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漫画家のつぶやきから誕生したインク瓶 職人自らの手で販売へ

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 イラストや漫画といった業界では、この20年ほどの間、グラフィックソフトの発展もあり急激なデジタル化の波が押し寄せています。それに伴うように画材業界では、かつて人気を誇った画材たちは採算がとれないとして徐々にその種類をへらしつつあり、新商品開発にいたっては利益が見込めないことから躊躇する企業も少なくありません。

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    Conic Bin(コニックビン) 使用イメージ

     しかし漫画界での現場の状況はというと、業界全体でみればまだまだアナログが主流。いくらデジタル化が進もうとも漫画編集者によっては「アナログで慣れてからデジタルに移行した方がいい」と勧める人もいるほどで、作家の中にはペン入れまでアナログでこなし仕上げだけデジタルとわけて使う人も少なくありません。

     そんな状況下の画材業界に2016年、1つのインク瓶が誕生しました。
     商品名は『Conic Bin(コニックビン)』。コニカルビーカーのコニカル「円錐」とコミックを組み合わせて命名され、東京都荒川区に本社を置く昭和23年創業の老舗理化学ガラスメーカー・桐山製作所が製作しました。桐山製作所は化学プラント装置の専門製造会社。民生用製品を作ることはなく、ましてやインク瓶を作るなんて初めての経験。

     なぜ化学プラント装置の専門製造会社がインク瓶?
    インク瓶はガラスであることから少なくともそこだけは共通していることがわかりますが、このきっかけを作ったのは漫画家・ツナミノユウさんが発信したTwitter(@tsunaminozazen)のつぶやき。

     「こういうものが欲しいという気持ち」というコメントとともに、理想とするインク瓶のラフイラストを6月19日に投稿したのです。形状は中央がすり鉢状にくぼんだインク瓶。すり鉢状にすることで中央に液が集中し、ペン先に付けやすいというのが特徴。この投稿は、日を重ねるごとじわりじわりとRT(リツイート)数を伸ばし、記事執筆時点で800RTほどされていました。その800RTの1つが偶然にも桐山製作所のガラス職人・高木俊比古さんの目に留まりました。

    すり鉢状になっている

     高木さんによるともともとツナミノユウさんはフォローしている訳でもなく、全く知らなかったそうです。それが偶然RTを目にして「原案は問題なく作れそう」と思い立ち、「よろしかったら僕が作りましょうか?」ダイレクトメールを送ったことから、商品開発がスタートしました。それからは絵を交えてツナミノさんと高木さんの二人三脚。ツナミノさんの要望と高木さん側でできることを照らし合わせてようやく第1号完成にこぎつけました。

     この第1号はツナミノさんの手により、Twitterで報告されました。そのときのRT数は1万8000回。 当時の心境を高木さんは「この時のネット拡散力には本当に驚き戸惑いましたね。」と語っています。もともと「もし反応があったら後数個作ってもいいかな?」とは考えていたそうですが、商品化の要望が多数届くようになりそんな数は無理だと半ばあきらめていたそうです。

    Conic Bin(コニックビン) 上から

     ところがこの事態に背中を押してくれたのが高木さんの所属する桐山製作所。これまでの流れを会社に相談してみたところ、「商品化しよう!」と快諾してくれたそうです。ただし、民生品を扱う会社ではないため販路をもたず、まして自社直販の仕組みもなかったそうです。そこで「高木俊比古商店」というサイトを高木さんと有志の人たちで立ち上げ、自ら製造から販売まで行うことでネット通販の販売形態を整えました。

    製作者

     老舗理化学ガラスメーカーが放つインクガラス瓶『Conic Bin』。職人技の光る丁寧な仕事には1つ価格12500円(税抜)という値段にも納得できるのではないでしょうか。販売は高木俊比古商店(http://toshihiko-takagi.com/conicbin/)にて2016年10月11日2016年10月18日より開始。(発売日が10月11日から18日に延期されました)事前予約は受け付けておらず販売受付はすべて同日より開始されます。

     なお、限定ではなく継続して販売が行われるので、もし発売日に申し込めなくても諦める必要はありません。高木さんらによると、商品は一つ一つ手作りとなるため大量生産はできないそうですが、それでも在庫数を増やすなど工夫しできるだけ多くの人の手に渡るよう頑張っていきたいと語っていました。気になる方は諦めずにぜひ。

    ▼協力
    高木俊比古商店

    (文:宮崎美和子)

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