すっかり秋めいてきた今日この頃。スーツジャケットを着たまま仕事をする人も多いと思いますが、実は男性用スーツには「アンボタンマナー」と呼ばれる正しい着こなし方があることをご存じでしょうか?
それは「2つないし3つある前身頃のボタンの一番下は留めない」というもの。知っているか知っていないかで、面接や商談の結果にも影響が出るかもしれない、と言われるほど大切なスーツのマナーについて解説します。
「ボタンをひとつ外した状態にしておくなんて、それこそマナー違反に当たらないの?」という声も聞こえてきそうですが、実はもともとスーツのジャケットは、下のボタンをひとつ外した状態が最もきれいなシルエットになるように作られています。
スーツを持っている方はぜひ確認してほしいのですが、ジャケットの前身頃は上のボタンから裾に向かって大きく円を描くような形状(フロントカット)になっていると思います。
この形状を崩すように、無理にボタンを留めてしまうと、生地が引っ張られることでシワが寄ってしまい、せっかくのかっこいいスーツが台無しに。大事なシーンでかしこまって、ボタンを留めるのは実は間違いで、スーツの正しい着こなし方を知っている人から見れば、一目で「あ、この人は身だしなみに興味がない人なんだな」というのが伝わってしまうわけです。
また、中にボタン付きのベストを着用する際も、スーツと同じように一番下のボタンは外します。こちらは明らかに型崩れしますので、留めている方は少ないと思いますが……この場合もアンボタンマナーが適用されることを知っておきましょう。
アンボタンマナーの起源には諸説あるようですが、現代のスーツが下のボタンを留めないようなデザインになっているのは事実。見た目の印象だけで、あなたの人となりを判断されてしまわないよう、スーツを着用する際はぜひ意識してアンボタンマナーを取り入れてみてください。
ちなみに、女性用のスーツの場合はボタンの数に関わらず、全て留めるのが正。もともとボタンを留めることを想定したシルエットとなっているため、男性と女性で着用方法が異なることも理解しておきましょう。
【山口弘剛:筆者プロフィール】
鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育て中。仕事は元大手アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動中。