アレルギーは軽いものからアナフィラキシーショックという重篤な症状が出るものまで様々です。特に食べ物によるアレルギーは、時に命に関わる事があります。そのアレルギーがある事を知っているにも関わらず、アレルギー持ちの人にアレルゲンとなるものが入っている物を“わざと教えず”食べさせた、という事案が注目をあつめています。
被害に遭ったのは、マル秘のいか子。さん。
「アレルギーが話題やけど、私はある食べ物のアレルギー持ってて過去にアナフィラキシーショック起こして救急搬送されたことあるんやけど、一時期やってた事務職の先輩が知ってて私にそれが入ったクッキー食べさすドッキリをして案の定救急搬送されて、私は警察に被害届と慰謝料等の訴訟起こしたからね」
とツイッターに投稿したところ、2万件以上リツイートされ、「それは殺人未遂では」「冗談抜きでシャレならないです!」といった意見から、自分や知人のアレルギー談も多く、その怖さをスレッド内で語り合う人たちも。また、「ホント無知な人って何仕出かすか分からないからなぁ。疾病に関しては知らない人多すぎて驚くこと多い」という意見もあり、多くの人が、この「先輩」がやった事は殺人未遂であると感じている様です。
■ アナフィラキシーショックとは
一般社団法人 日本アレルギー学会が定義するアナフィラキシーショックとは、「アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与えうる過敏反応」としています。要するに、体のほぼ全体にアレルギーによる症状が出て死の危険性が強い、という事です。
アナフィラキシーは、次の3つの項目に該当するものをいいます。
1.皮膚症状(全身の発疹、掻痒または紅潮)、または粘膜症状(口唇、舌、口蓋垂の膨張など)のいずれかが存在し、急速に(数分~数時間以内)発現する症状で、かつ、呼吸困難・気道狭窄・喘鳴・低酸素血症などの呼吸器症状か、血圧低下や意識障害といった循環器症状を伴う
2.一般的にアレルゲンへの曝露の後、急速に(数分~数時間以内)発現する症状の以下のうち、2つ以上を伴う
a)皮膚・粘膜症状(全身の発赤・掻痒・紅潮・浮腫)
b)呼吸器症状(呼吸困難・気道狭窄・喘鳴・低酸素血症)
c)循環器症状(血圧低下・意識障害)
d)持続する消化器症状(腹部の痛み・嘔吐)
3.当該患者におけるアレルゲンへの曝露後の急速な(数分~数時間以内)血圧低下
アナフィラキシーはその症状によって軽症・中等度・重症の3段階に分類されますが、軽症であれば蕁麻疹などの皮膚症状やかゆみ、軽いのどのかゆみや違和感など、命に別状はない程度ですが、中等度以上となると息苦しさや血圧の低下などが現われ、皮膚症状も全身に及びます。さらに重症となると、気道が腫れて呼吸困難に陥る、血圧の急激な低下による意識消失など、即座に対応しなければ命の危険があります。
先述のマル秘のいか子。さんは、ピーナッツ、鯖、蕎麦、アボカドでアレルギーを発症するという事ですが、それを把握している先輩から、まさかのイタズラ感覚でわざと食べさせられるなんて思ってもみなかったようです。その結果、重篤なアレルギーとなり、一命を取り留めるまでの強い症状が出現したのでした。
「結果的にお互い弁護士入れて示談で被害届は取り下げたけど、先輩は責任問われて依願退職するはめになった」と、次のツイートで先輩の行く末を語っていますが、この先輩が犯した事は、傷害罪、強い悪意のある悪質な場合は殺人未遂になる可能性もあるようです。
アレルギーについてはだいぶ認知されるようになってはきたものの、まだ中高年以上の世代では「アレルギーは甘え」「アレルギーは治せるもの」「アレルギー程度では死なない」という、間違った認識を持った人が少なからずいるようです。アレルギーで一番身近なのは食品によるもの。件の先輩はちょっとしたイタズラ目的だったかもしれませんが、アレルギーで人は死に至ります。この事がもっと認知される事を願っています。
https://twitter.com/sorewaikaaaaaan/status/1063444600730337280
<引用・参考>
アナフィラキシーガイドライン啓発サイト|日本アレルギー学会(PDF)
<記事化協力>
マル秘のいか子。さん(@sorewaikaaaaaan)
(梓川みいな/正看護師)