静岡県浜松市にある春華堂(しゅんかどう)の「うなぎパイ」といえば、静岡県を代表する銘菓の一つ。その知名度は全国区といっても過言ではなく、「静岡県のお菓子」とは知らないものの「うなぎパイ」は知っているという方もいるのではないでしょうか。
ただし、この知名度にもかかわらず全国どこでも販売されているわけではありません。もちろん公式の「オンライン販売」も行っていないのですが……インターネットショッピングサイトなど(以下、ECサイト)では販売されています。でも定価よりも1000円ほどどこもお高め。
何が起きているのでしょうか。今回はそのワケを春華堂の担当者に聞いてみました。
◼ うなぎパイとは
まず「うなぎパイ」について詳しく紹介すると、静岡県浜松市にある菓子メーカー「春華堂」が昭和36年に発売した銘菓。バターと厳選された原料に、うなぎエキス、ガーリックなどの調味料がブレンドされています。
浜松市と湖西市にまたがる浜名湖がうなぎの産地であることから、当時の二代目社長が考案した商品です。
また、「夜のお菓子」というキャッチコピーも有名ですが、その理由は決して変なものではなく、
「一家団らんのひとときにうなぎパイを囲み皆さまに楽しんでいただきたい」
という思いが込められています。
◼ 販路が限られている「うなぎパイ」
ここまで知名度の高い「うなぎパイ」なら、静岡県のお菓子として全国で積極的に販売されていてもおかしくありません。実際そうした販売方法をとる地方銘菓はいくつもあります。が、しかし。一部例外をのぞき、広範囲では販売されていないんです。
販売エリアはごく限られ、通常販売されているのは静岡県および静岡県近隣のみ。例外として静岡県のアンテナショップなどで売られることもありますが、確実に限定されています。
公式サイトの「うなぎパイ取扱店」によると、確かに静岡県および、東京・名古屋の一部店舗のみ。
しかしながら冒頭ふれたとおり公式通販は行われていないものの、ECサイトでは定価+1000円ほどの値段で売られています。
いったい何が起きているのでしょうか?また、販売をごく限られた場所に限定しているのはなぜなのか、公式通販しないワケも春華堂に話を聞いてみました。
(取材形式について:コロナ禍ということもあり、対面ではなく電話取材を行いました)
◼ 全国で販売されていない?販売エリアは?
――全国販売をしていないというのは、本当ですか
はい、静岡県および周辺地域のみの販売となっております。「一宮」「沼津」「浜松」の営業所から自社便で納品できるエリアに限定し、新幹線の駅では岐阜羽島~小田原までとなっております。ただし取引先の関係上一部例外はございます。
――なぜ静岡県周辺のみとなっているのでしょうか
お土産品としてぜひ静岡県に足を運んでほしいという思いからそのようにしております。
――静岡県に足を運んでお土産として持ち帰ってもらいたいというコンセプトがあるというわけですね。余談ですが個人的にもう1点気になることが……高速道路のサービスエリアでは昔は「ナッツ入り」のみの販売でしたが、今は違うのでしょうか
よくご存知ですね!はい昔は「ナッツ入り」のみでしたが、現在はお客様からのお声があり、一部店舗では通常の「うなぎパイ」も販売しております。
◼ 今回の核心「オンラインではうなぎパイは販売してない?」
今回の話の核心、「うなぎパイ」はオンライン販売が行われていない件についていよいよ聞いていきます。そもそも春華堂では発送中におきるお菓子の破損を理由に、現在通信販売は行っていません。
にも関わらず、現在あちこちのECサイトで売られているのはどうした事情からなのか?
――大手ECサイトなどで「うなぎパイ」が販売されていますが、あれは春華堂直販ではないのですか?
はい、お客様が購入されてオンラインに転売されたものかと存じます。
そのようなものは、割れたり品質が悪くなったりして、購入されたお客様から指摘が上がっており、弊社としても苦労しております。
――オンライン販売はしない方針なのですか?
はい。以前は通信販売をしていたのですが、どうしても輸送時に破損したりすることで、品質を保てないという経緯があり、弊社ではオンラインでの販売はしておりません。
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やはり公式によるオンラインでの「うなぎパイ」販売は一切行っていないそうです。販売されているのは転売品。しかも、人から人の手へと間がはさまるぶん時間もかかり管理に問題大ありだそうです。春華堂の担当者も、この件については大いに苦慮していると漏らしていました。
以上を理由に、静岡県内もしくは周辺地域などでの販売に限られる「うなぎパイ」。どうしても欲しいかたはぜひ静岡の地まで足をお運びいただくか、春華堂が販売を許可している実店舗で購入するのがベスト。管理に問題大ありな商品を決して購入しないようご注意ください。
この点は、静岡県浜松市のライターである筆者としてもぜひともお願いしたい点です。どうか何卒!
<取材協力>
浜松のお菓子処 春華堂
(たまちゃん)