小学3年生の算数で初めて登場する「割り算」。大人になった今では当たり前に解くことができますが、初めて接する子どもにとっては難解。仕組みを理解するまでに時間を要するお子さんも多いと思います。

 そんな割り算の「考え方」がわかるツールがツイッターで紹介されています。方眼ノートに書かれた「12÷4=」の計算式に、「=」と「×」が書かれた凹字型のシートを被せると……割り算の問題が一瞬で掛け算の問題に早変わり。「掛ける」と「割る」の相互関係を、より簡単に理解することができそうです。

 この様子を動画にして投稿したのは、ツイッターユーザー・なかッちさん(@nkc_papa)。過去に塾講師、小学校教員、発達障害児専門の児童指導員をしていた経験上、新3年生には「割り算がなんでその答えになるのか上手く理解できない」子どもがたくさんおり、この時期に効果的な解き方を知っていてほしかったため、今回の投稿を行ったのだそう。

 当然ですが、この方法が効果的であることはなかッちさん自身が実証済み。過去はもちろん、今現在もこの方法を用いて教えています。

 九九をそれなりに覚えている子どもであれば、割り算を初めて見た場合でもわずかな時間で基礎を理解でき、たとえ一度割り算につまずいてしまった子でも、この方法を教えると目を輝かせて問題を解き始めるようになったこともあるのだとか。

掛け算を解くと割り算の解になっています

掛け算と割り算の相互関係の理解に役立ちそうですね

 リプライには「昔からこの考え方で解いてるー」という声も寄せられているように、この方法自体は決してなかッちさんが考案したわけではありません。

 「感覚が掴めてる人なら自然に頭の中でやっている事を視覚化しただけ」というものですが、投稿には3万件を超える「いいね」が付き、「もっと早く知りたかった」という返信が相次ぐなど、多くの方にとっては目からウロコな考え方であったようです。

 それほど、有用的と思える考え方ですが、なかッちさんによると「この教え方をしてる先生を僕は見た事ないです」と、教育現場で一般的に取り入れられている方法ではない模様。たしかに、このようなツールは便利である一方、ツールを用いて解くことが目的になってしまい、本質的な理解から遠ざかってしまう可能性もゼロではないかもしれません。

 しかしながら、指を使って足し算をしていたらずっとその方法でしか解けなくなるか、と言われれば決してそのようなことはありません。本質的な理解への入り口として、このようなツールを使うことは方法論としてはありだと、個人的にも感じます。

 また、なかッちさんによると「この方法自体は『割り算は逆数のかけ算』という性質を形にした物なので、分数の割り算でも割合の計算でも方程式でも二次関数でも一生涯使えます」と、今後も役立つ数学的考え方の基礎であるとのこと。

 特に算数・数学は一度つまずくと、なかなか立て直しが効かず、そのまま苦手教科として定着してしまいがち。そうなってしまう前に、学校で学ぶ方法とは別の切り口の解き方を、試してみる価値は大いにあると言えるのではないでしょうか。

<記事化協力>
なかッち|遊究舎-遊びを究める,だから学べる-さん(@nkc_papa)

(山口弘剛)