩っておりました。

    (アカデミー賞受賞記念レプリカトロフィー)

    (アカデミー賞受賞記念レプリカトロフィー)

    最後には全てのジブリファンへのサービス展示でもある、巨大なネコバスと一緒に写真が撮れるスペースもあり、子供だけのみならず大人も乗れるネコバスということで大盛況でした。

    これだけの展示がならぶジブリの大博覧会ですが、正直レポートだけでは伝えきれない部分はたくさんありますので、是非とも一度は皆さんに足を運んでいただきたいと思います。私自身、この大博覧会の展示だけを観覧した所要時間は180分。開館の9時~12時まで見て回っておりました(笑)

    新潟での会期は5月15日までではありますが、今後も巡回の可能性もあるのではないかと思います。その時はこの記事が少しでも観覧される時のガイドになれば幸いです。

    (文:くろすけ/@kurosuke4313)

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