宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」。孤独、友人関係、銀河への旅、そして生きる意味と命の儚さを描いたこの作品は、幻想的な描写も相まって数々の漫画化、アニメ映画化もされた作品。その作中の「カラスウリのランプ」を実際に作ってみたというツイートに魅せられる人が続出しています。

 「妻が烏瓜のランプって何?と聞くので、実際に銀河鉄道の夜に書かれている烏瓜の燈灯(あかり)を作ってみました。ケンタウルス祭で子供達はこれを持って歩いて最後川に流すんですね。実際にはそんなお祭りはないしランプには全く向いていないので幻想的です(蠍座の赤い星と対比させている舞台装置ですね)」と、本物のカラスウリの実をくりぬいて作ったランプと、そのランプに火を灯した画像をツイッターに投稿したのは、日本画家で、絵画教室「黒猫軒」を主宰している尾山篤二郎さん。

 1枚目の写真は、火を灯した後の様子で、3か所ほどくりぬかれた穴のうちの下1か所の上部が若干焦げている様子。2枚目の写真は、暗くした室内で実際にあかりを灯した状態。実だけではなくつるを残して作られており、オレンジ色の実からぼんやりとあかりが灯っている様子はまさに幻想的。

 この様子に、「リアル烏瓜のあかり…!」「烏瓜を見たことがないので作中のランプに憧れていた」「実際に作ってしまうなんで凄いです!」といった感想が。実物のカラスウリで作った、という人、確かにあまり聞かないですもんね。筆者も思わずしばらく見とれていました。

 尾山さんにこのランプの作り方を聞いてみたところ、実際に生のカラスウリをつるごと採取して、カボチャのランタンを作る要領と同じ感じで、中身をくりぬいて作られたそう。最初に一つ大きめの穴をカッターで切り抜き、そこから小さい匙で種を取ってから他の穴を開け、1cm程に短く切ったロウソクを入れて完成。

 カラスウリの実の大きさは、縦の長さが5cm~7cmほど。うずらの卵が縦3cmくらいなので、うずらの卵を1回り~2回りくらい大きくした感じになるのでしょうか。カボチャの様にロウソクを入れて灯してみたところ、熱が上に回るので持っているとやけどしそうな感じです。

 尾山さんも、「火が近かったり通気の穴がなかったりで実際の使用には全く向いていないのと、ロウソクが短く、すぐにあかりが消えてしまうのでワイヤーのLEDを仕込むと良いかなと思います」とのこと。

 確かに、1cmのロウソクだと数分も持ちそうにないですよね。そして生の実が焦げてしまう……。里山などではカラスウリが良く自生していることもありますが、まとめて採取してランプの様にたくさん作ったら、中にLEDの豆球を入れて吊してお部屋のなかに飾ってみる、なんてやってみたら……幻想的な夜を迎えられそうと想像してしまいます。
 もちろん、生のカラスウリなので、数日したらしおれてヘナヘナになってしまいそうですが、そういうところも含めて、命の儚さや幻想的な世界に思いをはせることができそうですね。

<記事化協力>
尾山 篤二郎さん(@kuroneko_koa)

(梓川みいな)