毎度趣味の袋小路的おはなしをお届けしております「無所可用、安所困苦哉」でございます。
今回は袋小路ではなく、アクアリストの憧れでありある意味終着点である「大型魚」と、その販売を行なっているお店のおはなしです。爬虫類・両生類はよく話題にいたしますが、ワタシは爬虫類飼育にハマる前からアクアリウムをやっております。
○大型魚って?
熱帯魚という言葉から多くの人がイメージすのは、ネオンテトラやプラティなどに代表されるきれいな色の魚。最近は水槽メーカーがインテリアアクアリウムとして小型水槽を多く出していますが、そういった小さな水槽でも飼育可能な魚たちでを思い浮かべるのではないでしょうか。大きいところでエンゼルフィッシュくらいかと思います。
これからご紹介するのは、少なくとも50cmを超える魚たちです。
よく知られたところではまずアロワナ。でも大型魚の中では小さい方かもしれません。
次に淡水エイ。エイの場合、体の部分を体盤というのですが、大きいものでは直径が2mというのも。小さくても60cmくらいあります。エイの場合は体盤が丸いものが多いので、水槽の奥行きも広くないと飼育できません。
おつぎはガーの仲間。60cm~2m超と巨大です。長い口にずらりと歯が並びます。ガイノン鱗という特殊な鱗で覆われています。外見がいかつくワニのようなので人を襲うと勘違いされていますがそんなことはありません。体が固く、奥行きが狭い水槽では曲がれません。
ナマズの仲間にも大型化するものが多数います。日本でもビワコオオナマズが知られ、熱帯魚ではないですがヨーロッパオオナマズは時折巨大魚が釣れたとニュースになります。このほかメコンオオナマズ、ジャウーキャット、レッドテールキャットなど、大型ナマズは世界に分布しています。
そして淡水魚最大と言われるのがピラルクー。独特の体型をしており、巨大魚好きの憧れです。成魚で3m、記録では5mを超えたというものもあります。
ここまで紹介してきた魚は、たいてい幼魚で売られています。レッドテールキャットやガーの一部などは、幼魚だけ見ていると、まさかメートルを超えるとは、という外見です。
さてこれらを飼育するとしたらどうでしょうか?1mを超えるのであれば水槽は2mくらいは必要になります。ピラルクークラスになると、ほとんどプールの領域で、水族館並みの広さ、設備が必要になります。
しかし、場所さえあれば飼育できないわけではありません。まず水量が1tを超えてくるので、それなりに床の補強が必要です。マンションではちょっと厳しいかもしれないです。床補強ができ、分厚いガラスかアクリルの巨大水槽が設置でき、そして水換えする覚悟ができれば、ひとまず飼育は可能です。
今回、そんな大型魚を多く取り扱っている熱帯魚・錦鯉のお店、「アクアショップかのう」さんに伺いました。
○アクアショップかのうさん訪問
アクアショップかのうさんは中目黒駅から徒歩15分くらいの場所にあります。錦鯉も販売しておられ、敷地内には錦鯉の池もあります。
店についてまず迎えてくれるのが巨大水槽。ガー、アロワナ、エイなどがゆったりと泳いでいます。
ワタシはこの入り口の水槽が非常に重要と思います。というのは、ガーやレッドテールキャット、アロワナの仲間などの幼魚がホームセンター等で売られており、大した説明もないまま買われていくという熱帯魚界の現状があります。昨今、河川や湖でガーや外来大型ナマズが釣れて問題になりますが、大きくなって飼いきれなくなり「捨てて」しまったものと推測されています。言わば「野良外来魚」です。それなりの熱帯魚ファンであれば魚ごとにどのくらい大きくなるか理解していますから、ベビーを見ても将来の姿を予測します。アクアショップかのうさんの場合、入り口の水槽で、まずこれが終生飼育できるかを判断できます。巨大魚の幼魚を売っているのに説明ができないような店は、せめて成長したときの大きさを示すモックでも置いて欲しいものです。
話がそれました。店内には小さな魚も売られていますが、やはり大型魚に目がいきます。多いのはポリプテルスの仲間とエイ。ポリプテルスには数種類ありますが、シーラカンス(ラチメリア)のような骨のある胸ビレを腕のように動かして泳ぎます。背中には多数の背ビレが並び、ファンが多く、これだけを飼育する人もいるほどです。
ポリプテルスも幼魚をホームセンターで見かけることがありますが、ここにいるのは幼魚から60cmクラスまで様々。大きな個体は迫力満点ですが、これくらいなら飼えるけど……、いやまてその前にどうやって持って帰るんだ(ワタシは自動車を持っていません)。ただポリプテルスは大きくなっても30cm前後という種もあるので、ちょっと妥協すれば飼育自体は不可能ではありません。
エイもまた魅力的です。他の魚とは大きく趣を異にした容姿。「魚の絵を描いて」と言われてエイを描く方とはよいお友達になれると思います。しかしエイはその容姿のおかげで持ち帰りはポリプテルス以上に困難。しかも毒針を持っていますので取り扱い注意です。
店の一番奥にも巨大水槽があり、見事なプラチナガーが泳いでいます。お店ですのでただ見るだけというのはご遠慮してほしいですが、このプラチナガーは見ただけで満足させる魅力を持っています。他のガーとの色の違いがわかるような位置に来るまで粘らせて頂きました。同じ水槽にはプラチナのパーチも泳いでいます。こちらもものすごくきれいです。
プラチナガーは1m50cmくらいでしょうか。水槽の大きさが非常におおきなものであることがおわかり頂けますでしょうか。
土地とお金が許せば飼育してみたい大型魚。入念な準備をして飼育に臨んでください。もし実現できたら、大きなガーやエイが部屋にいるというのは、きっととてもいいものですよ。
(文・写真:エドガー)