2019年1月15日(アメリカ西部時間)、アメリカのカリフォルニア州にある海兵隊キャンプ・ペンドルトンで、恒例の日米共同演習「アイアンフィスト」の訓練開幕式が行われました。アメリカからは第1海兵遠征軍の第1海兵師団を中心にした部隊、日本からは陸上自衛隊の水陸機動団を主力とした部隊が参加して、離島奪還作戦を念頭に置いた水陸両用訓練や、MV-22オスプレイを使用したエアボーン訓練などを行なっています。
日米共同演習「アイアンフィスト」は、日米の部隊がスムーズに連携して任務遂行にあたれるよう、その練度を高めるためにアメリカのカリフォルニア州にある海兵隊キャンプ・ペンドルトンと、その周辺の演習場で行われる年1回の共同演習。毎年1月から2月にかけて実施され、様々な訓練を行います。
訓練のメインとなるのは、離島奪還作戦における日米双方の動き方に関するもの。沖合の艦船から上陸用ゴムボートに移乗し、海岸に上陸する訓練などが行われます。
陸上自衛隊からは水陸両用車AAV7も参加。上陸したAAV7から降車した隊員が市街地を模したフィールドに入り、室内など限定された区間での近接戦闘(Close Quarters Battle=CQB)訓練も行なっています。
また、陸上自衛隊でも導入が決定しているティルトローター機、MV-22オスプレイを使ったエアボーン(ヘリボーン)作戦の訓練も行われています。自衛隊に実機が到着するのはもう少し先ですが、今のうちにオスプレイを活用した作戦のあり方を研究しておくのは大事なことです。
先行上陸部隊が着陸地点を確保したという設定で、オスプレイから降機した隊員は、素早く展開して攻撃態勢を整えます。自分たちを乗せてきたオスプレイを安全に作戦地域から離脱させるのも、撤退時の手段を確保する意味で重要な任務。指揮官たちはその動きを見て、問題点や改善点を洗い出します。
市街地だけではなく、通常の開かれた演習場を使っての訓練も行われます。AAV7から降車した普通科部隊は、自然の地形をうまく利用して身を潜めます。
いかに相手の様子を観察しやすく、逆に自分たちが見つからないような場所を確保できるかというのは、作戦の成否に関わる重要な部分。地形をどのように読みとくか、経験を積んでいきます。
アイアンフィストでは、戦闘だけでなく後方の職種も実践的な訓練を行います。戦闘時に発生する負傷者をいかに救護し、救命するのか。世界各地に派遣されて様々な実戦を経験した海兵隊員のノウハウを学んでいきます。救急車や、MV-22を使った後方への搬送訓練も行っています。
日米共同訓練「アイアンフィスト2019」は、カリフォルニア州キャンプ・ペンドルトンとその周辺の訓練地域で、現地時間の2月15日まで行われる予定です。
Image:USMC
(咲村珠樹)